初戦闘!
~一言でわかる前回のあらすじ~
スーが可愛い女の子に進化しました
興奮するスーをなだめながら、俺は神界での事をスピカに端的に伝えた。スピカも最初は信じていなさそーだったが、スーの現状をみて渋々納得してくれた。その後スピカは朝ごはんを作りにキッチンへとむかっていった。俺はその間、スーに色々質問した。何を聞いても元気いっぱいで返してくるので、寝起きの頭にガンガン響いた。
質問して分かったことは、スー自身も現状を理解していないと言うことだ。ほとんど「スーもよくわかんない!」と満面の笑みで回答するんだぜ……全然情報が得られねぇ……
いや別に笑顔が可愛いから全然いいんだけどね! イモムシから天使にランクアップなさって何よりです!
スーから何とかして得られた情報は2つだ。
一つ目は、種族が変わっても使役スキルは有効であるという事だ。進化して種族が変わったとしても、使役状態は変わらない。まぁ当然だな。種族が変わって使役が解かれたらたまったもんじゃない。
二つ目は、スーは人型にもなれるし前のようにイモムシに戻ることができるという事だ。イモムシに戻ったとしても、今のように話すことが出来るらしい。まぁ今の方が可愛いし、人型でいるように言っておいた。イモムシに戻ってもたいして得がないしな。
スピカが朝ごはんを作り終えたので、みんなで頂こうとしたのだが、スーの分の椅子が一つ足りない事に気づいた。
丁度いい機会だ、創造スキルを試してみよう! スピカに大きい丸太とかないか聞き、もってきてもらった。
「何するの? レーくん。 もしかして、この丸太にスーちゃんを座らせる気?」
「スーはそれでもいいよー!」
「違う違う、これから椅子を作るんだよ。ベガに創造スキルを貰ったからね、試してみたいんだよ……よーしやるぞ!」
俺は丸太に手を置き、木製の椅子をイメージする。
すると、丸太に緑色の光が集まり俺がイメージした通りの椅子に変形した。
「すごーい! マスター!」
「丸太が椅子に……」
スーはぴょんぴょん跳ねながら興奮しており、スピカは呆然としている。まぁ、まさかこんなに上手くいくとはね…… 今までの流れ的になにか欠点があるのかと思ってたんだが杞憂だったな。これで俺にも使い勝手の良いスキルが手に入ったって訳だ!
俺たちは皆で朝ごはんにした。朝ごはんはフランスパンにコーンスープにスクランブルエッグだった。誰かに作ってもらうのなんて、母さんが生きてた時以来だな……
うん、美味しい。美少女にご飯作ってもらえるなんて、こんなに幸せなことは無いね……
幸せを噛み締めていると、パンをコーンスープに浸して食べていたのをスピカに見つかってしまい、行儀悪いよ? レーくん?と叱られてしまった。おいしいのにな……浸すの……
ご飯を食べたあと、俺たちはメドウ草原へと向かった。スーのレベル上げの為だ。
スピカの家は王城よりもメドウ草原に近いようで、徒歩で1時間ほどでメドウ草原に到着した。そこで丁度よく、茂みの中にゴブリンがいるのを見つけた。
「よし、それじゃあ初戦闘だ! スピカ、危なくなったら助けてくれ。いくぞスー!」
「わかった!」
「わかったよレーくん。見守っててあげよう~」
俺とスーはゴブリンに向かって走り出した!
□□□
ゴブリンの後方3メートルまで近づいたら、攻撃をしかける。
「スー!わかってると思うけど粘糸で行動できなくしろ!」
「うん、わかった!」
そう言うとスーの手から粘糸が数本飛び出て、ゴブリンに絡みつく。
「ギギィ!?」
ゴブリンは不意をつかれて驚いているようだ。ゴブリンに絡みついてる粘糸は今にも切れそうで、数秒程でちぎれてしまうだろう。
しかし、スーがゴブリンをぶん殴って倒すのには十分だった。スーに殴られたゴブリンは光の粒子となって消えた。一連の流れを見て、俺とスピカは言葉を失った。
……え? ワンパン? スーが強いんだかゴブリンが弱いんだかわかんないな?
……スーが強いんだな。ゴブリンの顔歪んでたしね……
イモムシの威力じゃないね、ハハッ
《10の経験値を手に入れました》
《ゴブリンの爪を手に入れました》
おっ! 初経験値だね! あとどれくらいでレベル上がるかな?
「やったよ! マスター!」
スーがぴょんぴょん跳ねながら得意気に俺に話す。俺はスーの頭を撫でながら褒めてやる。小学生くらいの妹とかいたらこんな感じなのかな?
「凄いね! スーちゃん!レベル1なのにゴブリンを一撃で倒しちゃうなんて!」
「へへーん! マスターとの絆の力だね!」
「アハハ、ソウダネ」
いや、絆深めるほど一緒にいないんだけど。
昨日初対面なんですけど。純粋にスーの力なんですけど。
勢いづいた俺たちは森の方へ行き、魔物を狩りまくった。スーはとても強く、ゴブリンやスライムはワンパンで倒す。オークと戦っても全然余裕があった。
強いな…… 昨日までは普通のイモムシだったのに、今じゃ天使のように可愛いくて、オークを余裕で倒せるロリっ子に大変身するとはね…… もしかしたら勇者より強いんじゃないか? 勇者より強いイモムシ…… ハハッ笑えないぜ……
スピカにお昼ご飯にしよう? と言われ、一旦切り上げる。どうやらサンドイッチを作ってきてくれたようだ。ありがたや。
これまででスーは8レベ、俺は5レベにまで上がった。
残念ながら途中から俺の存在感は死んでいた……
その辺に体育座りしててもスーが魔物を倒してくれる。コバンザメになった気分を味わった。
スーの粘糸スキルのレベルも上がり、粘糸Lv3になっていた。粘糸Lv3 にもなると強度も増し、ゴブリンやスライム程度なら10秒以上拘束できた。
何レベくらいになったらス〇イダーマンみたいなこと出来るかな……
1度はしてみたいよね……
対照的に俺のスキルレベルは全く上がらなかった。せめて創造のレベルがあがって欲しかったな…… まぁ次の機会でいいな。それよりもご飯ご飯! お腹ペコペコだよ! 何もしてないけど!
サンドイッチを手に取り頬張る。
「ど、どうかな?レーくん」
「めちゃくちゃ美味しい…… ほんとにスピカは女子力が高いな…… 将来いいお嫁さんになれるよ」
「と、突然何言ってんだよレーくん! おちょくるのはよしてくれよ!」
スピカは顔を真っ赤にしながら俺の背中を何度も叩く。 そんなに動揺しなくてもいいだろ……
こう考えると今は幸せだなぁ。異世界生活2日目なのに、スピカやスーもいて、異世界をエンジョイしてる気がする。元の世界だったらこんなに幸せに思えることは無かっただろう。そこはベガに感謝だな。
願わくばこんな平和な生活がずーっと続いたら良いなぁ……
私に戦闘の描写を求めても無駄さ!
普通の描写ですら満足にできてないんだからね!
……これから頑張ります。すいません、はい。




