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14話 フィールVS海斗

「試合?随分と唐突だな」


「……あの闘技大会で負けた時から、ずっと考えてたの。それと、ビアンカが色々努力してるのを見て私はどうなのか?って思ってて。一応、魔族国からここに来るまで毎晩修行はしてた」


「毎晩?気付かなかったが」


「魔力のコントロールにはちょうど良いと思って、遮音と魔力遮断はずっと併用してたから。……で、お願い出来る?」


 フィールに何故試合をしたいかと聞くと理由を教えてくれる。闘技大会の時のことは吹っ切ったと思っていたのだが、まだ多少気にしていたようだ。


「まあ、構わねえ。ルールは?」


「一撃入れた方が勝ち」


「妥当だな」


 俺はフィールからの試合を受ける。正直な所、フィールとは一度も試合なんてした事は無い。お互いの鍛錬に付き合う事は少しはあったが戦うということはしていないのだ。


 ルールは単純、一撃入れた方が勝ち。あと、その後ある程度の決まりを話し合って決める。


 最終的には


 1、一撃入れた方が勝ち

 2、ブーストの使用禁止

 3、海斗はグラムの使用禁止


 こんなので決まった。ブーストは後々何か起こった時の為に温存、グラムは近くにあるだけで体調が悪くなるようなので使用禁止になった。まあ、試合なら妥当だろう。


 と言う事で、ルールも決まったのでお互い離れて構えを取る。俺は邪剣エクスカリバー (鞘入り)を取り出して片手で構えて、フィールは部分龍化を発動させて手に魔力を集めている。


 取り敢えず、最近全くフィールのステータスを確認していなかったのでフィールのステータスを覗き見る。あと、個人的には龍化中にどれだけステータスが上がるかが気になっている。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

フィール・ヴェーチェル

種族 龍人

レベル153


体力 942

魔力 5568

筋力 1413

敏捷 2280

物防 1824

魔防 2512


増加量 3370 (魔力)


スキル

格闘術レベル3 投擲術レベル3 隠密レベル5

探知レベル6 裁縫レベル5 縮地レベル7

飛行レベル9 龍魔法レベル8

《虹》レベル9

《覚醒》レベル1


備考 

部分龍化中 (筋力、敏捷、物防に1.2倍の補正)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 魔力以外のステは、俺には大分劣る。だが、表示こそされていないが俺の渡した装備によるドーピングもあり、そもそもの戦闘経験が俺とは段違いに高い。俺の知る限りじゃあ、俺にも通用する決定打を持つ数少ない人物だ。


 そして、俺がステータスを見ている間に、ビアンカから声が掛かる。


「あー、始めてもよろしいですか?……では、始め!」


 ビアンカが聞いてきたので2人で頷く。そして、始まりの合図がされる。


「『火嵐』『水嵐』『氷嵐』『風嵐』『石嵐』『電嵐』」


 合図と同時に、フィールが魔法を六つ同時に発動する。ファイアストーム、ウォーターストーム、アイスストーム、ウィンドストーム、ロックストーム、サンダーストームという、小さい魔法弾を大量にバラまく魔法だ。要するに、見たくない量の弾幕が展開される。


