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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

DV夫

作者: ハズレチ

あれが別人だったなら天国。

あれが夫だったなら地獄。


実はこういうことだ。私は夫から長年DVを受けている。耐えられなくなった私は、精神科医をしている男友達に相談を持ちかけた。実際に彼と会い、医者の立場からアドバイスを貰う。彼が時折、高そうな赤い指輪を自慢げにちらつかせてくることに不愉快な思いをしながらも、プロの意見を貰えて良かったと思った。彼に礼を言い、帰ろうと立ち上がった瞬間だった。カフェの窓越しに、夫によく似た男性と目が合ってしまった。完全に日は沈んでおり、店内も薄暗いため確信はない。しかしあれが夫だったならば、浮気を疑って癇癪を起こし、手を上げるに違いない。目が合った人物が夫でないことを祈りながら、私は帰路についた。


審判の時が来た。胸がドキドキする。

「あ、あなた、今帰ったわよ…遅くなってごめんなさい」


結果はこうだ。

夫が玄関までやってきた。

「おかえり、遅かったじゃないか。今日は君に誕生日プレゼントを用意したんだ。早くこっちにおいで。」

そうだった。すっかり忘れていたが今日は私の誕生日だった。でも良かった。旦那の口調はとても穏やかだ。どうやらあれは別人だったようで、私はホッと胸をなでおろした。リビングに入ると、テーブルの上には洋菓子屋さんのものと思われる箱が置かれていた。「なあに、これ?」

私はワクワクした気持ちで尋ねた。

「君の好きなチョコレートケーキだ。ホールで買ったから、一緒に食べよう。」そう言って夫がケーキの箱を開けた瞬間、私は自分の目に入って来たものが信じられなかった。ロウソクの代わりに、人間の指が立てられている。驚いて声も出ない私に、夫は無表情で言った。

「俺以外の男と会っていいなんて、誰が言った?」

ケーキに立てられた指のうちの1つには、赤い指輪がはめられていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] ども。 私も今日誕生日です。 暑いのでソフトクリームを食べましたよ。 指は入っていませんでした。 天国です。
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