幻想の森にて!
~一言でわかる前回のあらすじ~
アロエの実のためにドライアドを探しにやって来ました!
まさか年端もいかない少女に馬鹿にされるとはな。「あたしの事見えるんですかか?」って、よっぽど目が悪くなけりゃあ見えるに決まってるだろ?
俺は心の中でため息をつきながら、そういった内容の事を目の前の少女に告げると、その子は突然ガクガク震えだした。
そして、ばばっと俊敏な動きで正座して頭をたれた。
「た、た、た、食べないでくださいです!
あたし、別に美味しくないです! ナババの実とかの方が美味しいです!」
少女は俺に対して、泣いて命乞いをし始めた。
「ちょちょちょ! な、何してんの!? 別に何もしないよ!?」
「何もしない…… 調理を施さずに丸呑みってことです!? サラダ扱いは嫌です!!」
サラダ……! 例えが独特だなこの子……
いやいや、そんな事よりもなんで俺が食べる前提で話してるんだこの子は? そんな猟奇的な趣味は持ち合わせていないぞ!
「だーかーら! 別に食べないって言ってるじゃん! なに、俺がそんな悪魔みたいな奴に見えんの!?」
「そ、そうやってあたしを油断させてから食べる気です……?」
「食べないって言ってるでしょー!?」
「だ、騙されませんです! その言葉に騙されて食われていった仲間は大勢いるんです!」
駄目だ、ずーっとこの子怯えちゃってるし、
俺と全く話が噛み合わねぇ……
そんないたちごっこを何回か繰り返すと、
その少女がいきなり土下座を止めて立ち上がる。そして、何を言っても無駄だという徒労感に襲われている俺の方を見ながら不思議なことを言い出した。
「……もう、麻痺が効いてきたころです?
ごめんなさいです、こんな騙すようなことをしちゃってです……」
少女は真面目な顔でそう言い出したのだが、
とうとう頭のネジでも吹っ飛んだのかな?
麻痺なんてどこもしてないんだよなぁ……
「あたしも生きるのに必死なんです……
こんな所で、魔物に食べられるわけにはいかないんです!」
何の決意表明してんだ……?
というかさ、今聞き捨てならない事聞こえたな。
「誰が魔物じゃコラ!」
俺は軽めにチョップをすると、その子は叩かれた所を擦りながら、目を丸くしてこちらを見つめる。
「えっ!? な、なんでです!? なんで動けてるんです!?」
「だって別に麻痺してないし……」
そう告げるとさらにその子は驚きを強くした。
「なっ! あ、あたしの麻痺魔法が効いてないんです!?」
えぇ…… 俺、知らない間に魔法受けてたの……?
「そんな芸当ができるほど高位の魔族…… も、もしや魔王軍幹部の方です!? ご、ごめんなさいです! 嫌です、食べないで下さいです!!」
「だから食べないってば! ……そもそも、俺は魔物じゃなくて人間だよ!」
「えっ!? じゃあ、あたしの事食べないです……?」
「だからずーっとそう言ってんじゃん!!」
その子は隅々まで俺の事を見渡した後、ようやく俺の話を信じてくれたようで、その子は泣くのをやめて安堵したようだ。
「そ、その、先程までの無礼、ごめんなさいです……」
女の子は安心するや否や、先程までの暴走を思い出したのだろう、流れるような動きで平伏した。いやに板についてるし、土下座するの慣れてんなこの子……
「あ、うん、そんなに気にしてないから大丈夫だよ。……だから土下座はやめてくれよ」
やっぱり女の子に土下座させるのは気が引ける。その上、可愛ければ尚更だ。
ドジっ子属性+デスマス調は可愛いよなぁ!
「ゆ、許してくれるです……? あ、ありがとうです! 」
その子は再び頭を下げると、土下座をやめて
俺の目の前でちょこんと座った。
そんな動作と可愛いなぁと思うがそれよりも聞かねばならん事が沢山ある。
「それより、何で俺の事を魔物だと思ったの? どこからどー見ても魔物には見えないと思うんだけど?」
「姿は関係ないです。魔物でも人間みたいなのは沢山ですよ?」
俺の問いにその子は即座に答えた。
そーいや魔王軍幹部のハナエルも、姿形は人間だったな。外見だけじゃ人か魔物か判断出来ないってことか。
「それじゃあなんで俺の事を魔物だって決めつけてたんだ?」
「それはです…… あたしの事が見えてたからです」
その子は動じずにまたも不可思議な事を言い出した。やっぱり頭がおかしい子なのかな?
