3話 ステ上がらない…\(^o^)/
「それでは、訓練を始める!各自そこに置いてある好きな武器を取れ!と言っても木製だけどな!」
バルスさんの指示でみんなが武器を取りにいく。
今は、もう朝食は食べて、訓練場に来ている。ちなみに、朝食はオークのスープだった。味、見た目、匂い共に豚肉だった。
俺が選んだのは片手剣だ。木製ゆえ軽く、俺でも軽々持てる。これなら、そこそこ力を入れて打っても普通の人なら死にはしないだろう。普通の人なら。
俺?死ねる自信あるよ?なんてったって体力1だからな。一応対策はしてきたけど。
なお、みんなは制服のままだが、俺は昨日寝る前に作った長袖の服 (フード付き)、長スボンを着用している。全身灰色な為に見た目はかなり浮いている。
「まずは2人組を組め!……ああ、そうだ!クロノ!お前はコッチに来い!」
何故!?と内心思いながら呼ばれるがままにバルスさんの元に向かう。
「来たか。って、なんだその服装は。不審者かなんかか?」
「違います。昨日作ってみたんですよ。あと、なんで俺だけ呼ばれたんですか?」
「何故って、俺がお前の相手になるからだ」
待て待て待て待て!なんで俺が騎士団長とペア組むことになってんだよ!
と聞いてみたところ、
「『手加減』っていう、相手を殺さないスキルがあるんだがな、この城の騎士の中じゃ俺しか持ってねえんだ。お前の体力じゃ当たりどころが悪いと死にそうだからな」
ああ、なるほど。確かに、武器の振り方すら知らない、その癖ステだけ無駄に高い奴らじゃ手加減なんて出来ないからな。
「もっとも、打ち合うのは最後の方の少しだけだがな」
まあ、そんな会話をした後、訓練を開始した。
内容としては、まずは武器の種類の説明ののち、武器の持ち方や振り方、その武器に適した構えとかを解説された後、素振りをして感覚を覚える……といった流れだった。
「じゃあ、打ち合いをするぞ!ちゃんと手加減はしろよ!」
その掛け声と共に、みんなは打ち合いを始める。
「さあ、クロノよ!手加減してやるから全力でかかって来い!」
バルスさんにそう言われ、俺は頭に振りかぶると見せかけて胴体を打とうとする。
「早速フェイントか。だが無駄な動きが多いぞ!」
バルスさんは、こっちの身体能力の事は知っているのでそのことに関しては特に何も言ってこない。ただし、その分技術に関しては容赦なく指摘してくる。
「そこだ!」
俺が剣を振りかぶったその隙にバルスさんは胴体に向けて剣を振ってくる。俺で視認できるくらいの速度に抑えてくれているのに、的確に隙を突かれたその一撃は避けられず命中する。
カァン!
と乾いた音が響く。
「……おい、お前、何した?」
「何がですか?」
「おかしいだろ!なんで布の服しか着てねえのに鎧でも打ってるような感覚がするんだよ!」
その原因がこれである。
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謎の服
分類 アイテム
レア度 レア
エンチャント 硬化+2 (物防+180)
説明
材料すら解らない服。フード付き。何故か硬化の魔法が付与されており、その硬さは岩石の如し。ただし動きやすさはそのまま。
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謎のズボン
分類 アイテム
レア度 レア
エンチャント 硬化+2 (物防+120)
説明
材料すら解らないズボン。岩のような堅牢さと、布のような動き易さを合わせ持つ。
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スニーカー
分類 アイテム
レア度 地味にレア
エンチャント 硬化+2 (物防+60)
説明
動きやすい靴。無駄に鉄板でも仕込んであるような感覚がする。
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昨日の夜、今日の為にエンチャントした自慢の服だ。ちなみに材料は石。最初は−1だったが、三回重ね掛けして+2までは持ってこれた。流石にこれ以上は出来なかったが、手加減前提の訓練ならこれだけでも十分だと判断した。
「いや、ちょこっと服にエンチャントしてみただけですよ」
「そういうことか……。なら、もうちょっと強くしても構わんな」
「えっ」
どうやら、この人は殺さない程度に手加減はするから多少は痛みを感じろ、と言いたいらしい。
と言うわけで、俺は死なない程度にボッコボコにされたのであった。痛い。
まあ、この人の指導が上手かったからか、剣術のスキルが手に入っていたので、今日の目的は達成できた。
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「あー、体いてー」
部屋に戻ってもなお体が痛む。あの人スキル発動させてるからってあそこまで打たなくてもいいだろ。それにしても疲れた。……レベルとか上がってねえかな?魔物とかは倒してないけど。ステータスオープン。
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黒野 海斗
種族 人間
レベル2
体力 1
魔力 1
筋力 1
敏捷 1
物防 361 (+360)
