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グリズリ!

~一言でわかる前回のあらすじ~


大抵のことはベガのせい

スーが泣き止んだ後、ブラックウルフをスピカが見つけ、ブラックウルフとホワイトウルフを使役することに成功した。2匹の名前は安直だがクロとシロにした。名前を聞いた瞬間にスピカが吹き出していたが気にしない。


クロとシロの2匹を魔物収納を使ってグリズリへと送ると、俺のレベルは18になり、クロとシロの毛皮と牙を手に入れた。残念ながら使役のレベルは上がらなかったが、まぁそれは望みすぎだろう。


「で? この後どーするのレーくん?」


「あー、ベガから新しいスキル貰ったからそれ使おうと思ってるんだよね」


「ふーん、どんなスキルなの?」


あ、そーいや正確には確認してねーな。


俺はステータスを開き、魔物転移の欄をタッチした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


スキル 魔物転移


魔力を使い、使役している魔物の元へ転移することが出来る。 自分と触れている人や魔物も同時に飛ばすことも可能。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ん、人数指定とかなくて良かった。

このことをスピカに説明したら、「ボクの魔法に似てるね!」と少し喜んでいた。


説明も終わり、スーが早く行きたいと騒ぎ出しそうだったのでさっさと行くことにした。


「んじゃ行くか!」


俺は心の中でクロとシロを思い浮かべながら「転移!」と叫んだ。

すると、周りから青い光が集まって俺たちの身体を包む。


《スキル: 魔物転移 が発動しました》


青い光消えてなくなると、森の中に蓮達の姿は見えなかった。


□□□


俺たちにまとわりついていた光が消えると、俺たちの目の前にはクロとシロがいた。

じゃれついてきたので頭を撫でてやったらとても嬉しそうに尻尾をふっていた。


クロとシロを撫でながら辺りを見ると、そこには見たこともないような世界が広がっていた。


今俺たちがいる辺りには草原が広がっていて、ところどころに森があった。ここまではまだ普通だと思うだろう? しかし、色々見たこともないようなものが生えてるんだよね……


1番最初に目に付いたのは空の色だ。大まかに言えば薄い色合いで出来ていた。パステルカラーって言えばいいのかな? まぁそんな淡い色の空なのだが、金色や銀色の雲が浮かんでいた。


まーひと目見れば異世界感が凄い。綺麗だからいいけどさ。


次にこの草原だ。普通なら辺り一面緑色のはずだろ? ところがどっこい赤色や青色、はたまた虹色のところがあったりする。

隣のスピカも驚きすぎて声が出ていない。



森を見ればよく分からない種類の木が多く生えていた。多くの種類の果実を実らせる木や、金色に光る木などあったが、特に異常だったのは剣や防具を実らせていた木だ。放心状態だったスピカの意識を何とか戻し、その木に近寄り剣をとってみた。素人目でも中々の業物のように見える。使い勝手が良さそうだし、何より切れ味が良さそうだ。


「レ、レーくん…… この剣、一級の鍛冶屋でようやく作れるレベルだよ……?」


……中々の、ではなくかなりの業物だったようだ。


「マスター! スピカねーちゃん! こっちはもっと面白いから来てよ!」


「あはははは、早くいこーぜスピカ」


「レーくん! 何でそんな落ち着いてるのさ!」


「もうサプライズには慣れたよ……」


スーに手を引かれて森を抜けると、俺から見て右の方には砂漠があった。手前の方は肌色だが、奥の方に行くにつれて赤、青、黒の砂漠があった。 ありえない色合いだが、もう突っ込むのはやめだ。ベガが作ったんだ、常識外れは当たり前だろう?


俺から見て左の方には雪原が広がっていた。

白い雪でなく、桜色や水色の雪も降っていた。素直に綺麗に感じた。スピカもその幻想的な光景に見とれているようだ。


その砂漠と雪原の間、つまり俺の正面にはまぁ比較的普通な緑色の草原が広がっていた。


俺たちはこの世界を見て回るためにクロとシロに乗せてもらうことにした。流石にこんだけ広い世界を歩いて行くのは考えたくない。


シロには俺とスーが、クロにはスピカがそれぞれ乗った。2匹の狼はかなりの速さで走り出した。周りの景色が浮かんでは消えいく。


いくら何でも速すぎない!? 時速60キロは出てんじゃない!?