いや、しかしよくよく考えてみれば、この子が本格的に怯え始めたのは俺がこの子の事を見えてるって答えた後だ。もしかしたらこの子にとっては見えてる事がなにか重要な意味を秘めているのかもしれない。
もしくはガチで頭ぶっ壊れてるかの二択だな。
俺はその審議を確かめるためその子に詳しく話すように言うと、快く答えてくれた。
「あたしは、あなたに会う前からずっと『雲隠れ』というスキルを使ってたのです。このスキルによって、特定の魔物以外にはあたしの事は見えてないはずなのです。もちろん、人間になんか見えるはずありませんです」
「えぇ? でも俺、人間だけど見えてるよ?」
俺が反論すると、その子は顎に手を当てて考え出すが、結論に辿り着けないようで、ウンウン唸る事しか出来ない。
「うーん……分からないです…… でもまぁ、あたしの事食べたりしない事さえ分かれば大丈夫です!」
真相究明するのがめんどくさくなったんだなコイツ。ウチにも同じタイプの駄神がいるからそういうのはすぐに分かるぞ……
「てかさ、良くそんな状況で俺の話を信じたね? 俺が君の立場なら、絶対信じないけど」
「それはですね、あたしは落ち着いていれば魔物か人間か見分ける事出来るんです」
その能力あんのならもっと早くに俺が人間だと気づいて欲しいものだが…… まぁ、見えてた事に動揺しちゃってたんだろーな。
「……あの、あなたの名前聞かせてもらってないですから、聞いてもいいです?」
その子は落ち着いた声で尋ねてきた。
そういや、不覚にもお互い自己紹介してねーじゃん!
「俺は蓮だよ、よろしくね。ここにはドライアドに会いに来たんだ」
「えっ!? な、な、なんでですか!? た、食べるためです!? 丸呑み(サラダ)です!?」
俺が話すと、目の前の少女はいきなり食いついて早口でまくし立てる。
「いや、だから食べねぇってば…… てか、なんでそんなに動揺してんの?」
「いいですから! なんでドライアドに会いに来たのか答えてくださいです!」
その子は安堵の表情から一転、不安に満ちた顔で聞いた。
俺には分からんが、この子にとってはただならぬ理由があるのだろう。
「俺の住んでる所に珍しい植物が沢山生えてるから、それの世話を頼みたかったんだ。
俺達だけで出来れば良かったんだけど、どうも専用のスキルが必要みたいでさ……」
彼女の不安は俺の話で解消されたようで、またもやふぅと息をついて安心した様子になる。
「ふむふむです…… ちなみに、その珍しい植物ってなんなんです?」
「信じてくれるか分かんないけど……
武器や防具がなる木や、食べたらたちまちに傷を治す実がなる草とか……」
ここでほのぼのしていた空気が一変した。
目の前の子の目がギラリと光り、えも言われぬ雰囲気が蓮を襲う。
「……あの、蓮さん」
やっぱり信じてもらえなかったかな?
全部本当の事なんだけどなぁ……
「そんな素晴らしい植物、見てみたいです!
育ててみたいです! 今すぐそこに連れてってくださいです!」
俺の予想は綺麗に外れて、彼女は目を輝かせて興奮気味だ。しかし、それ以上に俺を驚かせたのは彼女の発言である。
「その話しぶり…… もしかして、君が『幻想の森』に住んでるっていうドライアド?」
「そうなのです! 今まで隠してましたですけど、あたしはドライアドのピアニーっていうものです!」
その子は腰に両拳をついて胸を張っていて、ドドんという効果音が聞こえてきそうなほどだ。
「えぇ…… マジかよ…… 」
いや、この子がドライアドだったと考えてみれば、今までの違和感にも説明がつくな。
丸呑みの事をサラダと言ったのは、ドライアドが植物のモンスターだからだし、俺がドライアドに会いに来たと言った時に動揺したのは、捕獲されるかもしれないと思ったためだろう。
「さぁ、早く行きましょうです! あたしにそれを育てさせてくださいです!」
目的のためなら性格が変わるとこ、めちゃめちゃヒスイに似てるなぁ……
ちょうど髪の色も同系色だし。違いがあるとすればピアニーはたわわに実ってる事だな。
いや、どことは言わないけどね!?
「はーやーくーいーくーでーすー!
