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試験!

~一言で分かる前回のあらすじ~


ギルドへ行きました!

ギルドに入ると、目の前には筋肉隆々の隻眼の大男がギルドの決まり口上を俺に遮られたのが不快に思ったのか少し不機嫌そうに立っていた。


「ようこそ命知らずの馬鹿野郎! ここはセイメル王国ギルド! 皆と一緒にバカやったり、心躍る冒険をするとこ」


「もう聞いたっつってんだろ!! しつこいぞ!!」


「うるせぇ! 俺はこれが言いたくてギルドに入ったんだよ! これを言うとなここに来た奴らは皆目を輝やかせんだよ! それなのになんだよてめぇ! 目を輝かせるどころか心底疲れきった様な目をしやがって!」


そんな理由ではいったの!? しかもなんで逆ギレしてんだよこのオッサン!? そんなに大事なのこの口上!?


ちらりとスピカの方をみるとあははと少し苦笑いしていた。どうやらこんなにも執着してるのはこのオッサンだけのようだ。


「すみませんウチのバカが迷惑をおかけしました。ギルド登録しに来られたんですよね? 」


「あ、はい」


声を掛けてきたのは眼鏡をかけた仕事ができそうな女性だった。 おそらくギルドの受付嬢だろう。


「おい! 俺を無視するんじゃねぇ!耳の穴かっぽじってよーく聞きやがれ! ようこそ命知ら……」


「うるさいですよギルドマスター? 仕事漬けにされたいんですか? 分かったならさっさとどっかいってください」


「すみませんでした。仕事してきます」


ギルドの受付嬢さん凄い…… さっきまで騒音を撒き散らしていたオッサンを一言で黙らせ、退散させたぞ……絶対に怒らせないようにしよう……


「こほん。あのアホが失礼しました。私はここのギルドの受付嬢をしております、マインと申します。あ、さっきのアホがオリオンですね。名前は大層ですが見ての通りアホですのでそんなに緊張しなくて大丈夫です」


いや、別に最初から緊張してないよ。どちらかというとマインさんがギルドマスターをアホ呼ばわりしてる方が恐ろしいよ。スーなんてさっきっからガクガク震え出してるんだけど。野生の本能でマインさんが危険なのを察知しちゃってるよ。


「えーと、スピカはもう登録済みですし、あなたと後ろのお嬢さんの2人が登録ということで大丈夫ですか?」


「あ、ちがうよマインー? 登録するのは蓮だけだよー?」


「えーっと蓮さんであってますね? そちらのお嬢さんは登録しないんですか?」


スピカの説明を受け、マインさんが俺に聞いてくる。スーは俺が使役してる魔物だからな、登録は俺だけでいいのか。


「あ、はい。 俺は魔物使いなんですけど、スー……この女の子は、俺が使役してる魔物なんですよ。」


「え? なんていいました?」


「だから、俺が使役してる魔物なんですよ」


「ど、どういうことですか? スピカ!?」


あ、スピカに逃げた。そういやアリスに説明した時も驚いたっけなぁ……


「えーっと、はい。まぁ信じましょう…… それでは蓮さんだけギルドに登録するということでいいですね?」


「はい。よろしくお願いします」


「それでは少し試験をさせていただきます。といっても簡単なものですし緊張しなくて大丈夫です。それじゃあついてきてください、歩きながら説明しますね」


マインさんが歩き出すので俺たちはマインさんについて行った。


「ではまずギルドについて説明しますね。スピカ、まだ説明してないんですよね?」


「うん、してないよー」


「分かりました。ギルドというのは市民や国からの依頼をこなして報酬を貰うことで成り立っています。」


ほう。アニメやゲームとかと同じだな。


「また、ギルド員にはランクが決まっており、そのランクによって受けれる依頼が変わってきます。」


「ランク?」


「はい。依頼をこなした量や功績に応じてランクは上がります。ランクの種類はE、D、C、B、A、S、SSの7種類ですね」


「スピカはどのランクなんだ?」


「Sだよ~」


「スピカおねーちゃん強いんだねー!」


「あはは、頑張ったからね~」


意外とスピカは高ランクだった。考えたら騎士団長にあんだけ軽口叩けるんだもんな、当然っちゃ当然か


「Sランクはスピカも含め10人程しかいませんね。蓮さんも高ランク目指して頑張ってください」



……スピカって何者なんだろ。

ちらりとスピカを見ると微笑むだけで何も言わない。まぁ考えるのはやめよう。


「あ! そういえばマインさん、試験ってなにするんですか?」


「試験では実際のギルド員と戦ってもらいます。あなた方の相手は……ちょうど闘技場に着きましたね、相手は実際に確かめてください」


長い廊下をぬけ、ついた場所はコロッセオのような床一面砂の円形の闘技場だった。


「わーい! ここで戦うの?」


スーがぴょんぴょん飛び跳ねながらはしゃぐ。無邪気で可愛いなー……戦うとか言わなければ。


「はい。それであなた方の戦う相手が……」


バンと音を立て、目の前の扉が開いた。

そこから出てきたのは筋肉隆々、隻眼の……


「ようこそ命知らずの馬鹿野郎! ここはセイメル王国ギルド! 皆と一緒にバカやっ」


「さっき聞いたっつってんだろ!!」


俺の叫び声が響いた。


まさかのギルドマスターだよ!

