23.猫の部屋作り
加筆修正しました(2022/05/04)
誰視点かを追記しました(2022/11/22)
結視点
「それじゃあ名前も決まったことだしケイの部屋の準備しよっか。」
お姉ちゃんは買ってきたペット用品を指差して言った。
「うん、ケイちゃんが喜んでくれるようにしなきゃね。」
私たちはケイちゃんのお部屋の用意をすることにした。きっと喜んでくれるよね?
「ママ、ケージだけどリビングに置いちゃっていい?」
「えっ、ケイちゃんのお部屋は私の部屋に置きたい。」
そしたら毎日ケイちゃんと一緒に寝れるもん。私がケイちゃんのママになるんだから当然だよね?
「ダメよ、結が独り占めするなんてズルい。私だって猫と一緒に生活したいんだから。それに食事用食器とかトイレも置くんだから水回りのない部屋に置いたら大変でしょ。」
そっか、お水が使えるところにないとケイちゃんが喉乾いたらすぐにあげることできないんだ。
「…わかった。でもケイちゃんと一緒に寝たい。」
「ケイと一緒に寝るのはもうちょっと大きくなってからね。」
「…はーい。」
本当は嫌だけどケイちゃんのために私は答えた。早く大きくなって一緒に寝たいな。
(あ、でも早く大きくなっちゃったらお別れも早くなっちゃうかもしれない…)
ケイちゃんにはちゃんと元気に育ってほしい。でも早くいなくなっちゃダメだからね。
私はちょっと複雑な気持ちになった。
私はお姉ちゃんと一緒にリビングの隅にケイちゃんの部屋を作った。
ケージの中にトイレ・猫用ベッドを置いて、入口は自由に出入りできるように開けっ放し。食器はケージの外に置くことにした。
「うん、いい感じね。あとはケージの近くに猫草をプランターに植えて置きましょう。」
お姉ちゃんは子猫でも届くように背の低いプランターに猫草を植えていく。
「ペットショップで勧められた爪とぎはどうするの?」
「自分の場所だって主張するのにも使うみたいだから、部屋の入口辺りに置くのがいいらしいよ。ケージの入口よりリビングの入口の方ね。」
「わかった~」
ここらへんかな?ケイちゃんが使いやすいといいな。
「あとテーブルの脚とかにも麻の紐を巻かないとね。爪とぎでボロボロにされちゃうかもしれないから。」
「これあってもダメなの?」
ちゃんと置いておけばこっち使ってくれるんじゃないのかな?
「猫には『これが爪とぎ』ってわかってくれないから。テーブルの方が爪とぎしやすい、って思っちゃったらずっとそっち使っちゃうから。」
「ケイちゃんならちゃんと教えれば大丈夫だと思うけど…」
私のお話に答えてくれたりするからきっと頭いいもん。教えてあげればちゃんとできると思う。
「そうかもしれないけど念の為ね。結だってリビングがボロボロになったらイヤでしょ?」
「うん、わかった。」
そんなことになったらパパとママに怒られちゃう。私はお姉ちゃんとリビングの家具に麻縄を巻きつけていった。
これが地味な作業でけっこう大変。麻縄は細いから巻きつけるのに時間かかるし、ずっとしゃがんでやってるから膝も痛くなる。
「こんな感じかな?」
リビングにある木製のテーブルと椅子全部に麻縄を巻きつけるのはすっごく時間がかかった。
「うん、良いんじゃないかな。これなら爪立てても脚が傷つかないと思うよ。」
「よかった~」
私はやっと終わったことにホッとした。
「でも縄が切れたらすぐに巻き換えないとダメだからね。」
「え~」
またあの大変なことやるの!?
「それはそうだよ。切れたってことは、ケイがなにかしたってことなんだから。放っておいたら、そのまま脚に傷つけちゃうんだから。」
「そっか、そうだよね。」
「猫を飼うって大変なんだよ。ちょっとはわかった?」
そうだった。お姉ちゃんに言われてちょっと恥ずかしくなった。
あれだけがんばるって言ってたのに、たったこれだけの作業で大変なんて言ってたらダメだよね。
「うん、でも大丈夫。ケイちゃんのためにがんばるよ。」
「その通りだよ。私も一緒にやるからがんばろうね。」
「うん!」
お姉ちゃんも一緒にやってくれるならすっごく心強い!私はケイちゃんが喜んで暮らしてくれるようにがんばって作業した。