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閑話 初代魔王の誕生

この物語はセイメル王国建国前の話です!


ノリで書いてしまったので、かなり下手なので読み飛ばしてもらって結構です!


下手でも構わないという人はお読み下さい!

この世界は腐っている。


貧民は虐げ、自分は私腹を肥やす貴族。理不尽な言いがかりで国民を処罰する国。暴力で弱者を屈服させる強者。そんな状況を打開しようともしない弱者。


俺――アル・イールズ もこの腐った世界の一員だ。俺は貧民街で生まれた。生まれた頃から弱者だった。親は国に殺された。俺と妹をかばって、目の前で衛兵に切られる姿は今でも夢に出る。


それだけ強烈な出来事があっても、俺達は悲しむ余裕がなかった。

生き抜くために、俺達は泥水を(すす)って生ゴミを(むさぼ)った。それでも腹は満たされないので、街へ出て甘い匂いを漂わせる果物を盗んだ。

衛兵は容赦なく武器を抜き、嬉々としながら俺達を殺そうと追いかける。


そんな地獄のような毎日を15年間続けてきた。

いつ頭が狂ってもおかしくなかったが、それを防いでくれていたのは妹の存在が大きかった。


苦しい時も嬉しい時もいつも笑顔を絶やさず、俺を笑わすために色んなことをしてくれた。妹は特にサプライズが得意で、いきなり突拍子もない事を言っては俺を驚かせてくれていた。

今思えば、それは妹の気遣いからだったのだろう。

人生に疲れて、感情が薄れかけてる俺を救おうとしてくれてたんじゃないかと思う。




そんな大切な妹が、俺より先に両親の元へ逝ってしまった。妹は栄養失調だったのだ。ちゃんとした食事さえとれていれば妹は助かったのだ。


神という存在がいるのならば、この世界を壊してほしい。俺はもう、生きる希望(りゆうがなくなってしまったから。せめて全てをぐっちゃぐちゃに潰して、貧民も貴族も国も世界ごと、俺ごと消してほしい。


この腐った世界は希望をも腐らせたのだから。


□□□


俺は気がつくと、辺り一面真っ暗な空間に立っていた。唯一目の前には薄気味悪く光る扉があった。


いったい何があったのだろうか? 俺は貧民街にいたはずだ。動揺が隠せない。まさか本当に世界はぶっ壊れたのだろうか? それならどんなにいいだろうか。


俺はその場で数分ほど考え、考えても何も分からない事を思い知らされた。手がかりがあるとすれば目の前の扉の先だろう。俺は意を決して扉のノブに手をかけると、扉に吸い込まれた。


目の前には和服の女性が立っていた。

少し不気味に微笑んでいる。


「ようこそ、アル。私はベガという者だ。突然だがお前に力を与えてやろう。」


目の前の女性ーーベガというらしいーーがぽつりと呟いた。ベガはそう言うと俺の頭に触れた。


俺はベガが何を言っているのかが分からかった。現状も理解していない上に更に困惑することをしないで欲しい。不審に思いその場から逃れようとしたが、体が石になったように動かない。逃げることは許さないようだ。


ベガの手から妖しく光る緑の光が集まり、俺の体を包む。


《スキル:神造 を手に入れました。》


俺は何かを手に入れたようだ。スキル? なんだそれは? 今まで聞いたこともないぞ。俺が困惑していると、ベガは説明しだした。


自分はこの世界の神であること。


スキルというのはおとぎ話に出てくる魔法のようなものであること。


神造というスキルは1度だけ、この世にないものを創ることができる力であること。


説明を終えると、ベガは他に質問がないか尋ねてきた。


「なぁ…… 何で俺にこんな力を与えたんだ?俺にどうして欲しいんだ?」


俺は1番の疑問点を聞いた。何故俺だったのか。弱者である俺にこの力を与えたのか。


「別に理由なんてものは無い。強いて述べるなら…… お前がこの力をどう使うのか……それに興味があったのだ」


ベガはそう説明する。なんだ、神の気まぐれか……


俺は気がついたら元の世界に戻っていた。

少しの不信感はあったが、ベガの言葉を信じることにした。


すぐに腐った世界を正すために魔物を創り出す能力を創り出した。創り出した能力で魔物を創りまくった。魔物という共通の敵が現れれば、人は変わるとおもったからだ。


俺が創り出した魔物は次々に人を殺し、国を滅ぼしていった。


この程度で滅びる世界なら滅びればいい。俺がこの世界の厄災となろう。全ての悪意と共に俺は死のう。


□□□


俺がスキルを手に入れてから2年が経った。


世界は魔界と人間界の二つに分かれた。


俺は魔王を名乗り、魔物を率いて人間界を攻めた。人はいつの間にかスキルを手に入れ、魔物に抵抗した。


しかし、際限なく溢れる魔物によって、人間界はどんどん魔界に攻め落とされていった。


俺を止める者はまだいないのだろうか……


□□□


半年後、人間界に変化があった。今までバラバラだった国が統合し、一つの国となったのだ。


ここから人間界と魔界の立場は逆転する。勇者と名乗る5人組のパーティーが現れたのだ。俺が創った魔物達は次々倒される。滅びつつあった人間界は盛り返した。


俺はこの腐った世界で、希望をようやく見れるかもしれないと、心踊らせた。


勇者達は俺がどんなに強い魔物を創ってもなぎ倒していく。俺の期待通り、勇者達は魔王である俺の元にたどり着いた。


俺はその日、とうとう勇者達に殺された。


あぁ…… ようやく、ようやくこの時が訪れた…… この腐った世界に希望が舞い降りたのだ。 この厄災をくぐり抜けた彼らなら、もう以前のように腐った世界にはしないだろう。


俺はこのとき生まれて初めて心の底から笑った。俺の体が光の粒子へと分解され、その場からアルという存在はなくなった。


□□□


「世界を正すために自分が悪役を演じる……か。なかなか面白い男だったな。やはりあの男にスキルを与えて正解だった」


和服の女性はクスリと笑った。


そしてボソリと


「相応の恩をかえさねばな」


そう呟いた。

追記


その後ら魔王を倒した勇者達によってセイメル王国は建国された。


アリスが治めている時代は、建国から400年経っている。



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