あたしも見たことない植物とか気になるですー! 」
「分かった分かった、分かったから服引っ張るのやめて! 伸びちゃうから!」
駄々っ子と化してしまったピアニーを連れて、魔物転移のスキルを使いスーとスピカに合流する事にした。
「それじゃあ、ちゃんと手を繋いどけよ」
「はいです!」
魔物転移のスキルを使うと、転移する時の見慣れた光のエフェクトに包まれる。
この光を初めてみるのか、ピアニーはキョロキョロと辺りを見渡しながら不安気に俺の袖を摘んでいた。
「そんなに怖がんなくても大丈夫だよ。
あ、ほら着いたよ」
ドカーン!! という爆発音が前方から響いた。
「ちょっ! な、何これ!? 」
「あ、マスター! 大変なんだよ!」
声の方を向くと、泥だらけのスーがうつ伏せで倒れ込んでいた。
「ちょっ、お前ホントに大丈夫かよ!?」
「あ、もしかしてこれがお仲間さんです?」
「そうそう。 というか、何があったか話してく……」
そこで、ある事に気づいた。
スーと一緒にいたスピカがこの場に居ないのだ。スピカはなんやかんや喧嘩っぱやいとこもあるし、とっても嫌な予感がするぜ!
まさか、面倒事に首突っ込んだりしてないよね!?
「スー、怒らないから正直に言ってくれ。
お前ら、一体何をしでかした?」
「別にスー達が悪いわけじゃないんだよ!
スピカお姉ちゃんと一緒に花を見てたら、いきなり矢が飛んできたんだ! 」
矢が飛んでくるって…… 花見には似合わねぇ付け合わせだな。いらないぞそんな物騒すぎるシステム。
スーはうつ伏せの状態のまま話し続ける。
「飛んできた方を見たら帽子とマントをつけた人が弓を構えてたんだ! しかも、『姫をどこにやった!』とか意味わかんないこと言うんだよー!? 」
「なんじゃそりゃ…… ピアニー、何か心当たりあるか?」
「ねぇマスター、その人誰なの?」
スーが泥だらけのまま不思議そうに頭を傾げる。そういやスーにピアニーの事教えてなかったや。
「この子はドライアドのピアニーだよ。
……てか、スーはピアニーの事見えてるんだな」
「うん、フツーに見えるよ! よろしくね、ピアニーおねーちゃん!」
「え、あ…… は、はいです……」
何かピアニーの様子がおかしい。どことなくよそよそしいというか、何かを隠してるような気がする。転移した直後は興奮で胸がいっぱいみたいな感じだったんだけどな?
「ピアニー、様子がおかしいけどどうかしたの?」
「あ、あの…… もしかし……」
ピアニーが何かを言いかけたその時、
前方から一際大きな爆音と共に、木々をなぎ倒しながら帽子にマントの男が吹っ飛んできた。
「えぇ……? もしかしてアイツがスーの言ってた奴……?」
「そうだよ! アイツがいきなりスー達に撃ってきたんだ!」
スーがそのマント男を見て、苦々しくそう言った。
「クソ! ……ん、姫様!? 姫様じゃありませんか!?」
そのマント男は飛び跳ねて起きるや否や、
俺の横にピアニーがいる事に驚き目を丸くする。
「お前ら……! 我らが姫様を誘拐しといて、森の守り手であるロビンフッドの前で
呑気にしてるとはいい度胸してんな……! 」
えっ? ロビン・フッドって、アニメやゲームとかでも良く出てくるあのロビンフッド?
こっちの世界にも存在してんの!?
「その汚い手を話せクソ人間が! これでも食らってあの世に行ってろ!!」
その言葉を言うが早いか、俺に向かって5、6本の矢が飛んでくる。あまりの早業に、弓を構えてから引くまでの動作が全く見えない。
直感で分かる、これはもう避けれない。
時間と共に、脳天に矢が突き刺さるイメージが段々と克明になっていく。
俺の10数年に渡る人生は、こんなとばっちりみたいな殺意によって幕を閉じるのか……
「させないよ!!」
その仏にも鬼にも等しい声が聞こえた矢先、俺の脳天に一直線にのびた矢が俺に到達する前に全て撃ち落とされる。
「レーくん大丈夫!? どこも怪我してないよね!? 」
俺の絶対絶命のピンチを救ってくれたのは、
ちょっと怒り気味のスピカだった。
スピカは俺の元まで寄ってきて無事だという事を確認すると、とてもヒロインとは思えない鬼のような顔でロビンフッドを睨む。
「ボクの愛しい人を殺そうとするだなんて…… キミ、よっぽど死にたいの?」
さしものロビンフッドも、常軌を逸したスピカの雰囲気に押されて少し怯んだ。
「ボクはさ…… やる気になればこの森ごとキミらを丸焼きに出来るんだよ?」
スピカは重厚な低い声で話す。
「それをしなかっのはね…… ボクはこの森の事が好きだったからさ」
スピカは鬼のようなプレッシャーを放ったまま、一歩ロビンフッドににじり寄る。
「けど」
その場の雰囲気が、スピカを中心により一層殺伐となる。
「レーくんに仇なす輩を殺せるなら…… ボクは何だってするよ?」
怖い怖い怖い怖い怖い!!
