8話 遂に完成
食事も終わった事だし、昼間から俺はアイテム作成に取り掛かる。今回は……ああ、そうだ。スキルレベル11で出来るようになった事を使って色々作ってみよう。
闘技大会の時に剣術をレベル11に引き上げた時に出来ることが増えてるって解った感じなので出来ることは解っても作る時間はほぼ無かったのだ。
と言うわけで、まずは出来るようになっている事の確認だ。
鍛冶。これは武器を打つ時に、一つランダムでエンチャントが付くことがあるとの事。更に、本来なら付与できない物が付くこともあるようだ。ただし、ファストクリエイトを使った物は対象外のようだが。
裁縫。これも鍛冶と同じだ。縫い直すのはダメで一から作らない限り意味は無いと。無論ファストクリエイトは無効。
料理。これは、作った料理を食べる事で一定時間の間使われた食材に応じてステータスが上昇するという物のようだ。ちなみに、今確認したところ敏捷が3パーセント上がってた。余程強いか希少な素材でもない限り効果は期待出来なさそうだ。やっぱりファストクリエイトは意味なし。
工作。なんでも、回数制限がある魔道具を作った際に、使用可能回数が普通より多いものが出来るらしい。現代風に言うと、「一つで二回以上使える手榴弾」みたいな物だろうか。原理不明だがファンタジー世界には関係ないか。予想通り、ファストクリエイトは対象外。
錬金術。作ったポーションのほぼ全てが一段階上のポーションになるみたいだ。ポーションを作るとハイポーションが出来上がるといったもののようだ。多分、最高ランクのポーションは例外なんだろう。勿論ファストクリエイトは対象外。
魔法付与。正直なところこれが一番やばい。所有者の熟練度が高いスキルの効果を道具に付与出来るとの事だ。特殊スキルは無理のようだが、充分すぎるチートだ。大体、スキルレベル3につきレベル1相当の効果を付与できるようだ。例の如くファストクリエイトには適応されない。他にもエンチャントの強度が少しだけ上がるようだが、これもファストクリエイト無効だ。
と言う事で、ファストクリエイトの価値が大暴落していた。早めに加工用の道具とか揃えないとな。
まあ、今回は魔法付与と工作をメインにやって行こうと思う。裁縫は二人が躍起になってやってる最中だからいらないだろうしな。というか、魔族国で渡したのにまだ終わって無いのか。
まずは魔法付与を行おうと思うけど、その前に自分のステータスを確認して付与できるスキルでも調べるか。久しぶりだなぁ。ステータスオープン。
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黒野 海斗
種族 人間
レベル93
体力 4870
魔力 4870
筋力 4870 +200
敏捷 4870 +500
物防 4870 +800
魔防 4870 +500
増加量23700
スキル
剣術レベル8 縮地レベル6 身体強化レベル6
飛行レベル7 隠密レベル4 空間魔法レベル6
龍魔法レベル4 火耐性レベル3
風耐性レベル3 氷耐性レベル3
鑑定レベル11 隠蔽レベル11
《創造》レベル11
《覚醒》レベル1
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フェニキシア討伐後より大分上がっている。だが、こうしてみるとわざわざ付与するメリットが大きいスキルは無い。
と言うことで、結局スキルレベル上昇に伴ってエンチャントできる量が増えた事だけを利用して装備を作ろうと思う。
まずは机の上に出しておいた属性結晶を空間と無属性以外全て一つずつとオリハルコンをある程度取る。なんか視界の端にカリーヌがいた気がするがスルーの方向で行こう。
最初に、オリハルコンをタワーシールドのような形に加工する。ちゃんと鍛冶で作りたいが、設備が無いのでファストクリエイトだ。ちなみに俺用の装備だ。まあ、装備といっても常時構える訳じゃ無いけど。
で、用意した各種属性結晶を使ってエンチャントをしていく。まずは火炎結晶を使用する。ファストクリエイトを使わないので、若干時間が掛かる。最初だからか1分くらい掛かる。
