魔物使いの欠点2!
~一言でわかる前回のあらすじ~
グリーンラオペ=IMOMUSHI☆
チクショオオオオォォォォ……
どうも! 雨宮 蓮です!
俺のジョブ魔物使いテイマーによって使役できる魔物が なんと!
どこからどう見ても イモムシでした‥‥
世の中ご都合主義では通らないことを身をもって知りました。
チクショォォォォォォ……
《連の意識の電源ボタンがOFFになりました》
「レーくん!? レーくん!? 大丈夫!?ねぇ、ちょっとアリス様どーしよう! レーくんがフリーズしちゃったんだけど!」
「ど、ど、どうしましょう…… あ!頭を叩いたら気がつくんじゃないですか !?」
バン! バン!
アリスが蓮の頭を思っいっきり叩く
「ちょ、ちょっと! アリスそんなの逆効果だよ! 昭和のテレビじゃないんだから……」
《蓮の意識の電源ボタンがONになりました》
「ハッ! 俺は今何を……」
「ホントに治った!?」
「ど、どーですスピカ!私の言う通りだったじゃないですか! 」
どうやら俺は気を失ってたらしいな、記憶が抜けてる箇所が少しあるぞ……
なんか頭がズキズキする……
それになんでアリスはこんなに目が泳いでるんだ……? 色々不振な点はあるが…… まぁいっか!
「なぁ、スピカ。なんで俺気を失ってたんだ?」
「レーくんにグリーンラオペはイモムシだって教えたら気を失ったんだよ!いきなりだからボク、心配したんだからね!」
「スピカ!? ごめっ‥‥」
半泣きになりながらそう言うと、スピカは俺を自分の胸に引き寄せる。
ちょっ! スピカの慎ましい胸が顔に当たってるよ! なんかいい匂いもするし、嬉しいけど落ち着かない! こんなに激しいスキンシップは元の世界では受けたことないぞ! これが異世界スタンダードなのか……?
「スピカ。恋仲になる前にそんな事していいんですかぁ?」
「ハッ! つい咄嗟に!」
どうやら異世界スタンダードではなかったようだ。これがスタンダードなら異世界ウハウハだもんな……
アリスが注意して、スピカは抱擁をやめた。
スピカの可愛い顔がリンゴのように真っ赤になった。多分俺の顔もだろう……
気絶するのも悪くないね……
10分後、ようやく皆落ち着いた。さて、真面目な話をするか……
「なぁ、アリス、スピカ。結局グリーンラオペはイモムシって事であってるんだよな?」
「はい」 「うん」
2人は肯定する。認めたくないが俺の使役スキルで使役出来るのは、現段階ではイモムシしかいないということだ。
「んーまぁ悔やんだってどうにもならないし…… 実際に使役してみるか! なぁアリス、使役スキルってどうやって使うんだ?」
「えーっと……」
「使役スキルは使役する対象に触れ、【メイト】と言う事で発動できます」
ほうほう、やってみよう
虫かごの中のグリーンラオペに触る。
「【メイト】!」
すると、光の粒子がグリーンラオペを包み、その光が俺の体の中に入っていった。
《スキル:使役 が発動しました》
《スキル:使役 が成功しました》
《グリーンラオペが仲間になりました》
《使役対象の名前を決めてください》
いきなり目の前に文字が表示された。
「なぁ、名前決めなきゃいけないみたいなんだけど」
「決めてあげてください。そこは主人である蓮さんの役目ですから」
「そーだぞー」
アリスとスピカにそう言われ、グリーンラオペの名前を考える。んー特徴とか捉えた方がいいのかな……
グリーンラオペは名前の通り背中は綺麗な緑色で、腹と足は白い。イモムシという割には中々早く動く。もぞもぞというよりはススススススーって感じで……
「よし!おまえの名前はスーだ!よろしくな!スー!」
《スキル:調査により、スーのステータスを見ることができるようになりました》
「ねぇレーくん、なんでスーなの?」
「……スーの動きがススススってかんじで他のイモムシよりも素早かったからだ」
「へぇ~、ススススねぇ~」
スピカが俺の方を見てニヤついてる。ネーミングセンスがないのは自分にでわかってるよ! もう!
