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魔王軍対王国軍!

~一言で分かる前回のあらすじ~


魔王軍序列第11位 ハナエルが攻めてきました。

足音のする方を見ると沢山のゴブリンやオーガが攻め込んできていて、王国兵と交戦していた。


「スピカ! マインさん! ここは俺たちに任せて、ハナエルを倒しに行ってくれ!」


「うん!」


「はい!」


俺の作戦では、まずはスピカとマインさんの2人でハナエルを向かいうち、残りは俺たちが担当することになっている。

と、いうかあの2人の援軍をしようとしても逆に足でまといにしかならない気がする。


スピカは流石Sランクと言ったところだろうか、多彩で強力な魔法を使うことが出来る。

そのどれもが広範囲な攻撃なので、俺みたいな場慣れしてない奴がいたら一瞬でお陀仏だ。


「あ、行く前にここら辺掃除しとくね?」


「え? どういう意味……」


スピカはそんな軽いノリで雷の魔法で創った龍をゴブリン達にぶつける。

雷は被弾したゴブリンから、また新しいゴブリンへと伝染していく。

なにかが焼けた臭いが充満し、ゴブリンの悲鳴が戦場に響いた。


これが地獄絵図って奴かな……


「それじゃ行ってくるよレーくん!」


「え、あ、うん行ってらっしゃい……」


「す、凄いねスピカねーちゃん……」


うん、スーが驚くのも無理はない。何てったってゴブリン兵の4分の1が突如として消し炭になったからな。


スピカはいつもあんなに優しいのに……

怒らせたら殺されるな……


「はぁ……スピカときたら…… 私も行ってきますね?」


「あ、どうぞどうぞマインさん……」


俺とペット達が目の前の惨状に呆然としていると、マインさんがため息をつきながらそう言い、スピカを追いかけた。


マインさんがスピカに追いついたあたりで、

スピカとマインさんの前にはオーガの軍勢が立ち塞がる。


……なんかあのオーガ改造されてね?

大丈夫かな……


「ゴァァァ!!!」


「うるさいですね……」


マインさんの舌打ちが聞こえたかと思うと、瞬間マインさんの姿が消える。


マインさんの姿が見えるようになると同時にオーガの群れは身体中から血を吹き出し、小間切れになった。


何も無かったかのようにマインさんとスピカは破竹の勢いで突き抜けていった。


俺たちはあまりの早業に呆然となってしまった。


「スー? 今の見えた?」


「マスター、私って元々イモムシだからね? 無理なものは無理だよ?」


「クロ、シロ、イアン?」


狼てイモムシの方に話を振るが……


「「くぅーん」」


「キュピ……」


3匹は首を横に振った。



うん! あの2人の戦いに参加しなくて良かったよ! 化け物じゃねーか!

心配するだけ無駄だね!


蓮が何かを悟ったあたりで、スピカとマインさんが行った方向から土の龍と水の龍が現れる。

2頭は絡み合い、双方噛み付く。

どうやら水の龍が勝った様で土の龍を噛み砕くと

地面に衝突する。その衝突の衝撃が蓮のいる所まで響いたことから、かなりの威力なのだろう。



もしかしてもうハナエルの所に辿りついたのか?

……まぁハナエルはあの2人に任せるとして、俺は俺でやれることをやらないとな!