直ぐにエンチャントは終わり、性能を確認する。火属性のダメージを半減してくれる効果が付いていた。三割位付いてればいいと思っていたので予想以上だ。
確認したところで、別の属性結晶も付与していく。次は水で、2分くらい掛かるようだ。エンチャントを付ければ付けるほど消費する時間と魔力が多くなるのだ。
水も直ぐに終わる。火と同じで水属性攻撃を半減してくれる効果だ。じゃあ、どんどんいくか。
氷。4分。まだまだ余裕だ。ちなみに消費する魔力は1秒につき1だ。
風。8分。なんか消費魔力が倍倍ゲームになってて後々やばい気がしてきたが今は気にしないでエンチャントをしていく。
雷。16分。まだまだどうとでもなる時間だ。次辺りから辛くなりそうだが。
土。32分。ちなみに、エンチャント中は無心で対象に魔力を注ぎ続けなきゃいけないから、この位長くなると大分辛い。
光。64分。流石に魔力を回復してからじゃ無いと足りないから魔晶石を砕いて魔力を補充する。俺が魔力切れの心配するとか久しぶりだな。
闇。128分。長い。俺の全魔力をもってしても足りない。と言うわけで、息をしてなかった創造スキルの効果の一つ、ステータスの分配を使って魔力以外の全ステをある程度ずつ魔力のステに移す。魔晶石を砕いて魔力を回復したけど、かなり使う羽目になった。というか、二時間ちょいの間集中力を切らさずに魔力を注ぎこむとかマジ疲れるんだけど。
で、そんな3時間より少し少ない程度の地獄のような時間を経て作られたアイテムがこれになる。
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バスティオン −1
分類 装備
レア度 言葉に出来ない
エンチャント 火属性半減 水属性半減 氷属性半減 風属性半減 雷属性半減 土属性半減 光属性半減 闇属性半減
説明
無属性を除く全ての属性攻撃を大幅に軽減する不動の盾。人一人がすっぽり隠れられる程の大きさがあり、生半可な力では扱う事すらままならない。
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……片手で持ち上がるんだけど。ステ何時もより下がってるのにこれは如何に。まあ、一般人レベル300相当の筋力じゃ仕方がないか?
「……終わった?」
「終わりましたか?」
と、俺が確かめている最中に後ろの二人から声が掛かる。
「どうし……!?」
俺が二人の方を振り向くと、何時もとは違う服装の二人が立っていた。
フィールは、黒を基調としたワンピースを着ている。ところどころに赤、青、黄、緑、白などの水玉模様が散りばめられている物だ。
ビアンカは良くあるテンプレ物の白と黒のメイド服だ。白メインの前のメイド服よりは似合っているように見える。ただし、俺の嫌な予感センサーが何かしら仕掛けがあると告げているが。
「……ようやく完成したのか?」
俺が二人に聞くと、二人ともコクンと頷く。
「……似合ってる?」
「似合ってますか?」
「ああ、凄く似合ってる。だがな、一つだけ言わせて貰いたい」
俺は純粋に二人とも似合っていると思う。特にフィールの方は一瞬見惚れそうになった位だ。だが、それは言わず、突っ込みたい事を言う。
「……二人とも黒を基調にしたのはどうかと思うぞ。せめて片方は違うのを基調にしようぜ」
似合っているのだが、二人とも暗い感じの色の服なので被っているのだ。悪いとは言わないが。
「……お互いに集中してて見てなかった」
「そもそも競い合っているのに相手のを見るのはマナー違反ですからね」
「あー、うん、それもそうだな」
フィールとビアンカの言い分ももっともだった。そんな軽い会話をした後、フィールとビアンカは目つきを変えて聞いてくる。
「……どっちのほうがセンスがある?」
「どちらの方がいいと思いますか?」
要するに優劣を決めようという事だ。本来、こう言う時は適当にはぐらかすのが得策なのだろうが、今回はそれはしない。
