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18話 さあ、この中から四つ選べ

「……よし、ここら辺なら人はいねえな」


「人がいねえ所に来る為にわざわざ村の外まで来るのはどうかと思うぞ?……まあ、どうせ無茶苦茶な内容だからだろうがな」


「影が薄いくせによく分かってるじゃねえか」


「それは関係ねぇだろ!?」


 所変わって村の外。忍が事情を説明しろと言ってきたが為に人がいない場所に来たのだ。長話になりそうだし、一部実演とかもする事になるかも知れないから村の中では無理だと判断した結果だ。


「で、何から説明したらいい?

 ・フィールとビアンカについて

 ・夢幻列島からどうやって降りたのか

 ・降りてから何していたのか

 ・これからどうするつもりなのか

 さあ、この中から四つ選べ」


「要するに全部聞いていいって事だね。じゃあ、上から順に教えてくれるかい?」


「りょーかいだ。あー、自分で言うか?」


 俺が二人に聞くと、コクンと頷いたので各自任せる事にする。


「フィール。フィール・ヴェーチェル。……龍人族の族長の娘だったけど、六年前に夢幻列島に置き去りにされた。さっきも言った通り、カイトの恋人」


「ヴェーチェルって……あ!カエルムさんの娘か!?」


「え!?本当に!?あの魔境で六年間も!?」


「いや、名前を聞いた時に気付こうよ。……まさか、六年経って生きてるとは思わなかったけど」


「あそこの魔物、相当おかしかったと思うんだけど」


「と言うよりもお前ら龍人族の集落にでも行ったことあるのか?フィールの親を知ってるみたいな口振りだったが」


 四人はどうやらフィールの事自体は知っていたようで、晶を除いて皆驚いている。だが、正直ここでその話題を出すのはよろしくない気がする。


「ああ。実は夢幻列島に連れて行ってくれないか頼みに行った事があってな。まあ、断られたが」


「……そう」


「断られた理由はどうなんですか?」


 族長に連れて行ってもらうように頼んだけど断られたと聞いて、ビアンカが質問する。……まあ、どうせフィール関連だとは思うけどな。


「え?あー、フィールさんを置き去りにした事に負い目を感じてたようでな。例え生きていたとしても、もう一度会う権利は無いとかそんな理由だったな。……凄い顔してたぞ」


「……へえ、彼奴がね」


 忍がその理由を説明すると、フィールは呟いた。だが気の所為か、憎悪とか怒りとか、そんな感情が含まれていないように思える。


「……なあ、フィール。お前は、恨んだりして無いのか?」


 俺はそれが気になり、一応聞いてみる。地雷だとは分かっているのだが、気になるのだ。


「……別に、恨む理由が無い。置いて行かれた時は恨みもしたけど、その事があったからカイトやビアンカにも会うことが出来たから」


 フィールはそう言う。その表情や声色からは嘘だなという雰囲気は感じない。恐らく本心なのだろう。


「……そうか。まあ、フィールに関してはこの位だから次ビアンカよろしく」


フィールの心情に関しては心に留めておくとして、サクサク行くためにビアンカに自己紹介をさせる。まだ一つ目の項目なのに長々と続ける訳には行かないからな。


「ビアンカと申します。人間に見えますが、ホムンクルスです。魔族領にある研究所で魔導機械の研究をしていました。今は先程も申した通りカイト様のメイドをさせてもらっています」


 ビアンカが裾を摘みながら自己紹介をする。作法だけは立派なメイドだ。本質が駄目だが。

 

「……あれ?ホムンクルスって確か人より小さいサイズじゃなかったかい?」


「ん?晶なんでそんな事知ってるんだ?オタク文化はお前の専門外だろ」


「ヨーロッパの方の錬金術とかそこら辺の方からね。信憑性は無いけど本とかもあった筈だよ」


「そっすか」


 そういうのに興味が無いと思ってた晶だったが、どうやら普通なルートでそう言う知識を知っていたらしい。


「まあ、それは色々理由があってだな。まあ、重要度0だから気にするな」


「海斗くん、それは無いと思うよ?」


「そうだよ」


 本当に重要性皆無なのだが、女子二人が文句を言ってくる。じゃあ説明してやるか。

 