「クロ、シロ! もう少しスピード緩めて!」


しかし、クロとシロは俺の言う事を全く聞かずに走り続けた。


俺は忘れていた。狼にも言葉が通じるわけがないということを……


スーが全ての魔物と喋れることを思い出したのは、草原を抜けた後だった……


□□□


「はぁ……はぁ……死ぬかと思ったわ……」


「ボクも……」


命懸けでクロとシロにしがみついていた俺とスピカはぐったりと地面に寝そべっていた。

草原を抜けた先には小さい池しかない、静かな平地が広がっていた。

そこではジャイアントラオペがキュピキュピ鳴きながら待っていた。


「ここは皆がいるとこだよー! 昨日もここで遊んだんだー!」


ほほう、ここが皆の憩いの場ということか。

確かに他の所よりも落ち着くな……


「よし! じゃあここに拠点を作ろうぜ! 家なしじゃ寂しいだろ?」


「やったー!」


「キュピ!」


「「ワン!」」


俺が提案してみると、俺の意見に皆賛成のようだ。


「レーくん、それはいいけどさ、どうやって作るの?」


スピカの意見もごもっともだ。確かに俺のいた世界で家を作るのはかなりの重労働……

しかし! この世界はスキルがある!

しかも頼りになる奴らもな!


「クロとシロは建築に向いていそうな木を探して来てくれ、俺とスピカはそれぞれ転移魔法を使ってその木を回収。 その木をスーやジャイアントラオペの粘糸でひと塊にしてくれ。それを俺の創造スキルで家の形につくりかえる! 」


俺の計画を聞いてスピカも納得したみたいだ。俺たちはすぐに計画を実行に移した。


ついでにだが、俺はまだジャイアントラオペを使役してなかったことに気づいたので使役を使った。スーに聞いたところこいつはオスだったので、名前はイアンにした。


まぁそんなこんなで、日が落ちる頃には巨大な木の塊が出来上がった。余談だが、日が落ちると空の色は淡い色合いから濃い色合いになるみたいだ。主に紫や青が強いが、ところどころに黄色や赤色が見える。


やばいやばい、本格的に夜になる前に終わらせよう。木の塊に手を当てて、スピカのログハウスより大きなものを想像する。


木の塊に緑色の光が集まる。光が当たっているところから家の形になっていった。


「凄いマスター!」


スーが褒めてくれんの嬉しいんだけどさ、これかなり疲れるね! なんか力がどんどん抜けてく感じ…… 魔力をこんなに使うことなかったもんな……


家が出来上がったと同時に蓮は目の前に倒れ込んでしまった。スーやスピカ達は蓮が倒れ込んでしまったことに驚いたが、すぐに蓮に駆け寄る。


「大丈夫マスター!?」

「大丈夫レーくん!?」


「あ、あぁ……大丈夫……疲れて動けないだけ…… 悪いけど仰向けにしてくれ……うつ伏せつらい……」


仰向けにしてもらうと、空一面に白く光り輝く星と、一際存在感がある黄金の月が浮かんでいた。


あぁ……綺麗な夜空だなぁ…… 俺が元いた世界でも、スピカ達の世界でもこんなに綺麗な夜空は見たことがないや……


夜空に心を奪われている蓮はシロにのせられ、新しく作った家に入った。


「レーくん疲れてるでしょ? もう寝る?」


「うん……よろしく頼む……あ! でもベッドまだ作ってないぞ!」


クソっ盲点だった…… スピカの家に帰ればいい話なのだが、いかんせん今の俺には魔力はほとんど無い。うーんどうしようか……


「ふふん! まかせなよレーくん! シロやクロの毛皮持ってたよね?」


「ん? あぁカバンに入ってるぞ」


「それなら大丈夫! スーちゃん、イアンちゃん手伝って! 」


「いいよー!」

「キュピ!」


スピカ達が作業してから数分後、スピカは毛皮でできた布団をもって出てきた。


「粘糸と毛皮で作ってみたよ!」


女子力高いなスピカ……

でもありがたい……すぐに使わせて頂こう。


蓮は布団にくるまるとすぐに寝息をかきはじめた。それを微笑ましくスピカやスー達が見る。


「さ! ボク達はご飯にしよーか!」


「やったー!」


「キュピ!」


「「ワン!」」


奇妙な世界の一軒家は幸せな雰囲気に包まれていた……

ベガ 「やはりグリズリはいい所じゃな~」


作 「だよな~」


ベガ 「ワシも行きたいの~」


作 「……ん? 今なんて?」


ベガの姿はその場からいなくなった。



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