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7話 鉱石厨

 アレン達に案内されて着いた場所は木造建築、二階建てのまあまあな広さの家だ。


 中に入ると綺麗に整頓されたリビングがお出迎えをしてくれる。なんでもアレンとベアトリスが散らかすのをカリーヌとドランが整頓しているらしい。


 寝室は二階でアレンとドランの部屋、カリーヌとベアトリスの部屋と誰も使ってない部屋の三つに分かれている。誰も使ってないという事で汚いと思っていたのだが、ベアトリスが毎日掃除していたと言うことで無駄に綺麗だ。なお、ベッドは二つ。要するに、俺のは無い。


「で、クロノ。お前はどうするんだ?床さえありゃ寝れるとか言ってたけど」


「まあな。……ほいっと」


 俺はアレンに聞かれたのでアイテムボックスから布団を取り出す。グリフォンの羽毛を使って作った無駄に貴重な一品だ。


「……ああ、確かに床さえありゃ寝れるな」


 その布団を見てアレンが呟く。もう驚くのは慣れたようだ。


「まあ、そう言う事だから問題はな「……カイト」って、どうしたフィール。……あ」


 俺が話している間にフィールが声を掛けてくる。一瞬何なんだと思ったが、その内容をすぐに察する。


「……あの約束か?」


「うん。……忘れてた?」


「今思い出した」


 あの約束と言うのは、ドラゴン討伐の時にフィールが俺に命令してきた「今晩は添い寝をしてもらう」というものだ。まあ、そうなるとベッドは俺とフィールで一つ、ビアンカで一つの二つで事足りる。今日の所は。


「約束?なんの事だ?」


 アレンが訳が解らないという顔で聞いてくる。そう言えば、あの時は此奴らは遅かったから話を聞いて無かったのか。


 という事で、ドラゴン討伐の後の事を説明してやる。勝負に負けた時の事を言うのは微妙な気分だが。


「……好かれてるなぁ」


「自分でもどうしてこうなったがが理解出来ないけどな」


 俺はそんな事を言いながら自分の荷物などを整理する。一応三日は滞在するから、色々と作っておきたい。


 ミスリル、アダマンタイト、オリハルコン、ヒヒイロカネ。それに加えて属性結晶やフライタイト。追加でドラゴンの鱗などを取り出して机の上に置いていく。


「……これって、もしかしてオリハルコン?」


 カリーヌが物珍しそうにオリハルコンを見る。蒼く輝くその鉱石は女性の心には響くのか?宝石って好きな奴多いし。

 