「……製作者がホムンクルス作製の道具に、巨大なフラスコとかそんな感じのを用意してやったから、その分サイズが大きくなったんだとさ。以上」


「……え?それだけ?」


「それだけ」


 俺が事実を簡潔に述べると微妙な表情をされる。事実ゆえ仕方がないのだが。


「なあ海斗。さっき魔導機械って言ってたよな?この世界で機械なんて見た事がねえんだがあるのか?」


「一応あるが、過去の文明の物みたいだな。相当前に滅ぼされて殆ど残ってないみたいだぞ。……まあ、此奴は普通に作れるが」


「カイト様も簡単なのは作れるようになっていた筈ですが」


「そうだった」


 忍には残念だが、日本にあったような機械はあんまり無い。原理も知ったこっちゃねえから作るのも無理だしな。


「……まあ、二人についてはこのくらいにしといて、次行くか。俺が飛ばされてから何してたかについてだな」


「それは凄い気になるね。あそこで生き延びるなんてとても出来そうに無いんだけど」


 晶が興味ありますといった顔で言う。まあ、此奴らにはクリスタル関連の事は言っても良さそうかな。


「まあ、初めの一週間は草とか木の実とか、そう言うもんを食べて凌いだな。一応洞窟を拠点にしてたんだが、ある日戻ってくるとフィールが倒れててな。手当てして、一緒に行動する事になった」


「……魔物には襲われなかったの?」


 美雪が不思議そうに言う。まあ、そう思うのも無理はないか。


「あー、それがだな。あまりにも弱すぎて認識されてなかったみたいなんだ。レベルを上げてからは認識されて襲われた。……運良く倒せたがな」


 正直、認識されて無いと知った時は微妙な気持ちだった。だけど、普通に襲われるよりは気付かれない方がマシだとも思ったけども。


「……その流れでレベルを上げて強くなったってことかい?」


「それに関しては微妙に正解だな。確かに、俺のレベルは90近くはある」


「「「「90!?」」」」


 晶が推測して聞いてきたので、答え合わせに行く。ただ、現在のレベルを言っただけで驚いてしまっているが。


「いや、それならフィールやビアンカは100は超えてるぞ?……まあ、ステだけなら俺よりは弱いけどな」


「……一体どうやったの?」


 美雪が聞いてくる。まあ、説明も無しに分かる訳も無いか。


「俺のスキルは物を作るスキルだ。……なら、それでステータスを上げるアイテムを作ったら……どうなる?」


「どうなるって……どうなるの?」


「まあ、材料もそこまで難しくなかったからな。作りまくってドーピングしまくったんだよ。寧ろこうしなきゃ力不足だったからな」


「なあ、結局今はどの位なんだよ」


 俺が説明してやると、忍が聞いてくる。……言ってもいいのか?まあ、いいか。


「大体5,000位」


「……もう一回言ってくれるか?なんかおかしい数値が聞こえた気がするんだが」


「5,000位」


「もう一回」


「5,000位」


「one more time please」


「しつけえ!」


「いってえ!」


 言ってやってるのに、忍がしつこく聞いてくるのでハリセンで頭をしばく。ちなみに、ビアンカにやる時と比べるとかなり弱めだ。まあ、ビアンカにやってる威力の奴を此奴にやると記憶に影響が出そうだからな。


「痛たたた……。何すんだよ」


「てめえが何回も同じこと聞いてくるからだろうが」


 忍は頭を抑えている。大分痛そうだ。まあ、痛いようにやったから当然だが。


「それでも叩くこたぁねえだろが。……で、そりゃ凄いな。まあ、それで力をつけてこれで降りてきたと」


 忍は苦い顔をして、ポケットから落羽のペンダントを取り出しながら言う。……まあ、辛かっただろうな。


「はははっ。まさか、そんなの使う訳ねえだろ。普通に飛んで降りたぞ。飛べるしな、ほら」

 

「なん……だと……?」


 俺は普通に空へ浮かぶ。そして、それを見た忍は定番とも言える反応を見せてくれた。


「って事は……海斗はあの降り方じゃないの?」


「イエース!ちなみにこれもドーピングの産物の一つだ。スキルレベルが低いうちは魔力の消費が割とでかいからお前らには用意しなかったけどな」


 百華が聞いてきたので、俺は笑いながら言う。別に此奴らにならクリスタルは用意してもいいかなと思ったのだが、多分忍の魔力が足りないかなと思ったのだ。此奴だけ魔力が少ないから。


「なんというか、つくづく規格外だな。この主人公め」


「主人公なら最初から最強が良かっ……いや、フィール達に出会えたから今のままで良かったか。まあ、夢幻列島に関してはこれからどうするのかの時に説明するからそこは置いておいて次行くぞ」