「終わりましたか?蓮さん」
「はい。スーのステータスを見ることができるようになったらしいんですけど、何処で見れるんですかねー?」
アリスに疑問点を質問した。そーいやなんでアリスはこんなに魔物使いに詳しいのだろう……
「スーちゃんに触れながら、ステータスと念じれば見ることが出来ますよ」
「そうなんですか。あ、さっき不意に思ったんですけどなんでアリスはそんなに俺のジョブに詳しいの?」
「えーっと……」
彼女は目を泳がせた。アリスは困った時にはすぐに目を泳がせる癖があるようだ。
「それはねレーくん! 悪い意味で魔物使いは有名なジョブだからさ!」
アリスの代わりにスピカが答えた。あぁ、アリスは俺を気遣って言わなかったのか……優しいな…… スピカはなんの躊躇もなく俺に教えたけど。
「物語とかでも勇者と対象的に描かれることがおおいね~。僕も子供の頃読んだよ~」
かなり有名らしいな……
そんなに不名誉なのかよ。いやまぁ魔物使いなのに、最初はイモムシしか使役出来ないってなかなかの詐欺だよな……
てか、このイモムシ本当に魔物?
まぁそんなことは置いておこう。考えても悲しくなるだけだ……
俺はスーに触れ、ステータスとつぶやいた。すると目の前に文字が表示された。
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名前 スー
種族 グリーンラオペ
スキル 粘糸Lv1
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スキルは粘糸か……
文字通りなら蜘蛛の糸みたいなものかな?
俺は続けて調査スキルを使った
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スキル 粘糸Lv1
粘り気のある糸を生成することが出来る。
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そのまんまだな!もーちょっと情報くれよ!アリスの方がもっと教えてくれそうだよ!
「グリーンラオペのスキルは粘糸ですよね?粘糸は上手く行けば相手の動きを止めることが出来ます。」
アリスの方が俺の調査スキルよりも詳しく教えてくれた。
俺のスキルあんまり使えないのしかないな……
いや、マイナス思考はいけない! プラスに考えよう! そう! まだLv1だもんな!
しかし、最初にスーを見た時はハズレ職だと思ったが、スーのステータス見る限り俺のジョブがハズレなのはピンとこないな…… いや、スーしか使えないのは確かに欠点だけど、スーのレベルを上げたら使役できる対象も増えるんだろ? スーもスキルを持っているみたいだし、簡単に上がるんじゃないか? そんなに悪くないと思うけどな?
それをアリスとスピカに伝えると仏のような顔をしながら、同情するかのように俺の背中をポンポンと叩いてくれた。
え、なんで!?何なの急に!?
「それじゃあグリーンラオペを使って魔物と戦ってみてください。それで全てわかりますよ……」
「大丈夫。ボクも手伝うからさ……」
「おい!その顔やめろよ!何なんだよ全く!」
そう怒鳴るが2人はウンウンと頷くだけだ。
2人を無視して、俺はスーを手のひらに乗せながら魔物を探している。スーは手のひらのうえでウネウネ動いている。グリーンラオペという魔物は今は手のひらサイズだが、成長すれば50cmほどになるらしい。
なかなかにきついな……
5分後、ようやく魔物を見つけることが出来た。スーと同じくグリーンラオペだ。
「よし、スー! 粘糸で相手の行動を止めろ!」
俺はスーに指示した!
スーは何もせず手のひらのうえでウネウネ動いている……
あれ? どーなってんだろ?
「スー! 粘糸を使え!」
俺はスーに指示した!
スーは何もせず手のひらのうえでウネウネ動いている……
えっ? どーゆー事?おかしくない? 使役出来てるんだよね? 言うこと聞いてくれないんだけど……
俺が一連の事に動揺を隠せないでいると、後ろをついてきていたアリスとスピカが仏の顔で俺の疑問に答えた……
「魔物……には人の言葉を理解できる種と、できない種があります…… グリーンラオペはその……」
「レーくん、虫と話せると思う……?」
そんな当たり前の事実を告げられた。
思わないですね。はい。詰んでるだろ!このジョブ! ハズレ職にも程があるよ!
俺は何も言えず、ただスーだけが手のひらのうえでウネウネ動いていた……
スー
体長10cm程。背中は緑色、腹の当たりは白い。
鳴き声は「キュピッ」と鳴く。イモムシであるがなかなか可愛い。