スピカが言うと冗談に聞こえな…… いや冗談じゃねぇなこれ。 ガチだよ! この人ガチで森ごと燃やす気だよ!!
「ご、ご、ご、ごめんなさいです! お願いですから、この森を燃やすのはやめてくださいです!!」
ピアニーはスピカとロビンフッドの間に割って入り、泣きながら土下座をする。
ピアニーが皆に見えるようにスキルの発動をやめたため、スピカには目の前で見知らぬ女の子が土下座している光景を目の当たりにしているのだろう。そのため、スピカはめちゃめちゃ戸惑っている。
「ちょっ、なんでキミが謝ってるの!? というか、キミ今までどこにいたのさ!? 」
「姫! そんなはしたない真似やめてください!」
「うるっさいです! そもそもあなたが悪いんです! あたしは別に誘拐されたわけじゃないです!」
「な!? 姫、本当ですか?」
「本当です! あたしは軽い散歩のつもりだったのです! あなたが人の話も聞かずに暴走したのが悪いのです! そもそもいきなり矢を放ちますです!? それと……」
そこからピアニーのお説教が始まり、スピカも沸騰した血の行き場をどうしたらいいか分からずに俺の方を見る。
「レーくん、これどういう事?」
「その女の子はピアニーっていって、今日の俺達の目的であるドライアドだよ」
「えっ! あの子が!?」
驚くスピカに、俺がはぐれてからここに至るまでの事を説明してあげた。
全部話し終わると、ピアニーのお説教も終わったようで、再度俺達に頭を下げる。
「本当にごめんなさいです…… 特に蓮さんにはなんて言ったらいいか…… ほら、ロビンも謝るです!」
「その、す、すまなかった……」
そう謝ったロビンフッドはかなりぐったりしていた。しこたま絞られたんだろうな……
「その、あたしに出来ることなら何でもしますですから! どうか許してくださいです!」
俺はその言葉を聞いて少し心が高揚した。
いや、別にやましい気持ちからじゃないよ?
実はこの『何でもしますから!』という言葉、俺の中の一度でいいから異性に言われてみたい言葉ランキングで堂々の2位を飾っているのだ。アニメやラノベでこのセリフを見る度、それを女の子に言ってもらえてるキャラを妬ましくも羨ましく思っていたもんだ。
しかし、まさかこの異世界の地で、このささやかな望みが叶うとは……
人生何があるか分からないもんだなぁ……
「あ、あの…… 蓮さん? どうしたです?」
「何かに感動してるみたいだし、今のレーくんに何言っても無駄だと思うよ?」
「スーもそー思う」
ふふふ…… 何か聞こえるがそんなものは気にしないのだ! それよりも今はこの感動を味あわなければ……
「レーくん、レーくん! そろそろ現実に戻ってきて!」
スピカは感動から戻ってこない蓮に流石にしびれを切らして、蓮の背中をバシバシ叩いて強制的に正気に戻した。
「……あ、ごめんごめん。ついつい喜びの余韻に浸っちゃってた。大丈夫大丈夫、もう戻ったから」
ちょっと背中が痛いけどな。
「あ、あの! それであたし達は何をすれば許してもらえるです?」
「うーんと…… ピアニーにはさっき言ったけど、俺達が今日ここに来た目的ってドライアドに希少な植物を育ててもらいたかったからなんだよ。だからさ、それを手伝ってもらえる?」
「そ、そんな事でいいんです? 逆にこっちが育てさせて欲しいくらいですから、あたし達としては大歓迎ですけど……」
育てさせて欲しいって…… 植物を育てたいってのはドライアドの職業病なのかな?
まぁ、その方が俺達としては助かるけど。
「よーしそれじゃあそれで決まりだな!
改めてよろしく!」
「はいです!」
俺はニコニコ笑うピアニーと固く握手した。
これで交渉成立、アロエの実の問題も解消されるだろう。
「さぁ! そうと決まったら早く行くです!