 忍が言ってくることを流しながら、俺は話を進める。話通しだからそろそろ面倒くさくなってきたからだ。


「……あれ言っても大丈夫なの?」


「此奴らなら信用出来るからな。まあ問題無いだろ」


「なあ、海斗。もしかして聞いたらあかん話だったりしないよな?」


 フィールと俺の会話を聞いて忍が不安そうな顔をする。まあ、聞いても別に構わないけどな。


「はは、そんな訳無いだろ。まあ、聞いたら本来進もうとしてた道から離れる事になるけどな」


「……それ駄目じゃね?」


 忍が嫌な予感がするみたいな顔をするが、俺は構わず話を続行する。少なくとも、日本組は全員巻き込まないと駄目なのだ。でないと不都合が生じるからな。


「大丈夫大丈夫。まあ、降りてから何してたかだな。まず、降りた先は魔王城だった」


「……魔王城?それって、私達が倒さなきゃいけない魔王のいる城、だよね?」


「それは不正解だな。魔王がいたのは事実だが、魔王は敵対する対象じゃねえよ」


「それはどういうこと?」


 四人は訳が分からないような顔をしている。まあ、分かるとは思ってないけどな。


「まあ、訳あって魔王と話したんだが、本人は人間との共存を目指してるようなんだが、幹部の一人がそれを裏切って人族との戦争が起こるように陽動してるんだとさ」


「……つまり、倒すのは魔王じゃなくてその幹部の方って事かい?」


「ま、そういう事だ。もっとも、他の幹部がレベル200前後だったから俺以外のクラスメイト全員で挑んでもあっさり返り討ちだろうな」


「うわぁ」


 魔王を倒す意味がないという事と、本当に倒すべき相手の予想できる強さを教えると、晶が似合わない声を上げる。初めて聞くような情けない声だ。


「ここら辺に関してはラントで会った春日部達にも伝えて無いからな。伝えるか伝えないかはお前らが決めてくれ」


「って、すでに他の奴らに会ったのか!?」


 俺が春日部達に会ったと聞くと忍はかなり驚いている。まあ、それもそうか。


「会ったぞ。確か、春日部、剛田、安藤、桐島の四人だな。そいつらには一部の情報は伝えたけど伝えて無い事も多い」


「伝えてないことというのは?」


「俺のドーピング、魔王と知り合いな事、俺達の具体的な目的。この三つくらいだな。お前らに隠し事するつもりはねえから安心しとけ」


「あんまり安心出来ないなぁ。かなり無茶苦茶なものなんだよね?」


 もっちろん。特に三つ目の奴がな。


「まあ、一旦それは置いておいてだ。魔族国で色々やって……ビアンカに会ったのはその時だな。まあ、その後にラントって街に行って春日部達と会って色々やってここに来た。そんなもんだ」


「色々多くねえか?」


「闘技大会に出て中止になったり遊び感覚でドラゴンを葬ったのが聞きたいなら聞かせてやるけどどうする?」


「あ、遠慮しとくわ」


 忍は俺のした事に興味があったようなのだが、例えをあげたら諦めたような顔をして引き下がる。悟ったのだろう。


「まあ、そういうと思ってたけどな。で、最後。これからどうするのか、についてだな。今、俺達は独自のルートで帰る手段を探してる。……保証もないし、命にも関わる。だが、個人的には確率は高いと思う」

 

「……そんなに危険なの?第一何をしようとしてるの?」


 美雪が聞いてくる。話には参加してきてたけど、感情は落ち着いてるのか?刺激したらまた泣き出したりはしないよな?


「簡単に言えば、空間魔法の限界を超えさせて世界を渡るって手段だな。まだ出来るかすらも分からん。ちなみに危険度に関しては……俺でも結構危険な位だ」


「海斗が危険って……一体なにがあるの?」


「とりあえず、ここで夢幻列島の話に戻るぞ。彼処は普通にそういう場所だと思ってたんだが、どうやら彼処は人工物のようなんだ」


 俺は百華に聞かれたので解説を始める。四人は、それを黙って聞いている。


「で、あそこには試練とか言うのが用意されててな。それをフィールと二人でなんとかクリアしたんだが、それの報酬がスキルの最大値を上げるっていうスキルだったんだ。で、魔族国の禁書庫にそれと他の試練に関する本があって、今は別の試練を受けに行く途中って訳だ」


「スキルの最大値を上げる?それで空間魔法を強化するってこと?」

 

「イグザクトリィ。あと、魔法を作り出すっていうスキルもあったからそれも併用する必要があるな」


 本当に帰れるかどうかは分からないが、今はこれくらいしか帰れそうな手段が無いのだ。


「なあ、色々おかしくなったお前がなんとかクリアした試練って……どんなのだったんだ?」


「あー?鬼畜だったぞ。自分の倍のステータスがある敵を、スキルと経験だけで打ち負かせって言う奴だった。……フィールがいなかったら死んでた」


「うへぇ、考えたくねえ」


 忍が試練に関して聞いてきたから答えてやったら露骨に嫌な顔をされる。それをクリアした俺とフィールの気持ちにもなってくれよ。


 まあ、試練に関しても触れたから、この際言い辛いことを言ってしまおう。……絶対に、四人とも拒否するだろうけど、うまい具合に言いくるめないとこれだけは駄目なんだよな。


「……二つ目の試練も、三つ目の試練も多分それと同等の難易度がある。だから、お前たちを連れてく事は出来ない」


 四人は大分強くなってはいたが、俺達には遠く及ばない位だった。だからこそ、試練には耐えられないと思い俺は四人にそう告げたのだった。

マジで時間が無い。辛い。でも書くのはやめない。

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