蓮は1人でそう納得すると、気を取り直し魔王軍と王国兵が交戦しているところへ援軍として向かっていった。


途中ゴブリンやオーガが襲ってくるが、

シロに乗っているイアンが粘糸で動きを封じ、同じくシロに乗っている俺とクロに乗っているスーがアルマの木の剣で敵を薙ぎ払う。


うん、この作戦中々いいな。

粘糸で相手の動きを封じてるし、いざとなったらクロとシロの機動力で退避も出来る。


だが、作戦以上にこの剣の切れ味がやばい。

ゴブリン程度なら簡単に一刀両断することが出来る。


……この時ばかりはベガの頭のネジがとんでて良かったと思うわ。


蓮はベガに感謝しながら、迫り来る敵を倒していった。


15分ほどしたあたりで、スーが何かに気づいた。


「マスター! あそこにゴブリンに囲まれてる人達がいるよー!」


不意にスーが叫ぶ。

スーの指さす方には、5人くらいの王国兵と、隊長と思われる兵がいた。


「助けるぞ! クロ!シロ! あそこに向かってくれ!」


2匹は了解と言わんばかりにすぐにスピードを上げた。


「イアン!」


「キュピ!」


イアンは粘糸を作り、囲んでいるゴブリン達の動きを封じる。

そして、動きを封じたゴブリンから次々に倒した。


ふぅ……なんとか間に合った。

王国兵を一瞥すると、みんな傷だらけだし、もう少し遅かったら死んでいたかもな……


「スーはシロ達を連れてここら辺の警戒をしといてくれ、俺はこの人達の手当をするからー」


「分かったー! いくよ皆ー!」


スー達は俺に言われた通り、魔物が来ないように戦いに行った。

ゴブリンやオーガをフルボッコにしてる所を見るにあちらの心配は無さそうだ。さて、これで当分はここら辺は安全だろ。さっさと手当手当……


「た、助かりました…… 私達は本隊から取り残されてしまって……」


隊長さん? が話しかけてくれた。

今気づいたんだけどこの人、女性じゃん。

もしかしたらスピカの知り合いだったのかも…… 助けられなかったらと思うとゾッとするね。


「あぁ、そうだったんですか。 あ、傷の手当したいんで全員こっち来てもらっていいですか?」


「あ、はい分かりました。あの、さっきの方達はいったい……?」


「あぁ、スー達の事ですか? スー達は俺の使役してる魔物達なんですよ。頭使ってる分他の魔物よりは強いんで大丈夫ですよ。」


「あ、そうなんですか……あの、その青い果実は?」


「いいから食べてください」


蓮はカバンから青い果実を取り出し、隊長さんに差し出していた。


「わ、分かりました…… もぐもぐ…… あ、意外と美味しい……」


「これは傷によく効くんですよ。痛みがかなりひいてきたでしょ?」


「え? あ、そーいえば……」


この青い果実のようなものはグリズリで採ってきたものだ。


ベガの長話に飽きて、果実を貪り食っている時に見つけたものだ。ベガから貰った本によると『アロエの実』という名前らしい。

どこら辺にアロエ要素があるのかわからないのだが、食べると自己治癒力を活性化するものらしい。


念の為に何個か持ってきていたのだが、役にたって良かった。


「あ、兵隊の方々もどうぞ」


俺が小さく分けたアロエの実をあげると、みんな元気になったようだ。


「あの、本当にありがとうございます。

なんとお礼をいったらいいか……」


「あぁ、お礼はいいですよ、困った時はお互い様でしょ?」


「で、ですが……」


隊長さんは浮かない顔をしていた。


「……それじゃあ一つ頼まれごとをしてください。 えっとですね……」


俺は秘密の作戦を全員に説明し終わると、みんな首を縦に降ってくれた。


「それでは、集め終わったらあそこの倒木の所に来てください! 」


「分かりました!」


やる気満々で王国兵達は何かを探しに草原へと向かっていった。


「スー! 俺達もそろそろ作戦を実行するぞ!」


「分かったー!」


ははは! ハナエルとかいうやつのド肝を抜いてやるぜ……


蓮の不敵な笑い声が戦場に響いた……


□□□


「ふん! 王国兵の奴らめ!」


俺の名前はハナエル。魔王軍の中でもかなりの実力者だ。

かねてからセイメル王国の近くに潜んでいた俺は、魔王様からの命令を受け、憎きセイメル王国を滅ぼしにやってきたのだ。


メドウ草原で王国兵と交戦状態になったが、

王国の懐刀であるレオンが居ない軍など、魔王軍には相手にならん。 その上、我が軍は王国軍の五倍の兵力、しかも戦闘能力は我らの魔物の方が上なのだぞ? 言ってしまえばこれは勝ち戦なのだ。


「ハナエル様! 我が軍、敵第1中隊を破ったとのこと!」


伝令役のハーピーがハナエルのいるテントに入って状況を伝える。


「そうか! 引き続き奴らを蹴散らせ!」


「はっ!」


伝令役のハーピーはすぐに軍へと戻る。


「ふん! この分だと1日で落とせそうだ」


まさか近くに敵が潜んでいるとは思わなかっただろう?

勇者に魔王様退治を任せれば自分は安全だと思ったろう?


「油断大敵だよ…… クハハハ……」


ハナエルの笑い声が響く。

少し涙目になりながら愉悦に浸っていると、

先程のハーピーが尋常じゃない様子でやってきた。


「ハナエル様!」


……おかしい、何故こんなに怯えているのだ?

我らの軍は圧倒的だというのに……


「どうしたのだ、そんなに慌てて!」


「……奴が……『真紅の魔女』が現れました!」


俺はハーピーの言っていることがにわかには信じることが出来なかった。 その二つ名は魔王様でも有名だ。 しかし、奴の名をここで聞くのはありえない事なのだ。


「何っ! 奴はダンジョンで死んだんじゃなかったのか! ……クソっ、一旦兵を退かせろ!」


そう、奴は死んだはずなのだ。

とあるダンジョンで、マルキダエル様に殺されたはずなのだ。


しかし、その情報が確かならかなりまずい事になった。

「真紅の魔女」は化け物だ。人の身にありながら、かなりの魔力量をほこり、炎魔法や雷魔法など、とにかく多種多様な魔法を使う。

特に転移魔法には手を焼いたものだ。


その二つ名の通り真っ赤な髪を風になびかせながら、敵を真紅に染め上げる姿は魔物からの恐怖の象徴の一つだった。今でも赤髪を見るだけで怯え出す魔物も多いのだ。かく言う俺も……