あたしはずーっとその珍しい植物を見たくてしょうがなかったんです!」
「そ、そうですか…… なら今から行こっか」
ピアニーは俺の提案を全面肯定して、俺の袖をグイグイ引っ張って、早く行こうアピールをしてくる。
そんな熱烈なアピールに負けて、すぐに魔物転移をしようと準備をしたら、ロビンフッドがそれを遮った。
「お待ち下さい姫様! 何処か行かれるよりも、皆にこの事をお伝えするのが先です」
「えっ? 本気で言ってるです!? あたしはもう我慢したくないんですー!」
「ダメですよ姫様! そもそも、大ジジ様に伝えてないじゃないですか! また心労で枯れ木になっちゃうじゃないですか!」
「大ジジ様は既に枯れ木ですから大丈夫です!」
二人が言い合いになってしまったので、急いで止めに入る。ピアニーは頬をプクッと膨らませて怒り、ロビンフッドは深いため息をついて呆れている。
なんかこの二人の関係って、アニメとかでよくあるお転婆な姫様とそれを優しく受け止める執事みたいな感じ。
そう考えると、最初の印象こそ最悪なロビンフッドだが、意外と苦労性で俺と共感できる部分が多いのかもしれん。
数少ない異世界での男性の知り合いな訳だし、少しずつでいいから仲良くなっていきたいなぁ…… 異性に相談できない事だってあるわけだしさ。
「……どうしたそんなマジマジと俺を見て。姫様のいちゃもん以外に、何か俺に変なものでもついてるのか?」
「お前、以外とセンスあるな…… 今のは俺的にはかなり上手いと思う」
真顔でいきなり言うもんだからびっくりしたが、こーいう事を言えるんだから、やっぱりそんなに悪い奴じゃないのかもしれん。
「あたしはいちゃもんつけてないです!」
ピアニーがそう言うと、ロビンフッドは困り顔になった。ついつい本音が出てきちゃったんだろーなぁ…… わかるよ、俺もうっかりやっちゃう子だったから。
まぁ、ロビンフッドとは今後の事を考えても仲良くやって行きたいし、助け舟を出すことにするか。
俺はポコポコロビンフッドの胸を叩いてるピアニーの両腕を掴み、宥めるために優しく語りかけた。
「まぁまぁピアニー落ち着けよ。俺も後で面倒事に関わるのは嫌だから、まずはピアニーの仲間に会わせてくれ」
「……蓮さんが、そういうのですならいいですよ」
ピアニーは渋々納得してくれたようで、ピアニーが住んでいる所まで案内してくれる事になった。
目的地までブラブラ歩いていると、ピアニーが『幻想の森』に生えてる珍しい植物のガイドを始めた。最初の方は俺も聞いていたが、眠くなってきたし、スーやスピカに任せて途中で抜けてきた。二人は目を輝かせて聞いてたし、世の中適材適所で行かねばな。
ピアニーの植物講義から逃げてきた俺に横に、すすすっとロビンフッドがやって来た。
「その…… さっきは姫様を宥めてくれて、本当に助かった。姫様、ああなると手がつけれなくて毎回困ってたんだ」
まさかあの超有名人であるロビンフッドが、
いたいけな少女に苦しめられてるとはな……
ロビンフッドは今までの苦労を思い出してるのだろう、顔に疲労の色が見えるよ。
大変だったんだなぁ!
「いいっていいって、困った時はお互い様ってな。それはそうとさ、ちょっと聞きたい事あるんだけど聞いてもいいかな?」
「ん? 姫様に関する事か?」
「いや違う、ロビンの事だよ。 実はさ、俺って異世界からやって来たんだけど、その世界ではロビンフッドってかなりゆうめ……」
ロビンフッドは突然歩みを止め、こちらを真剣な顔持ちで見る。
「おいそれ本当か!?」
ロビンフッドは俺の両肩を掴みんで揺さぶる。かなり動揺してるようだ。
まさかここまで反応するとは……予想を上回る反応の良さだなぁ
「ちょっ、ど、どうしたんだよロビン? 」
「あ、あぁ……すまん、取り乱した」
ロビンフッドは我に返ったようで、肩を揺すっていた手を離した。
「その…… 蓮よ、もしかしてお前のいう世界っていうのは、ベルダーの事じゃないか?」
『ベルダー』というワードが出てきた事に俺は驚きを隠せなかった。もう忘れてるかもしれないが、『ベルダー』とは俺の元々の世界の事だ。
「な、なんで知ってんの!?」
驚きを隠せないままロビンフッドに聞き返すと、
「……実はな、俺も『ベルダー』から来たんだ」
ロビンフッドは、至極真剣な表情で衝撃の事実を俺に告げた。




