この世界で初めてのごはん
あれから、アディトルマ運搬用の馬車に乗り、アルーシャさんの家に帰宅した。この世界では、狩りの利益の一部を貰えるらしい。これが“仕事”である。今回の利益は、報酬金と、武器の補修代、それと・・・アディトルマの肉!!
「シャーラさん、その肉どうするんですか?」
「どうするって・・・調理するに決まってるじゃない、もちろん食べるわよね?」
「はいっ!」
「ふふっ♪正直ね、焼きがいい?茹でがいい?」
「焼きでお願いしまぁす!!!」
「はーい♪」
なんだからシャーラさん機嫌がいいな。なんでだろ?
「いま、なんでシャーラの機嫌がいいか考えたろう、坊主。」
「うわぁ!?ガイスさんいたんですか!?」
「おうよ!まぁ、いたっていうか、今きたところだ。」
「で?なぜ俺の考えていることが分かったんですか?」
「そりゃあお前、アルーシャが昔、今のお前と同じ表情して尋ねてきたからさ」
「なになにー?なんの話ー?」
アルーシャさんが話に割り込んでくる。
「今日のシャーラが機嫌のいい理由さ。そうだ、アルーシャ、お前が教えてやれよ」
「はぁい!」
なんか、アルーシャさんも機嫌がいいな、いつものおしとやかな喋り方から、若い女子の喋り方になっている。
「我が家はね?魚肉、野菜、卵を茹でた質素で味気ない料理の日が多いの。だからね?こういうお肉が食べれる日は、母が今まで出し切れなかった料理スキルを全てだして、私たちを喜ばせることができるから、機嫌がいいのよ!それに、今回はカズトシもいるしね♪」
「へぇー、そうなのかぁー。」
ん?カズトシ?名前呼び!?!?くぁぁぁぁぁぁぁ!?!?
「お、おい坊主、どうした?顔真っ赤だぞ?熱が出るほど肉が食いてぇのか?」
「あ、はぃ!そぅです!!」
興奮のあまり声が裏がえってしまった。
「カズトシ?どうしたの今の声?」
シャーラさんが戻ってきた、てかシャーラさんにも名前呼びされてる・・・くぁぁぁぁぁぁぁ!マジで異世界最高だぜっ!!
「いぇえなんでもありませぇん!!」
「そう、それならいいけど・・・あ、ごはん出来ましたから、そろそろこっちにきてくださいね~!」
「さぁ、カズトシ!みて驚きなさい!!」
シャーラさんがはやくはやくと手招きする。誘導されるまま、食事部屋に入ると・・・
「な、なんだこれ、すげぇ・・・」
体を包み込む美味しそうな香り。目に映る美しさすら感じる料理の数々。これが本当にあの巨獣だったのか?と、自分を疑ってしまうような・・・ああああ!はやく食べたい!!
「頂きます!!!」
「イタダキマス?不思議な挨拶ね♪どうぞー!」
「カーッカッカ!この世界と通じている所もあれば通じていない所もあるのだな!面白い!」
「じゃあ私たちも真似して・・・」
「「「イタダキマス!!」」」
くぁー!!旨い!!噛む度に溢れ出る肉汁!!もとはあんな筋肉質でスジの多い肉だったのに、キチンと処理されて柔らかく、それでいてほどよくスジが残っている!
「旨い!!旨すぎるぞ!!!」
「あら♪そういって貰えるとうれしいわ♪ほら、冷めない内にどんどん食べてね!」
あぁ!言われなくても、言われても!!あぁ箸が止まらん!!!
「ほんとーに美味しいわこのお肉!」
「おぉ!ほんとうに旨いぞ!シャーラ!今回も上出来だ!」
「いえいえ♪もとはあなた達がおいしいお肉をとってきてくれたおかげよ♪」
俺とアルーシャさん一家は、勢いよく食べ進め、五分後には完食してしまった・・・
「はぁー旨かった!ご馳走さまでした!」
「食べ終わった後はゴチソウサマデシタと言うのね?じゃあこっちも一緒に?」
「言うか!」
「そうしましょ♪」
「「「ゴチソウサマデシタ!!!」」」