魔防 1
スキル
剣術レベル1 鑑定レベル10 隠蔽レベル10 《創造》レベル2
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……\(^o^)/
レベルが上がったのに、ステが1たりとも上がってない。つまり強くなれない。よって、俺は人類史上かつてない程の貧弱人間って訳だ。冗談キツイぜ。
……冗談抜きでどうしようか。このままだと、魔法付与も上限があるし、何より素材を集めに行くことすら出来ない。持ってる鑑定レベル10すら活かせない。いや、最悪勇者辞めて商人にでもなれば活かせるけど、酔っ払いとかの一撃で死亡とかそんな未来は嫌だ。
そうだ。もしかしたら、エンチャントに物防以外の以外のステをあげる奴があるかもしれない!それさえ使えば……
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魔法付与のレベルが足りません
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ですよねー。
それに、もしかしたら俺の用意出来ない素材かもしれないからな。その場合はどうしようもないし。まあ、取り敢えずは出来るようになるまで作業してるか。
と言うことで、当分の目標は決まった。まずは創造のレベルを上げて、ドーピングを可能にするエンチャントを出来るようにしよう!そうと決まれば、適当に色々作ってみよう。エンチャントの種類も知りたいし、城の庭辺りでなんか良さそうなのでも探して来るかな。
まあ、そんな流れで俺は自分の部屋を後にした。
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ところで、城の庭に来たところで一体何があると言うのだろうか。きちんと手入れされている庭に、何か素材になりそうなものなんてあるわけ
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薬草
分類 アイテム
レア度 普通
説明
治癒能力を持つ草。傷口に塗り込んだり、食べたりすることで効果があるが、青臭いし、しみるし、苦いし、出来る限りお世話になりたくない一品。
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あったよ。普通に端の方に生えてるよ。手入れされてないだろ、これ。まあ、俺としては大歓迎だがな。さて、これを使って一つエンチャントをしてみるか。俺の服は……硬化積んであるから俺のレベルじゃ出来ないみたいだな。仕方ない。なんかそこら辺に生えてる木の枝でいいや。ほいっと。
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治癒の枝
分類 武器 杖
レア度 地味にレア
エンチャント 治癒−1
説明
そこらへんの木の枝に魔法が付与されたもの。魔法の威力は上がらないが、持つだけでヒールを使えるようになる。ただし普通に使うより消費魔力が若干多い。
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薬草強え。薬草だけでヒールが使えるようになる杖が作れるって凄いな。最も、俺は魔力が1だから持っても使えないんだけどな。晶にでもプレゼントするかな。
お?あそこにあるの薬草に似てるけどなんか違うな。なんだろ?あれ。
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食べたら死んじゃい草
分類 アイテム
レア度 結構レア
説明
薬草によく似た草。ただし、食べたり、塗り込んだりしようものならドラゴンの息の根すら止める圧倒的な毒が体に回り、1分もすれば死に至る。食べるなら最低でも毒耐性レベル8は欲しい。
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ダジャレか!それに死んじゃいそうじゃねえ!確定で死ぬわ!最低でも毒耐性レベル8ってなんだよ、レベルの最高って10だろうが!……なんか作れねえかな。
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魔法付与のレベルが足りません
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だよねー。いや、出来ても困るけど。もし出来たら少しの切り傷だけで龍が死ぬようなオーバーキルな兵器が出来そうだからな。
さーて。他には何があるかなー。
……お?また違う草だな、毒消し草あたりかな?
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マンドラゴラ
種族 魔植物
レベル18
体力 138
魔力 690
筋力 138
敏捷 230
物防 138
魔防 230
スキル
轟音レベル3
声を聞くと死ぬと言われている植物。植物とはいえ魔物のように攻撃もする。その体は良質な薬となる。
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……アウトぉぉぉぉおおお!!!