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ケンシンVSミティ

~一言でわかる前回のあらすじ~


ケンシン、めっちゃ強かったです。

ベネティア王国 食客 ケンシン。

蓮が生まれ育った世界では、《軍神》と恐れられた戦国大名であった。その才覚は《軍神》の名に恥じず、負け戦を勝ち戦にしたり、一兵の損害を出さずに敵を完封したりと、武勇伝には事欠かない。


彼女の才能は異世界であるプセマに来てもいかんなく発揮される。いつの間にやら異世界に迷い込んだケンシンであったが、魔獣との初戦闘にも怯える素振りすらなく、持っていた大太刀で一刀に伏す。盗賊団に襲われれば、裏で糸を引いていた奴ら諸共(もろとも)切り伏せ、ドラゴンが襲ってくれば単騎で突進し首を切り落とす。その後もケンシンは各地で伝説をつくり、ベネティア王国の食客として招かれる頃には《抜刀姫》という二つ名がついていた。


《抜刀姫》という二つ名の通り、ケンシンが得意とするのは抜刀術である。その剣閃は鉄をも切り裂き、本気になれば海を割ることが出来るとか。


その強さ故か、ベネティア王国の冒険者たちの間ではとある格言がまことしやかに伝わっている。曰く、


《抜刀姫》の前に立つことなかれ。

――――――――腕が惜しくないのなら。


《抜刀姫》の後ろに立つことなかれ。

――――――――足が惜しくないのなら。


《抜刀姫》の陰口言うことなかれ。

――――――――口が惜しくないのなら。


《抜刀姫》に逆らうことなかれ。

――――――――首が惜しくないのなら……


□□□


セイメル王国 王城 来賓室。

そこには一升瓶を抱き枕に、グースカグースカ気持ちよさそうに寝ているケンシンがいた。


「うっへへへへへ…… 笹、笹だんごぉ……」

「皆、すまんにゃ…… ケンシンのやつ、酒には目がないからにゃ」


ミティはそう言いつつ、地べたで寝ているケンシンの頭を蹴るのを止めない。結構な威力で蹴っているようだが、蹴られている当の本人は起きる気配がない。


「戦闘時の凛々しさを平常時にも発揮して欲しいとこにゃが…… まぁ、無理にゃ……」


冒険者崩れ達からの襲撃は、ケンシンの活躍で治めること後できた。その後、騒ぎを聞きつけた王国兵士達に冒険者崩れを引き渡し、俺たちは予定通り王城へと向かった。出迎えてくれたミラに事の顛末を話すと、顔を真っ青にしてミティに謝っていた。ミラさんが悪い訳では無いのだが、ベネティア王国の王女を危険に晒したこと自体が王国の失態なのだろう。


その態度に目をつけたのがケンシンである。彼女は平謝りするミラさんをいいことに、ミラさんに王国が準備していた以上に酒を強請(ゆす)り、飲み、酔っ払い、今に至るという訳だ。


「ミティ様、本当に申し訳ありません……」

「もういいって言ってるにゃろミラ。蓮とケンシンがおったから、毛ほども怖くなかったにゃ」

「流石は《抜刀姫》だね! あ~ ボクもレーくんについてけば良かったなぁ……」

「にゃはははは!! 模擬戦でもすればいいんじゃにゃいか? 妾も《真紅の魔女》の戦いっぷりを見てみたいからにゃあ」

「ちょっ、ちょっと待ってください、お二人共! スピカとケンシン様が模擬戦なんてしたら、模擬戦じゃ済まなくなりますよ!」


模擬戦にノリノリの2人をミラが必死に止めようとするが、ミラが根負けするのは時間の問題のように感じられる。そもそも、隣国の王女(ミティ)がワガママを言ったらミラがどうにか出来るとは思わないし。


……しかし、ケンシンVSスピカはマジで怖そう。

スピカは天変地異起こせる程の実力者だし、ケンシンはさっきの腕前を見る感じ、一線級の強さはあるだろう。


「え~? 《真紅の魔女》と模擬戦~??」

「わっ、ケ、ケンシン様? 起きたのですか?」

「視界は揺れてるけどね~ それより、《真紅の魔女》と模擬戦するの~?」

「うむ、明日はセイメル王国との会談にゃから、明後日とかかにゃ~」

「うんうん、それでいこう! いいよねミラ!!」

「……ここで私が断ったら撤回してくれるんですか?」

「ボクがすると思う?」


スピカのその一言で、明後日の模擬戦は確定した。

項垂れるミラとは対照的に、残りの3人は手放しで喜ぶ。

可哀想だし、ミラには後でアロエの実を上げよう…… あ、真の方ね、真の方。


「模擬戦の話もまとまった事にゃし…… 遊びの時間にゃ~!! 今日は徹夜にゃ~!!」

「おじょ~ 子供が夜更かしはダメですよ~ 」

「子供扱いするにゃよ!!」

「え~? おじょーは子供じゃないですか~ 背も小さいし、お酒も飲めないし~」

「……おにゃえ、言っていいことと言って悪い事があるにゃ!! こーなったら勝負にゃ! ボコボコにしてやるにゃ!!」

「え、模擬戦~?」

「それは大人気にゃさすぎる!」


ケンシンとミティの純粋な戦闘なんて、ケンシンの完封勝ちに決まっている。そんな一方的な勝負では(見てるこっちが)つまらないとの意見が多数上がったので、ゲームで勝敗を決めることになった。……ミティの遊びたい欲も満たされることだし、一石二鳥だね。