「ちょっ!?危ねえ!」


 俺はそれを確認して大急ぎで横方向に逃げる。流石に避け切れる量じゃ無い。


「『石荊』」


「うお!?オラァ!」


 俺が逃げようとした時、フィールが追加で魔法を発動する。大地から石で出来た荊が飛び出したのだ。ちょうど、弾幕の範囲を囲むように。


 俺はそれを剣で砕き、その隙間を抜ける。間一髪で一発も当たらずに済んだ。が、手を止めたら駄目だと知っているフィールは一切の容赦をしない。


「『アネモストロヴィロス』『ダークヴォーテックス』『ダイアモンドダスト』」


「レベル8魔法だろそれ!連発し過ぎだ!」


 竜巻が吹き荒れ、地には闇が渦巻き、凍てつく冷気が迫り来る。いくら俺でも当たれば無事では済まない攻撃が三つだ。


 これに関しては範囲が大きいので縮地で横に飛び退いて回避する。だが、縮地は連打が出来ないのは仇になる。相手にしたらチャンスになるのだ。


「『炎線』『メテオキャノン』」


 俺が着地した直後にフィールが8本のレーザーを俺を取り囲むように放つ。全て俺から外れていたので回避をしなかった。だが、それが間違いだった。


 見事にレーザーに取り囲まれた俺を狙い撃つように燃え盛る弾を乱射してくる。バラまき系の魔法故見た目ほどの脅威は無いのだが、かなり回避が困難である。


「収束」


「マジかよ!ウラァ!」


 フィールがメテオキャノンの斜線を狭める。レーザー内をちょうど補足する範囲内へだ。それによって、ほぼ全ての弾に注意をする必要が出てくる。


 俺はそれを昨日作った大盾「バスティオン」を構えて防ぐ。属性ダメージはこの盾には通り辛い上に、オリハルコンの装甲は生半可な攻撃で破れる物ではない。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォン!!


「うぉ……結構衝撃来るな」


 盾に凄まじい大きさと量の衝撃が来る。砕かれる事は無いだろうが、腕が痺れてきそうな感じの衝撃だ。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォン!!


「長えな……何か企んでんのか?」


 フィールのスキルに内包されているスキル「並列詠唱」により、現在フィールは合計10個の魔法を同時発動出来る。今発動中なのは9個、まだ一つ何かを使ってくる可能性はある。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォン!!


「……っ、そう来るか!」


 俺は大盾を上に傾けて全力で後ろに飛び退く。レーザーは大盾に防がれて俺には当たらないが、前方からは燃え盛る弾が迫ってくる。


 そして、俺がレーザーの範囲内から退避した直後、


 バリバリバリバリィ!!


 と言う音を立て、俺のいた所に雷が落ちる。あのまま盾で炎弾を受け続けていたら頭上から雷が当たる所だった。まあ、頭上から魔力を感じたから全力で退避したんだけども。


「……って、まずい!フィールがいねえ!」


 雷を回避して残りの炎弾を受け終わった後、辺りにフィールの姿がない事に気付く。大盾で視界が閉ざされていた所為で何処に行ったか分からないのだ。


 更に、魔力も、音も、気配も全く感じない。魔力と音は魔法、気配はスキルで遮断しているのだろう。


「多分姿隠しは透明マントだから……見える範囲にはいるとは思うんだが……」


 だが、俺の作った中でもかなり使えると思える傑作である。自分で作った道具に苦労させられるというのは微妙な気持ちだ。


「取り敢えず全方位を見てれば飛んでくる魔法には気付けるか」


 そう呟いて俺は盾を仕舞い、空間魔法サーチを発動する。頭上から見渡す感じだ。これなら、どの方向から攻撃されたかは判断できる。


 すると、俺の丁度頭上にフィールの姿が映る。手には何か白く輝く球が構えられている。実の所、見た事の無い魔法だ。


「させるかよ!」


 俺は頭上にいるフィールに向けて跳躍する。そして……剣を振りかぶって、盛大にスカる。


「なっ!?」


 俺がスカった理由、それは俺が攻撃しようとしたフィールには、実体が無かったのだ。俺が攻撃した直後、その実体の無いフィールは消え本物のフィールが虚像の1メートル位後ろに姿を現す。


「……終わり。『サンクト・グラナーダ』」


「……終わって、たまるかよ!バスティオン!」


 フィールがタメていた魔法、水魔法の「メイル・グラナーダ」の光属性変化版を放つ。広範囲を巻き込むレベル9の魔法だが、防げない程ではない。


 ボォォオオオオオオオオオン!!!