「フィールの方がセンスはあるな。ビアンカは……まあ、よく見る奴だからオリジナリティがあんまり感じられないというか、そんな感じだ」
俺は事実を述べる。センスの優劣を問うならば、オリジナリティが感じられないのは微妙なところだ。
「……ふっふっふ」
だが、ビアンカは小さな声で笑う。まあ、そんな感じはしてた。どうせギミックを見せるとかそんな感じだろう。
「見てて下さい。私のこだわりというものを!」
そう言うと、ビアンカの髪が紅く変化していき、インフェルノバーナーが姿を現していく。
だが、今回の変化はそれだけでなく、ビアンカのメイド服の黒い部分から紅い模様が徐々に浮かび上がっていく。
結果として、燃え盛る炎のような模様が紅く輝く非常に個性溢れるメイド服が姿を見せた。メイド服にしては非常に物騒な見た目だ。
「どうですか?ちなみに後三つの武装全てに対応してます。見ますか?」
「……見せてくれ」
正直どうやったんだこれとか言いたかったが、残りの奴も見てみたかったので話を進める。正直全部このクオリティだとビアンカに軍配が上がるな。
「では、アクアカノンから行かせて貰います」
結果としては、水が波を連想させる蒼く輝く模様、電気は迸る雷を連想させる黄金色に輝く模様、毒が模様ではなかったが紫色の、非常に毒っぽく見える濃淡が付けられた輝きだった。紫色の革を渡した記憶は無いんだが気にしたら負けなのだろう。
「どうですか?私としては充分勝機はあると思っているのですが」
「……うん、これに関してはお前の発想勝ちだ。ギミックが此処までとは思ってなかった」
先にフィールの方がいいと思うとか言っておきながら後から意見を変えるのは如何なものかとは思うけど、これに関しては純粋に凄い発想だと思う。
まあ、そんな流れで負け扱いになってしまったフィールは。
「……悔しい」
と口にしてはいるけど、悲しんではいない様子だった。寧ろ感心している様子だった。
「ふふふふふ。伊達に数百年も生きてませんからね。浪漫を求める心は誰にも負けていませんよ。……腕の兵器もその産物ですし」
勝った事に上機嫌になるビアンカ。なお、最後のセリフに関して聞いてみたら、「腕が変形して兵器になるって……浪漫ですよね」という返答が帰ってきた。浪漫で自分の腕にあんな機械埋め込む奴はいねえよ。
というか、今更だが、本当に今更だが気になる事が出来たので一応念の為聞いてみる。
「……なあ、俺が作業始める前までお前ら作ってる途中だったよな?いつ着替えたんだ?」
俺が集中して気づかなかっただけかもしれないが、誰かが部屋から出て行った気配は無かったので一応聞いてみる。
「……勿論、ここで着替えた」
「まあ、集中してたので気づかなかったのも無理なかったかもしれませんけど」
「……あのなぁ」
案の定、男の俺がいる直ぐ後ろで着替えてたと言う。もしも俺が後ろを向いてたらどうするつもりだったんだ此奴ら。
「まあ、別に見られても問題無かったですよ?」
「……今から脱ぐ?」
「いや、いい。というか、一応彼奴もいるんだから誤解を招く発言は止めろ」
「うへへへへ……ん?呼んだ?」
「呼んでねえよ。つーか何時までいるんだ?」
俺の記憶が正しければ此奴は此処で3時間程鉱石を撫でたり頬擦りしたり眺めたりしてるだけで過ごしてた事になる。いい加減飽きてもいいと思うのだが。
「晩御飯になるまで」
「長居し過ぎだ。ほら、これやるから自分の部屋に戻れ」
俺はカリーヌにゴルフボール程度のサイズのフライタイトを渡す。地上にはほとんど無い貴重品だけど、加工もせずあの程度のサイズじゃ飛ぶ事は出来ない筈なので渡しても問題無いという判断だ。
「え?これ、くれるの?」
「ああ、やるから部屋に戻れ」
俺がそう言うと、凄まじい勢いで自分の部屋に戻っていく。どんだけ嬉しかったんだ。
「……彼奴本当に何だったんだろうな」
「……変人」
「全く同感です」
呆れた様子でそれを見送った俺たち三人。取り敢えず当分来ることは無いとは思う。
「……道具でも作るか」
変人を見事撃退した俺は、まだ時間がある為道具作成を続行する事を決めた。




