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詩のサークル

瞑目

作者: 齋藤 一明

台風一過


嵐が去った翌日、空を覆う天蓋は払われていた


暴風に押し倒されたかにみえた森の木々がすっかり勢いを取り戻し

木々より更に大きい葉が、そこらじゅうに散らばっている


森は水浸しになっているのに、次から次へと巨大な水玉が伝い落ちてきた。


どうにか住まいが無事だったのがなにより幸いだ。


生き延びた

身震いするほど嬉しいことだ

あっちでも、こっちでも、歓喜の声が満ちている



が、陽が翳るにつれ、寒気が流れこんできた



夜来の風が吹きぬけてゆく

一夜で水は退いたとはいえ、寒気がますます強くなった


保温のできぬ吾らにとって、嵐は滅びの声だったのか

そんなことなら、いっそ口笛よ聞きながら滅びたほうが楽だったのか


昨日の身震いは歓喜だった

しかし、今日の胴震いは寒気


ともし火が消える前の震え


コウロギどんが身を震わせている

ウマオイどんもなさけない声で鳴いている


すっかり数が減ったなあ



草叢に一匹だけ残ったマツムシが、弱々しい音を響かせた



ーーーーーーーーーー


草叢から聞こえる虫の音が弱々しくなりました。

あれほど群れ飛んでいた秋アカネは一匹もいなくなり、飛ぶ虫といえば蚊くらいなものです。


盛んに音を楽しませてくれたコオロギも、今では個体を識別できるほど減ってしまいました。

数少なかったウマオイはすでに沈黙。

マツムシも風前の灯


映画『冒険者たち』

アラン・ドロンと、リノ・バンチュラの出演するフランス映画です。

そのワンシーンに、海底への葬送があります。

そのシーンに流れる曲『海底の葬列』を聴いて詩にしました。


口笛で旋律を歌ったあとで、同じ旋律を女声スキャットで歌います。


とても印象深い旋律です。

you-tubeに収録されていますので、ぜひ聴いてください。

映画『冒険者たち より 海底の葬列』



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