プロローグ
外は雨が降っていた。
「うーわ雨降ってるじゃん。帰れねー」
俺———雨宮 蓮は教室から雨の降っている外の様子を見て、一人でぼやいていた。
飼育係の仕事のせいで、休日の真昼間だと言うのに高校に登校していたのである。まぁしたくて飼育係をしているんだから仕方ないとは思うけど……
「どーしよっかなー お母さん呼ぶしかないかー」
鞄の中の携帯を使うために鞄の方に歩いていくと、不意に床に魔法陣が展開された。その魔法陣は見たことの無い文字で書かれていて、どんな意味なのかは理解できない。しかし、こういう展開はよくラノベやアニメで見たことがある。
「は? これって異世界転移とかのーーー」
言葉を言い終える前に魔法陣は光りだし、蓮の姿は教室から失くなった。
□□□
「ーー魔法陣って、何処ここっ!?」
俺は気づいたら慣れ親しんだ教室とはかけ離れて豪華な、王室のような場所にいた。っていうか王室でなぁここ。目の前に金髪ロングのいかにも王女というような女の子がいるし。警護の人とかいっぱい付いてるし。
……まぁこの子を王女(仮)とでもしておこう。王女(仮)はアニメに出てきそうなほど可愛いくて、「伝承通りですね‥‥」と言いながら涙を浮かべている。
その仕草も可愛い‥‥ っといかんいかん見惚れてしまいそうだった。
そんな煩悩満開でいたら、王女(仮)は泣きやみ、少し赤くなっている目をこちらに向ける。
「異世界へようこそ勇者様方!」
……予想はしていたよ、この場に来た時から。
魔法陣とか瞬間移動とか、現代科学では実現できないだろう。 だから、俺はずーっとこの可能性にはきづいていたが、流石に確信はしてなかったんだよ。
でも、王女(仮)の言葉で確信させられた。
どうやら俺は本当に異世界転移してしまったようだ。