「勝負は5種目中、3種目を制した方の勝ちにゃ! 第1種目は…… トランプにゃ!!! ババ抜きにゃ!!」

「トランプ!? え、この世界、トランプあるの?」

「え? どうしたのレーくん、トランプ知ってるの?」

「あ、あぁ…… 俺が元いた世界にもあってな」

「あたしはこっちの世界きてから知ったけどね~ さて、おじょー勝負しよっか~」

「望むところにゃ! ……ミラ、用意するにゃ!」



ミラがトランプを持ってくると、すぐさまミティとケンシンのババ抜き対決が始まった。


……結果を言おう、ミティの惨敗である。もう一度言う、惨敗(・・)である。ミティはジョーカーじゃないものを抜かれそうになると、泣きそうになるので大変分かりやすい。もはや、なぜその実力でトランプを挑んだのだろう。まさかババ抜きで惨敗という表現を使うことになるとは思わなかった。


「あっはっはっはっ! おじょ~ 弱いね~?」

「むむむむむ…… 五月蝿いのにゃ! 次にゃ次!」


次にミティがミラに持ってきてもらったのは、チェスだった。……《軍神》相手に戦略ゲームとか、それは蛮勇だぞミティ。


「にゃ、にゃんで妾の駒が取られてくのにゃ!」

「……ねぇおじょー。忘れてるかもだけど、《軍神》だよあたし~」

「おにゃえの法螺話かと思ってたにゃ」

「……」

「あっ!? わ、妾のクイーンが……!? 」


さて、予想に違わずケンシンがミティをフルボッコにした所で、早くもミティは崖っぷちである。


「ふ、ふん! 違うのにゃ、勝たせてやったのにゃ! 早く終わったら可哀想にゃからにゃ!」

「はいはい、早く終わらせよ~ んで、おじょー最後の種目は~?」

「最後じゃにゃい、第三種目にゃ! 第三種目は…… ジャンケンにゃ!!」


もう、まともにやっても勝てないから運任せにしようと思ったんだろうなぁ……


「べ、別にまともにやっても勝てないから運任せにしようとか、そんな事は思ってにゃいぞ?」

「なんでもいいけど~ おじょーは本当にそれでいいの~? それだと、絶対あたしが……」

「ふん! 先手必勝、ジャンケンポンにゃ!」


不意をつこうとしたミティであったが、ケンシンは事も無げに対応し、しっかりと勝利を収めていた。


「運…… 運任せでも負けるのか妾……」

「はいはい、負けたところでさっさと寝な~? 流石にそろそろ眠いでしょ~」

「にゃ…… 分かったにゃ……」

「あ、じゃあ私がご案内しますよ。ミティ様、こっちです」


ミティはフラフラとミラにつれられて退室した。なんかあれは眠いというより、ストレート負けを喫したことで意気消沈してるんじゃなかろうか……


「いや~ それにしても、おじょーには悪いことしちゃった~」

「確かに、ケンシン、お前大人気無かったな…… チェスとか、わざといたぶってただろ?」

「んふふ、なんの事かな~♪ あ、それと、あたしがおじょーに悪いことしたって言ったのはそれじゃないよ~」

「え? 違うの?」

「真剣勝負での勝ち負けは気にしないタイプだし~

……あたしが悪いなって思ったのは、最後のジャンケンだよ~」

「あー! 確かに最後のはミティちゃん可哀想だなってボクも思った! でもまぁ、あれはミティちゃんの自業自得って感じもするけどね!」


どうやらスピカはケンシンが言わんとしてる事が分かってるようだが、俺はまだ分かってない。


「あーごめんごめん、レーくん。置いてけぼりにしちゃった…… そうだねぇ… ケンシンさんとジャンケンすればわかるよ!」

「ん? あぁ分かった……」

「それじゃ、いくね~ ほい~!」


スピカに言わるがままにジャンケンをはじめたが、何度挑戦してもケンシンには勝てない。初めは偶然かと思っていたが、ジャンケンの回数が15回を超えたあたりから、偶然とは言いきれなくなってきた。


「ぬぬぬ…… まさか、心を読むスキルとか?」

「いやいや違うよ~ あたしは蓮君の手の動きをみてるだけ~」

「見てるだけ?」

「グーにせよチョキにせよパーにせよ、何らかの手にするには予備動作があるでしょ~ その予備動作をあたしは見てるってだけだよ~」

「そ、そんな事出来るのか……?」

「レーくん、ケンシンさんに限らず、この世界での強者はこれくらいの芸当よゆーで出来るよ!」

「つーことは、スピカも?」

「ケンシンさんには敵わないけどね~ マインならケンシンさんといい勝負すると思うよ?」

「おお、《舞姫》ちゃんか~!噂はベネティア王国でもよく聞くよ~ 一度手合わせしたいなーって思ってたんだよね~」


この世界のジャンケンが公平とはかけ離れてることはわかった。そしてそれを知らずに勝負したミティの哀れさも……


「あ、それなら明後日の模擬戦、マインも呼んだらいいんじゃないかな?」

「おおお、それはいいね~!」


ミラの心労がさらに増えるような提案がされてるような気もするが、うん、俺が止めれるわけも無いのでしょうがないだろう。……頑張れ、ミラ!

ミラ「なんか寒気がしたんですが……」

ミティ「気のせいにゃ気のせい!」

ミラ「それならいいですが……」


尚、スピカからマインも模擬戦をすると聞いたミラはその場に崩れ落ちた。

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