幼馴染みside5 戻ろう!地上へ!
少し短いです。前の話の一部こっちに持って来ればよかった……。
「ここが……夢幻列島?」
四人が目を開けた先には深く茂った森林が広がっていた。王都近辺にあった森と殆ど謙遜が無い。
「……うん、ここであってる。地図に表示されてる僕たちの表示も、しっかりここに移動してる」
晶が四人に地図を見せる。そこには、大陸の外側に表示されている5つの点が見える。ちなみに、この地図は拡大版なので大陸の本当に端の方と、夢幻列島近辺しか表示はされて居ない。
「それに、海斗の場所もここから大分近い。10分も歩けばつきそうだよ」
「……!」
晶が言ったことに美雪が反応する。ずっと会いたかった相手に会える兆しが見えたからだろうか。
「じゃあ、とっとと行こうぜ!どんな魔物が出るか解らないから、しっかり俺に掴まってろよ?」
忍が、三人にそう言う。隠密スキルで少しでも気付かれにくくしようという魂胆だ。
「わかったよ」
「了解だ」
「うん」
そして、三人が掴まった事を確認して忍はスキルを発動させる。
「晶は道案内頼むぞ?あと百華は戦闘になったらよろしく」
「わかってる。……こっちだね」
「任せて」
そして、四人は進む。
この化け物達の巣窟を。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はあ、はあ、はあ……」
「海斗……本当に無事かなぁ」
「やっぱり……魔物、強すぎるよ……」
「うう……勝てる気がしない」
四人が洞窟を目指して進む中。襲われこそはしなかったが、ヤバイものにしか出くわさなかった。
ダンジョンボスであったクラウディアをボリボリ貪るグリフォン。そして、それとは別個体のグリフォンをぐちゃぐちゃ咀嚼していたファイアドラゴン。最後に、空中戦を繰り広げていたホーリードラゴンとシャドウドラゴン。全てが、圧倒的な力の持ち主だ。というか、空中戦のに関しては四人揃って余波でぶっ飛んでたりする。
「……ほら、着いたよ。ここが、目的地っぽい。……明らかに、建築物が見えるけど」
晶は忍の肩を借りながら一つの方向を指差す。明らかに、人為的に作られたようなドアが見える。
「……これって、ドア、だよね?」
「あ、ああ。ドア、だな」
「ドアだね。でも、引き戸みたいだよ?」
百華がなんの警戒もせずにそのドアを開ける。中は、うっすらと光る鉱石によって照らされている。
「っ、これは……」
四人が目にしたのは、配置された机や椅子。綺麗に置かれた食器、そして机の上に置かれている手記みたいな奴と、なんか4つずつ置かれたペンダントと緑色の結晶体だ。
「……あっ!?これって!?」
部屋をぼーっと見ていた美雪は、何かに気付くと部屋の隅の方に走り出す。そこには、指針の腕輪がポツリと置いてあった。
「……俺たちが着けてるのと、同じ腕輪だな。あいつ、外してたのか」
「と言うことは、海斗はここにはいなさそうだね。……そこの手記に、手掛かりがあるかも知れないけど」
晶がそう言うと、残りの三人は一斉にその手記の方を見る。そして、美雪がその手記の方に歩いて行き、それを手に取る。
「えーと、じゃあ、読むよ?『俺の大切な幼馴染み達へ。お前たちがこれを読む時、俺達は夢幻列島には居ないだろう』って……」
「……まさか、遺書とか言わねえよな?」
美雪が手を震わせながら戸惑う。忍も、最悪の事態にならない事を祈っているようだ。
「……怖いのは解るけど、取り敢えず読もう。じゃないと、話が進まないから」
晶は、淡々と言う。その表情からは、いつものクールさというものは感じない。無理やり心を落ち着かせようとしてるというのが正しいだろう。
「う、うん。『なぜかって?答えは簡単だ。ようやくこの地獄みたいな島から降りる手段が見つかったからだ。降りない訳が無いだろ?』」
「「「……え?」」」
三人が戸惑いの声を上げる。ただし、悲しみが混ざっている訳では無い。
しかし、取り敢えず読めと言われた美雪は淡々と読み進めていく。
「『俺達は、まあ適当にこの世界を観光でもしながらお前らとは別途で帰る手段でも探そうと思う。腕輪を外したのは……時間稼ぎだな。許せ』」
「「「………………」」」
三人は、ただ無言で聞いている。どう反応したらいいか解らない、とかそんな感じの表情でだ。