「ああ、そうだ。別に触ってもいいぞ?」


「え!?いいの!?やったー!」


 俺が触ってもいいと言うと、カリーヌは物凄い勢いでオリハルコンを手に取り、撫で始める。顔がなんか恋する乙女みたいな、そんな顔になっている。


「……言い忘れてたが、カリーヌは重度の鉱石マニアだ。武器とかには興味を示さねえけど、加工してない鉱石には目が無いからそこんところ気を付けろよ」


「……もう手遅れだ。見ろよ、彼奴オリハルコンに頬擦りしてるぞ?あの顔放送禁止になってもおかしくねえ奴だぞ」


 俺が言った通り、カリーヌはオリハルコンに頬擦りしている。鉱石マニアとはここまでするものなのか。


「えへへー。こっちはヒヒイロカネ?触ってもいい?」


「お、おう。好きにしろ」


 正直ドン引きである。あれは俺たちと同じ人種じゃない気がしてきた。目が輝いてやがる。つーか人格が変わってやがる。


「……まあ、取り敢えずアレは置いておいて、だ。ベアトリスも言ってたが、お前らには家事は手伝って貰う。で、何が出来る?」


 アレンがそう俺たちに聞いてくる。ちなみに、アレンに聞いたら


「俺か?薪割りしかやらせて貰えねえな」


 と答えられた。駄目だ此奴。


「料理」


「裁縫。カイトには敵わないけど」


「家事全般です。先の二つは二人ほど上手くは出来ませんが」


 上から俺、フィール、ビアンカだ。こうして並べてみると、この三人だけでも家事は如何にかなるな。


「……もうお前らだけで事足りそうだな」


「伊達にサバイバルはやってねえからな」


 ただしビアンカは除く。まあビアンカもあの施設で一人暮らしだったみたいだから家事は出来るが。


「じゃあ、適当に手伝って貰うとしてだ。そろそろ飯の用意をしようぜ。腹が減った」


 アレンが言ってくるが、こいつ料理は出来ないんじゃ……。


「出来ねえから頼んだぞ。料理得意なんだろ?」


 ……よし、蜘蛛でも食わせてやるか。出来ない奴に言われるのは癪に触るしな。まあ、泊めて貰ってる側が言えた事じゃあ無いが。


「……じゃあ、作ってやるから厨房借りるぞ。ビアンカ、手伝ってくれ」


「解りました」


 俺は助手としてビアンカを指名する。ビアンカの方が手際とかは良さそうだしな。


「……私は?」


 フィールが微妙な表情で俺に聞いてくる。何をすれば良いのかとか聞きたいのだろうが……。


「流石に、厨房に人が入りすぎると作業がし辛いからな。今回は休んでてくれ」


「……解った」


 フィールは微妙な表情のまま引き下がる。まあ、自分だけ仕事が無かったらな。


 まあ、実の事を言うとフィールを厨房に入れなかったのには理由がある。フィールは、料理が出来ないのだ。


 別に、作った料理が殺人兵器になったりはしない。ただ、長い間サバイバルしていたせいで、焼き以外の方法を取らないのだ。取れなかったと言うべきか。


 取り敢えず食べれれば良い思考だったようで火加減とかも気にして無かったようで、火を通しすぎるくらいが標準だった。


 だから、人に食わせる時は流石に任せないようにしようとしたのだ。火加減とかは暇を見て教えていくつもりだ。


 と言うわけで、厨房に入って色々用意をする。アレンにイラっと来たからメイン食材はサーベルスパイダーだ。味や食感は蟹みたいで美味しいが……イメージが重要なんだ。


「蜘蛛ですか。美味しいですよね、それ」


 ちなみに、ビアンカも虫に対する嫌悪感とかは無い。とにかく美味しくて魔力が豊富なら良いとの事だ。俺の仲間にまともな感性な奴がいない気がする。


 まあそれは置いておい早速調理に掛かろうとするが、一つ問題にぶち当たる。蟹はパンには合わない。そして米は無い。


「あー、ビアンカ。どうしたらいいと思う?」


 俺はビアンカに助けを求める。だが、


「意見を求められても。量で攻めれば良いんじゃ無いですか?」


「……適当だなと言いたいが、彼奴に蜘蛛を食わせるにはそれ位しか思いつかないな。そうさせて貰う」


 結果、サーベルスパイダー尽くしの方針で行くことになった。今思うとアレンよりもベアトリスやカリーヌが巻き添えで被害に遭うがまあ諦めて貰おう。


「じゃあ、まずは殻に入れたまま焼いて……」


 取り敢えず、焼きと茹での二つを用意していく事にした。調味料とかは……まあ、適当に作ればいいか。


 まあ、調理風景はアレン達の想像は超えているだろう。空いているスペースにビアンカが出した魔石式のコンロ的な物に俺が作った網を乗せて、その上で焼いたりしていた。竃とかはあったのに、使われる事は無かった。


「じゃあ、持ってくか。彼奴に地獄という物を見せてやる」


 と言うことで、俺とビアンカの二人で焼きスパイダーと茹でスパイダーを持っていく。


 そして、それを見たアレン達の反応は……


「お、ビッグスパイダーか?旨そうだな」


 ……え。


「焼きと茹でかしら。私もこれ好きなのよ」


 ……いや。


「食べれない人も多いから安いしね」


 ……お前らは普通に食えるのか。


「お食事よりも鉱石撫でたい」


「お前はいい加減戻って来いやぁ!」


 さっきまで計画が崩れた事に対して絶望してたけど、カリーヌが壊れてたので憂さ晴らしがてら直しにかかる。


 ピシャァン!


「あべし!」


 勿論、ハリセンで頭を叩いてだ。本気を出せばこれでも殺傷能力は出るだろうが、超絶手加減モードで止めておく。


「何するのさ。折角鉱石を愛でてたのに」


「本来鉱石は愛でるものじゃねえからな?あと食事時位は大人しく席につけ。というか、なんで俺達の部屋に置いておいたオリハルコンとヒヒイロカネがリビングにあるんだよ」


 俺は皿をテーブルに置きつつ、呆れながらカリーヌに聞く。


「……あ、ごめん。つい無意識に」


「無意識って怖くね?……あ、勿論その二つは没収な」


 そう言って、俺はオリハルコンとヒヒイロカネを取り上げる。鉱石を持たせるとおかしくなるから仕方がない。取り上げるときに大切な人と引き離される人みたいになってたのはスルーだ。


「おお、やっぱり旨えな!」


「もぐもぐ、焼き加減とかがかなり上手いね」


「……これって……」


「……前と同じで美味しい」


「素材は変わってませんからね。美味しいですけど」


 なお、俺がカリーヌと一悶着している間に他の奴らは普通に食っている。何故か、ベアトリスだけ表情が暗いが。


「どうしたベアトリス。不味いのか?」


「……クロノ。これ、なんの肉なのよ」


 俺がベアトリスに聞いてみたところ、そんな質問をしてきた。きっとビッグスパイダーと言う蜘蛛とは若干違いがあったのだろう。


「何言ってんだよ。ビッグスパイダーだろ?」


「そうだよベアトリス。この間も食べたじゃないか」


 アレンとドランは不思議そうな顔でそんな事を言っている。此奴らの舌はそこまで鋭く無いみたいだな。少しくらい手を抜いても問題無さそうかな。


 あと、真実に気付いたであろうベアトリスには本当の事を教えてやろう。


 アレン達にも聞こえるようにな。


「おー、よく気付いたな。そいつはビッグスパイダーじゃ無くてサーベルスパイダーだ。俺の手持ちに大量にあったから使わせて貰った」


「「なっ!?」」


「へー」


「……それって金ランク推奨の魔物じゃない」


 驚くアレンとドラン。呆れるベアトリス。そして無関心なカリーヌ。というか、カリーヌはいい加減元気出せよ。


「金ランク推奨がなんだ?なんなら晩飯は今日のとは別のドラゴンにでもするか?」


「止めて。本当に止めて。そんなの食べたら寧ろ罪悪感が生まれるわ」


 まあ、素材の正体を伝えても、アレンとドランは普通に食べていた。ベアトリスは明らかに食べるペースは遅くなったが、味わって食べてるようで何よりだ。


 ちなみに、カリーヌは虚空を見つめながらパクパクと食べていた。……後で、フライタイトでもくれてやるか?加工されて無いのがいいならわざわざ加工して使う事も無いだろうし。


 まあ、そんな一人を除いて美味いと言いながら飯を食べ終わって、俺達三人は部屋に戻った。

実は、アレン達の姿形ってそんなに決まって無いんですよ。本来なら海斗達をラントに悶着無しで入れるだけの役目だったので、必要無いと思っていたと言うか。

それが流れと勢いであんな事に……。どうしてこうなった。名前だってABCDで付けたというのに。

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