そんな奴が、この戦場に現れたというのだ、

どれだけ状況が悪いか嫌でもわかる……


「いや、見間違いかもしれんな…… もしくは誰かの変装か……」


ハナエルはあまりの恐怖から、希望的観測に囚われていた。

それ程までに『真紅の魔女』は恐るべきものなのだ。

そして、その情報が誤報であったと決めつけた。


「そうだ、そうに違いない…… 兵を前進させろ! 王国兵を踏み潰せ! 」


「よろしいのですか?」


ハーピーが不安げに聞く。

それもそうだろう、『真紅の魔女』の恐ろしさを知っているのは何もハナエルだけではないのだ。


「いいから進め!」


「はっ!」


ふふん! よくよく考えれば奴が生きてるのは有り得ぬ事ではないか!

マルキダエル様がしくじるわけが無い!

全く、ズボンを駄目にする所であったぞ……


ハナエルは気を取り直し、不敵な笑みを浮かでる。


不安に囚われ悩んでいる内に、魔王軍の先鋒であるゴブリン隊が敵陣営まで辿りついていたことに気づいたのだ。


「クハハハ…… そろそろ抵抗が無駄だと悟ったかな……?」


瞬間、雷の龍が現れ、最前線のゴブリンを一掃した。


ハナエルの笑いは一瞬で崩壊した。

そして身体中を悪寒が襲った。


あの魔法は見たことがある。

尋常じゃない魔力、精巧な魔力コントロール。

そして、奴の代名詞である龍の造形……


「ハナエル様ー! やはり奴が!」


「わかってる…… 流石にアレを見せられたら奴が生きていると信じるしかない…… 改造オーガ兵を奴に向かわせろ! 」


「はっ!」


奴がいることは確かのようだ。

しかし、それでもまだ手はある。

それが改造オーガ兵だ。


改造オーガ兵は念の為に用意していた隠し球だ。力だけでなく俊敏性も足し、魔法耐性をこれでもかとあげたバケモノだ。

いくら奴とは言っても、そう簡単に倒せるワケがない……


しかし、ハナエルの予想とは裏腹に改造オーガ兵達は一瞬で小間切れになった。


「なっ…… 一瞬だと……」


少しボロボロのハーピーが息をきらしながらやってきた。


「はぁ…… はぁ…… ハナエル様! どうやら『真紅の魔女』の他に『舞姫』までいるようです……」


「馬鹿な……何故『舞姫』がセイメル王国にいるのだ! 奴はデュエノにいるはずだろう!」


クソ! クソ! 何が起きてるんだ!予想外ばかりだ! こうなったらやれることは……


ハナエルはすぐに決断を下した。


「……仕方ない、奴らが来る前に撤退するぞ! 奴らは……」


ハナエルが言い終える前に、目の前に赤髪の女の子とメガネをかけた女性が目の前に現れる。


「ねぇ? 奴らってもしかしてボクらのことかな、マイン?」


「私達以外誰がいるんです? それわざと言ってますよねスピカ?」


「ふふっそうだよ~ さ、さっさと倒しちゃおっかマイン~」


「キャラ変わってますよスピカ……いや、戻ったというべきですか…… 」


2人の女性は談笑を済ますと、ギロリとハナエルを睨みつける。

まるで蛇に睨まれたカエルのようにハナエルは固まる。


「『真紅の魔女』に…… 『舞姫』……!」


……やるしかない。 震えを抑えろ。

俺は魔王軍幹部なのだ、負けるわけにはいかない。


ハナエルは震えてしまう身体を抑え、ハンマーを持ち構える。その目は据わり、魔王軍幹部としての風格を留めていた。


「ははっ! ひっさしぶりだね、そー呼ばれるの!」


「私もですね!」


2人の女性は少し笑みを浮かべながら構えた。意を決した大男も2人に相対する


「「はぁぁぁぁ!」」


「うおおおおぉ!」


魔王軍幹部対セイメル王国最強戦力。

この戦を左右する戦いが、今始まった。


ベガ 「祝! 20話突破なのじゃー!」


作 「いぇーい! 何だかんだで20話だぜー!」


ベガ 「……それでも作者の表現力は変わらんの」


作 「……それ言わないお約束……」


ベガ 「ワシは神じゃからな! そんなもので縛られたりせんぞ!」


作 「……まぁ、ベガのブラックジョークはさておき」


ベガ 「ジョークじゃないぞ?」


作「……チッ、まぁこれからも頑張っていくので宜しくお願いします!」


ベガ「宜しくなのじゃー!」

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