しつこいなこいつ! いい加減口上は諦めろよ! マインさんから冷たい空気がヒシヒシと伝わってきてんじゃねえか!


「すみません蓮さん。スピカを除くと、今はこのアホくらいしか強いのいないんですよ」


「ちなみにギルドマスターってランク何なんですか?」


「Sですね。まぁ安心してください、手加減しながら戦いますから」


「任せとけ!」


まぁ少々不安はあるが…… スーが使えるなら大丈夫だろう。


「それじゃあ始めますね。あ、蓮さん剣を使ってもらっても大丈夫です。アホでも一応Sクラスですから」


ふむ、そういうことなら遠慮なく使わせてもらおう。


試験開始と共に、俺とスーはオッサンに殴りかかった。


しかし、オッサンの姿が一瞬消えたかと思うと天と地がひっくり返った。どうやら俺とスーは転ばされたらしい。スーはすぐに立ち上がるとオッサンにむかって殴りかかる。

俺もその間に立ち上がり、袈裟斬りを行うが避けられる。


「ほれほれ~ 全然当たらんぞ~ 」


あぁクソっめっちゃムカつくな。ドヤ顔で俺たちの攻撃を捌ききってやがる。このまんまじゃ勝てないな……


「スー! スキル使え!」


「分かった!」


スーは粘糸を作り、オッサンに当てようとするが避けられる。


「ハハハハハ! 全然当たらんぞ! お嬢ちゃんがグリーンラオペだということは聞いていたからな! その攻撃もよんでいたさ!」


どこで聞いてたんだこのオッサン! 言った時に居なかったはずだろ!?


「ハハハハハ! ほれっ! ほれっ!」


諦めずにスーが攻撃するが、全部の攻撃を避け、カウンターをくらってしまっている。


「もー! 怒ったよ! 」


「落ち着けスー! 普通にやっても勝てないぞ!」


「ハハハハハ! そのとーり! なんたって俺はギルドマスターだからね!」


俺はスーに作戦を伝えた。このオッサンに一泡吹かせてやる!


作戦を聞くと、スーはオッサンにむかい全速力で走り出す。砂場だというのにかなりの速度だ。俺もスーの後をおい、全速力で走る。


「ハハハハハ! 結局あいも変わらず突進かね! 少しは頭を使え! 」


オッサンがスーの攻撃にカウンターをしようと構える。


スーとオッサンの距離が2mをきったときに、スーは手からありったけの粘糸を出した。かなりの量で、目くらまし程度には十分だ。その間にスーは元の手のひらサイズのイモムシに戻り、俺はスーを掴み、オッサンに投げつけた。


「この程度の糸を避けれない私ではない! む? お嬢ちゃんはどこに行ったのだ? 」


「教えてやろうか? いまだスー!糸をだしまくれ!」


「あいあいさー!」


オッサンの服の中に無事入れたスーは、オッサンの服の中から粘糸を出し、オッサンを拘束する。オッサンも流石に予想外だったらしく、反応したころには糸まみれで動けなくなっていた。


「ぐ! だがすぐにこんな糸引きちぎって……」


「数秒稼げれば十分だ!」


俺は剣を捨て、思いっきりオッサンの顔を殴った。


「ふん! お前の攻撃なんぞ痛くも痒くも……」


「スーもやれ!」


「うん!」


スーはイモムシから人間へと戻り、思いっきりオッサンの股間を蹴り上げた。


スー……容赦ないな……


オッサンは顔を青くし、股間を抑えながら倒れる。


「やったー! やったよマスター!」


「あ、あぁうんソウダネ……」


今はその無邪気さが怖いよスー!


「お疲れ様です、蓮さん、スーさん。これで試験は終了ですね。手加減ありとはいえ、Sランクを倒したので、まぁBよりは上のランクになるでしょう」


マインさんがこちらに近寄り説明してくれた。Bか、なかなか上だな。まぁ試験も終わったことだし、今日はもう寝たいな……


そう思っていると、スピカもこちらに近づいてきた。その顔は満面の笑みでかなり興奮しているようだ。


「お疲れ様! レーくん、スーちゃん!凄いね勝っちゃうだなんて! 将来が楽しみだよー!」


「あはは、スーのおかげだよ」


「作戦考えたのはマスターじゃん! マスターがすごかったんだ!」


「2人とも凄かったってことだよ! あ、でももう疲れたでしょ? 晩御飯でも食べようよ」


「そうですね、このアホもまだ起きそうにないですし、蓮さん達はもう帰って頂いても大丈夫ですよ。明日ランクはお伝えしますね」


「んじゃご飯食べに行くか!」


「やった! 早く行こー! マスター!」


俺たちは闘技場を出てギルドで経営してる酒場へとむかい歩き出した。


オッサンが気になり後ろを振り向くと、オッサンは未だに股間を抑えて倒れている。


「どうしたのマスター? 早くいこー!」


「そうだな」


俺は股間を少し抑えながら、スーのあとを追った。

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