自己紹介!
「異世界へようこそ勇者様方!!」
目の前の王女(仮)はそう言い放った。
まじかよ…… ホントに異世界転移転移したのか‥‥ まぁ薄々気づいてたけどさ‥‥ って勇者様方?
後ろを振り向くと、イケメンでスポーツができそうな男の子。モデルの様な茶髪で胸がふくよかな美少女。腰くらいまである黒神で、胸が慎ましい平安時代のお姫様のような女の子がいた。
イケメン君とモデルちゃんは俺と同じで高校生くらいだな、ロングの女の子は中学生くらい‥‥?
てか、あの3人知り合い同士みたいだなー、3人で話し合ってるし。
‥‥‥んじゃ俺ボッチやん 、なんか泣きたい。……あれ?もしかして俺に気づいてないのかな?そんなに存在感無いかな? 俺、彼らと王女様の間にいるのになぁ……
蓮が自分の存在感の無さをしみじみと感じさせられていると、顔の整った男が金髪の女性の方へ近づく。
「貴方は誰なんですか?」
3人を代表して、イケメン君が王女(仮)に聞いた。
「ここはセイメル王国の首都 ランメルンです。私はセイメル王国の王女アリスと申します」
王女は丁寧な対応でイケメン君の質問に答えた。
‥‥ホントに王女だったな王女(仮)。良かったな、(仮)が取れたぞ。
「勇者様方をお呼び立てしたのには理由があります。我がセイメル王国を救って頂きたいのです。近年魔物が大量発生しており、魔王が復活したとの情報もあります。そこで、勇者様方に魔王を倒して頂きたいのです!」
‥‥テンプレだな、うん。何のひねりもないねー。あ、イケメン達がざわついてる。やっぱり驚くよそりゃ。……俺はあんまり驚いてないけど。
それより、俺が存在感を空気にしている間に王女とイケメン君達で話し始めちゃったなぁ。
どうしよ、ここにいても邪魔だろうし…… 後ろに移動しとくか。
俺はそう思い、イケメン君達の5メートル後ろらへんで体育座りした。俺の体育座りまでの一連の動作がなめらかすぎたためか、イケメン君達は気に留めてないみたいだ。
……決して俺の存在感が薄すぎるからではない。
余談だが、蓮の影が薄いのは今に始まったことではない。蓮の性格が暗い訳ではない。むしろ明るい方なのだが、不思議と影は薄い。その影の薄さは動物にも効果があるようで、飼育係として犬や猫を育てていた時も犬や猫に気づかれなかったことがあるのだ。
この特殊能力は戦国時代ならば忍びとして活躍する機会があったかもしれないが、現代日本ではただただ影が薄いだけで何の役にも立たない。
「ま、魔王なんか知らない! 私たちを返して!」
モデルちゃんが王女の話を聞いて、焦りながらそう言った。その声は少し震えていた。
「そこをなんとかお願いします…… それに、私達も返し方が分からないのです…… 先程お呼び立てしたと言いましたが、私達が勇者様方を召喚したのではないのです…… 伝承に今日勇者様方がいらっしゃると記されていたのです……」
「お母さんやお父さんにもう会えないの……?グスッ‥‥」
今度はロングちゃんが半泣きになりながらそう呟く。
なんかちっちゃい子が泣いてるの見ると心が痛むな‥‥
というかさ、どうやらモデルちゃんもロングちゃんも俺の事を忘れているようだ。
さっきまで君らの前にいたんだけどな‥‥ てか、もしかしてこの場にいる全員が気づいてないんじゃね?
あれ、おかしいな……… 涙が出そうだ……
「ふざけないで! 勝手に呼び出しといて、帰る手段がないだなんて! 責任もってかえしなさいよ!」
モデルちゃんが烈火のごとく怒り出す。綺麗な人ほど怒ると怖いよね。
さっきっから俺の空気感ヤバくない? 今ならここで寝れそうだな‥‥ あ、なんか眠くなってきた。
「落ち着け、梨花。凛も泣いたってしょーがないだろ、今はこれからどうするかが大切だろ?」
「‥‥そうね正義。ちょっと感情的になっちゃったわ。……ごめんなさい王女様、強く当たってしまって‥‥」
「いえ、当たりたくなる気持ちも分かりますから。帰る手段は私達が責任もって探し出します! ですのでどうか!魔王討伐を手伝って頂けないでしょうか?」
「うーん俺はいいんだけど……梨花と凛がなぁ……」
「今すぐには決められないわ…… まだ動揺して、上手くあたまが回らないのよ……」
「今すぐにとは言いません! 勇者様方にとって、大事な決断ですからね……」
どうやら、イケメンは正義、モデルちゃんが梨花、ロングの子が凛という名前みたいだな。
王女とイケメン君達はそこから何か話していた‥‥
俺も話に加わろうかな…… いやダメだもう眠い…… ふぁぁぁ‥‥おやすみぃ‥‥
「zzz‥‥」
「なんだ、誰かのいびきが聞こえるような‥‥ って体育座りで寝てる!? この状況でか!?」
正義は気持ちよさげに寝ている蓮を見つけ驚いた。
「わっホントだ」
「大物ですね……」
「さすが勇者様ですね‥‥ 普通できないですよ‥‥」
梨花、凛、アリスが蓮の方を向いて驚く
と、そこでようやく蓮は目を覚ました。
「ふぁ‥‥ ん? なんで皆こっち見てんの‥‥? とうとう俺の存在に気づいたの……?」
「気づいたのは君のいびきにだがな。……まぁいい、自己紹介しよう。俺の名前は日野 正義 17歳だ! 凛と梨花とは中学からの友達だ! 同じ境遇だからな、協力してやっていこう!」
イケメン君が意気揚々と言う。元気一杯だな、松〇修造かよ。寝起きなんだか少し静かにしてくれよ。
「私は霧野 梨花。正義と同じく17歳よ」
モデルちゃんはクールだねー。キリッとしてキャリアウーマンみたいだな。
「私は雪城 凛っていいます。梨花ちゃんや正義君と同じ17歳です‥‥。よ、よ、よろしくお願いします!!」
「よろしく‥‥」
ロングちゃんはもじもじしながら言った。小動物みたいでとても可愛い‥‥ 高校生なのが信じられないくらいだ。実際中学生だと思ってたしなー。
あ、流れ的に俺の番か……
「俺は雨宮 蓮 みんなと同じ17歳だ。まぁ、なんだ、よろしくたにょむ。」
‥‥噛んだ。ハズい。今までクールぶってたのに噛むだなんて…… 俺のバカァ! 凛ちゃんと梨花ちゃん吹き出してんじゃねーか! 俺の顔も真っ赤だよ! 穴があったら入りたいっ!
yappoiです。
書くのって難しいですねー。ジョブまでいかなかったよ。