 という轟音と共に、痛烈な閃光が辺りを包む。少しでも力を抜いたら、盾ごと吹き飛ばされてしまいそうだ。


 だが、その光はすぐに収まる。俺が盾から顔を覗かせると、何もせずただ飛んでいるフィールが見える

魔力切れなのか、何かを仕組んでいるのか。考えは分からない。しかし、このまま守りに転じていても埒があかないのでいい加減攻めに行く。


「はぁああ!」


 俺は飛行をフル稼動させながら突っ込む。でも、フィールは魔法を発動しない。ただ、魔法ではないある一言を呟いたが。


「……半龍化」


 その声と共に、フィールの脚が鱗に覆われそして黒い甲殻に包まれた尻尾が姿を現す。今まで一度も見たことが無い姿だ。


「……これで、最後。これ以上打つ手はない」


「そうかよ!オラァ!」


 フィールも、空を飛びながら俺に向かってくる。飛行速度もこれまでより上がっているが、対応出来ない速度ではない。


 そして、フィールが俺に拳を突き出してくる。俺はそれを見てから最低限の動きで躱したのだが……そこで、俺の顎に痛烈な衝撃が入る。


「ぐへっ!?」


 何が起きたかは分からなかった。そして、今も視界は明後日の方向を向いているので何をされたのかも分からない。分かるのは、どうやってか一撃入れられた事位だ。


 その為、俺は抗ったりはせずそのまま下に降りる。フィールも同様だ。


「……勝てた」


「痛たたた……。一体何したんだ?」


 俺は降りた後フィールに聞く。今後の鍛錬の為にもそれは聞いておきたかった。


「……手を引っ込める勢いのまま宙返りして、顎を蹴った。空中戦なら、まだ私に分がある」


「サマーソルトか……」


 サマーソルトとは、宙返りしながら相手を蹴るという格闘ゲームなんかではよく見る技である。まさか空中でやられるとは思っていなかった。


「……で、なんか龍化してる部位が増えてるけど。あれ以上は無理なんじゃ無かったのか?」


 俺はフィールが現在使用中の半龍化についても聞く。夢幻列島にいる時に部分龍化してこれ以上は出来ないと聞いていたので、結構気になったのだ。


「……分からない。負けたくないって強く思ってたら何故か頭の中に方法が浮かんできた。でも、今はこれ以上は出来無さそう」


 フィールも何故かは分からないという。まあ、分かってたらもっと前に使っていただろうからな。



「んー、そこは調べる価値ありだな。まあ、試合も俺の負けで終わっちまったし、そろそろ戻りたいんだが……」


 俺は口を濁す。試合を始める前までここには3人いたのに、今は2人しかいないのだ。要するにビアンカが行方不明である。


「……私ビアンカ。今、あなたの後ろにいます」


「うお!?どっから出てきやがった!?」


 俺がビアンカを探していると、背後からビアンカの声が掛かる。慌てて振り向くと、そこには土や葉っぱに塗れたビアンカの姿があった。


「……ズタボロ」


「確かにな。で、何が……ってのは聞かなくてもいいか。大方巻き添えでも食らったんだろ?」


「その通りですよ……」


 ビアンカはボロ雑巾のような姿で力細い声を出す。大分ダメージは食らったようだ。


「……ほら、カイト。謝らないと」


「いや、範囲攻撃したのはお前だろ」


「だいたいあの光の魔法の所為です」


 フィールがナチュラルに俺に責任を押し付けようとしてくる。まあ、余裕があるようで何よりだ。

 

「……まあ、ごめん」


「構いませんよ。死んでませんから」


「じゃあ、そろそろ帰るぞー」


 フィールがビアンカに謝ったところで、俺は帰ろうと提案する。大分疲れたからだ。


「分かった」


「了解です」


 それに応じてフィールとビアンカが俺に着いてきて、俺たちは木々がへし折れ、クレーターができ、砕けた杭が何本も刺さり、所々焦げ付いている惨劇の地を後にした。

海斗が勝つとでも思っていたのか?一月ちょいと、6年間の差は結構大きいんだよ!

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