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前書き(必読)
「ユマ、ここよ」
「ああ、確かに『テナード』って表札に書いてあんな、ミジェ。じゃ、やっぱりここにいんのか…?」
深い青の髪を右だけ高い位置で結んだ可憐な少女と、つんつんした金髪で、首元の髪だけをちょこっと伸ばし、ユマと呼ばれた少年、そして、かすかに緑がかかった長い髪を後ろで伸ばした男がカリス街のはずれにあるとある家で止まった。
「じゃあ、インターホン押してくれない?」
「嫌だ。ディセラに頼めよ」
「ざけんな。斬るぞ」
ディセラといわれた男は、背中に差してあった長い黒刀を抜き、ユマに向けた。
「ちょっ…タンマ…ね…?」
「疑問系なのね。クスッ(笑)」
「いっぺん痛い目に合え。俺に厄介ごとを回そうとするとこうなると」
ディセラがユマに刀を振りかざそうとした瞬間、香ばしいパンのにおいがして、高い声が後ろから聞こえた。
「あの〜…人の家の前で人殺しは…」