14.おねだり
加筆修正しました(2022/05/04)
「「「「いただきま~す」」」」
パパも帰ってきたので家族4人揃っての夕ご飯。
「おいし~」
ママの作ってくれたカレーはいつもとっても美味しい。
でもなんかいつもより美味しく感じる。なんでだろう?作るの手伝ったからかな?
「そういえば結、さっき猫助けたって言ってなかった?」
カレーを食べながらお姉ちゃんが聞いてきた。
「へぇ、そんなことあったんだ。どんな猫だったんだい?」
パパがお姉ちゃんの話に乗ってきた。
(来た!パパにもちゃんと話して説得しなくちゃ!!)
ここでちゃんとお話して猫ちゃん飼いたい、って思ってもらわないとだ。
「あのね、遊んだ帰りに猫ちゃんがね…」
私は逸る気持ちを抑えながら説明した。
「なにそれ?水飲みたくて川に落っこちちゃった子猫?かわいい!」
お姉ちゃんは笑いながらそう言い、パパは、
「助けたのはとても偉いね。でもあんまり無茶しないでくれよ。」
「ごめんなさい…」
そう言って私を心配しつつちょっと注意されちゃった。
「それでね、もしノラちゃんか捨て猫だったら、ウチで飼っちゃダメ?」
私はドキドキしながらパパを見た。
「うーん」
なんだかパパの顔が険しそう…反対なのかな?
「もちろん、私がちゃんとお世話するよ。それにお家のお手伝いだってちゃんとやる!だからお願い…」
私はパパを見つめてお願いした。
「結が優しいのは知ってるし、お世話も手伝いもやってくれるとは思ってるよ。さっきの鞄持ってってくれたのもそういうことだろうし。でもね、動物を飼うなら責任持って最後までやり遂げなくちゃダメなんだよ。」
(もちろん、最後までちゃんとお世話するもん。)
私がそう言おうとするとパパは続けて、
「それにね、猫の寿命は長くて20年ぐらいなんだ。今は子猫だけど結より早くいなくなっちゃうんだよ。最後までというのはそういうことなんだよ。」
私はドキッとした。猫ちゃんのお世話をするのはとても楽しそうでがんばれる、って思ってた。その先のこと、お別れのことなんて考えもしなかった。
(ヤダ、猫ちゃんとお別れなんて…)
お別れするって言っても何年も先の話なのはわかってる。でも考えただけで泣いちゃいそうだよ…
(でももう会えなくなっちゃうなんてもっとヤダ!)
「見る!私最後まで面倒見るもんっ!」
私はパパをしっかり見て言った。あの猫ちゃんのためだったらどんな大変なことだってがんばれるもん。
お別れのときはきっと泣いちゃうと思う。今考えただけでも泣いちゃいそうなんだから。
(でも私ちゃんとするっ!)
今お別れしたほうが絶対後悔する、って思う。お別れのことを考えるとなんでこんなに胸が苦しくなるのかわかんない。わかんないけどお別れしちゃ絶対ダメなんだ、ってことだけはわかる。
「ママはどう思うんだい?」
パパはママに聞いた。
「私は元々猫好きだから。それに結がこんなに真剣に言ってるんだから反対はしないわ。」
ママは私を見てそう言ってくれた。
「舞衣は?」
「当然賛成!」
「…そうか、ならちゃんとお世話するんだよ。」
パパはそう言って私に笑いかけてくれた。
「うん!パパ、ありがとう!」
私はご飯中だったことを忘れて大喜びでパパにかけよった。