「『まあ、帰る手段が見つかったら合流するし、途中でクラスメイトに見つかったりもするだろうから、そこまで心配はすんな。……心配させてここまで来させた俺が言えることじゃねえけどな』」
忍の拳あたりからギリッという音が鳴る。多分、ここに海斗がいたら殴ってそうな位に。
「『最後に。俺の為に危険を冒してここまで来てくれてありがとな。そして、それを無駄にするような事をして悪かった。じゃあ、いつの日かまた会う日まで。ーーーーー追伸。お前たちが帰る手段を用意してきたかは解んねえから、一応帰る手段を用意しておいた。若干どころか相当使いづらいだろうけど、まあ、頑張ってくれ』……お、終わり」
美雪が、若干震えながら言う。その表情には、喜び、驚き、怒りなどいろいろな感情が混ざりあっているように見える。
「……なあ、とにかく、海斗は生きてるんだな?」
忍が確かめるように口を開く。何処と無くその声からは喜びの感情が感じられる。
「ああ、あの手記の内容通りなら無事に大陸に居るはずたよ」
晶も、顔が綻んでいる。緊張の糸が解けたようだ。
だが、忍は大声を出して喜んだりはしない。本人の顔を見てないから。
「じゃあ、海斗も無事みたいだし、取り敢えずこの帰る手段ってのを見てみようぜ。使いづらいって言ってたけど」
そして、忍は羽を形取ったペンダントと結晶体を手に取る。そのあと、下に置いてあったメモに気付き、それを取って読み上げる。
「えーと、『この落羽のペンダントは所有者の体重を激減させ、落下速度を非常に低速にします。それを着けて島から飛び降りた後、隣に置いてある暴風の魔石で勢いをつけて大陸まで向かってください。ユーキャンドゥーイット!』……え」
忍が「嘘だろ?」みたいな声を上げる。空から飛び降りろなんて言われてるからその気持ちは非常に解るが。
ちなみに、落羽のペンダントは、海斗がフライタイトとグリフォンの羽を使って作ったヤバい代物だ。地上には存在しない素材で作られているので、帰ったら大騒ぎになる事請け合いだ。
なお、美雪と百華はその様子の忍に気づいたが、晶は気付いていない。手には手記を持って、部屋のあちこちを探索している。
「あれ?晶くん何してるの?」
晶の様子に気付いた美雪が声を掛ける。
「……少し気になる事があってね。でも、もう解決したよ」
晶は、溜息を吐く。いやな事があったのではない。面倒くさい事が判ったのだ。
「何が判ったの?」
美雪は気になるように聞く。海斗がここでどんな事をしてたのかが知りたくてしょうがないのだ。
「……美雪は手記を読んでて違和感とかは感じなかったのかい?」
質問に質問を返すのはいけないが晶はそう美雪に聞く。すると、美雪は黙って晶から手記を奪い取り、改めて目を通す。
「ーーーー『"俺達"は夢幻列島には居ないだろう』……!?」
美雪が、気付いてはいけない事に気づく。この島のこの場所に、海斗以外の別の者がいた事に。
「ようやく気付いたようだね。……あと、椅子も二つ有るし、食器も二人分あった。誰かが海斗と過ごしてたのは確定だろうね。男か女かは知らないけど」
晶がそう言った時、美雪は不気味に笑い出す。
「ふ、ふふふふ」
「お、おい美雪。一体どうしたんだ?」
「ユキちゃん……怖い」
その異常な雰囲気に忍と百華が反応する。だが、美雪の様子は変わらない。
「ははは、海斗くん!待っててね!すぐにそっちに向かうから!すぐに見つけてみせるから!」
美雪が高らかに叫ぶ。もう、四人に悲しみの色は無い。
待ち望んでいた結果とは大きく違ったが、とにかく海斗が無事だと言うことが判ったのだ。嬉しくない訳がない。
美雪は笑う。海斗ともう1度会える事を望み。その時こそ、しっかり告白しようと決意し。
忍は拳を握る。心配掛けさせんなと、海斗を一発殴るために。
百華は微笑む。五人が、欠けなかったことを喜び。
晶は溜息を吐く。美雪と忍が海斗と再会した時の事を考え。
そして、四人は顔を合わせて言う。
「「「「戻ろう!地上へ!」」」」
地上の何処にいるかはわからない。だが、いることには変わりない。
ならば、どこまでも探すまで。その決意を胸に秘め、四人は夢幻列島を後にした。
勿論、海斗が用意した降下式の方法で。結果から言うと無事に魔族領の外側に着地まで出来たが、着地した後晶が嘔吐したり、忍が安堵しすぎて気絶したりと割とカオスな事になったのだが、それはまた別の話である。




