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大魔王→黒猫  作者: (著)まっつぅ♪ (イラスト)SpringFizz
36/106

36.初めてのテレビ

加筆修正しました(2022/06/11)

(…ん、何やら美味そうな匂いがするな。)

匂いに釣られて目が覚めると、キッチンでは母親が朝食の準備をしているようだった。

我は身体を起こしてキッチンへ向かった。

「にゃ~(我の朝食の準備とはご苦労だな。)」

美味そうな匂いで空腹な我は早く飯が食いたくなって話しかけた。

「あら起きたのケイ、おはよう。今料理してるから危ないから近づいちゃダメよ。」

足元にいた我に母親が声をかけてきた。

(食べ物の焼けるいい匂いだ。これはどうやって火を使ってるのか確認するチャンスだ。)

昨日の夕飯時は寝てしまったため調査することができなかったからちょうどいい。

しかし身体の小さい我ではここから見上げたところで、母親の手元がどうなっているのか見ることができん。どうする?

辺りをキョロキョロした我の目に入ったのは椅子とテーブル。

(ここに登れば見えるか?)

椅子からテーブルに乗り移ればちょうどいい高さになりそうだ。我は椅子の脚の前に移動して登るためにしがみついた。

(くそっ、縄が巻いてあるから引っかかりになるのに登れん!)

我が登ろうと必死になっていると、

「ケイ、椅子で爪研いじゃダメよ。」

いつのまにか先程まで料理していた母親が我のすぐそばに来ていた。そして我は抵抗する間もなく抱え上げられた。

「にゃ~!にゃ~!(爪など研いでおらん!登ろうとしてただけだ!)」

我を抱きかかえる母親に抗議の声を上げたが聞き入れられなかった。

「ご飯できるまで向こうで大人しくしてなさい。」

無力な我は抱えられたまま連れて行かれたのだった。


(くそっ、せっかくのチャンスが…)

ソファに連れて行かれた我は不貞腐れて丸くなっていた。

(まさか我に見せぬようにしたのではあるまいな?いや、今の我は猫のはず。そんなことを考える必要もないとは思うのだが…)

それともまさか火を扱う技術とは秘中の秘なのだろうか?いや、そんな訳はないだろう。それならばこのような目立つ場所で料理をするわけがないはずだ。

そんな事を考えていると部屋のドアが開いて、結が入ってきた。

「おはよう、ママ~」

「おはよう、ご飯の準備ができるまでに学校の支度しちゃいなさい。」

「は~い」

結は少し眠そうにしながら返事をすると、我と目が合った。

「あ、ケイちゃんおはよう。もう起きてるんだね。」

さっきまでの眠そうな顔はどこへやら、結は嬉しそうに我の元にやってきたが、

「ケイに構う前にちゃんと支度しちゃいなさい、遅刻するわよ。」

母親に注意された。

「うぅ、はぁい。ケイちゃんまたあとでね。」

結は大人しく部屋を出ていった。


…今の状況をなんと説明したらよいのだろう?我は驚愕してただそれを見ていることしかできなかった。

それは父親が部屋に入ってから起こったことだった。

「おはよう。」

「パパ、おはよう。」

挨拶するなり父親は我のほうに来て、近くにあるテーブルに置いてある黒い道具を手に取ると何やら操作し始めた。

するとソファの前の壁に取り付けられた物体に何かが映し出されたのだ!!

「本日は全国的に高気圧に覆われて概ね晴れるでしょう。」

映像が流れると同時に音声まで聞こえてきた!!

丸まっていた我は驚愕して身体を起こした!何が起こっているか理解が全く追いつかない。

挿絵(By みてみん)

(何だこれは!!先程まで真っ黒だった物体に急に何かが映し出されたぞ!!)

しかも絵ではない!動いている!

(映像の伝達技術だとっ!!我らの魔法通信技術でも音声を伝達するのがやっとだというのに…)

それですら使える者は一部優秀な魔法技術を持った者だけだ。それなのにちょっと道具をいじっただけで映像は途切れることなくずっと流れている。しかもこんなにも鮮明に…

我は呆然とその映像を眺めていたのだった。

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