16話 失念してた・・・
ところで、読者の方にピ○ミンをやった事のある人はどのくらいいるのでしょうか。そのゲームのヘラクレスオオヨロ○グモというラスボスポジのがビアンカの参考程度にしたものなのですが・・・解り辛すぎたと思ってます。
「私……勝ちましたよ……」
休憩室的な所に運ばれたビアンカは、ぐったりとしながらも笑いながら言う。
「ああ、おめでとう。いい試合だったな」
「……おめでと」
俺達がそう言ってやると、ビアンカは嬉しそうに微笑む。
「ありがとうございます。……ですが、ここでこの会話はいいんでしょうか?あちらにフィオーリさんがいるのですが……」
ビアンカが、そう言いながら部屋の反対側の方を指差す。
「……ごめんね、みんな」
「そんなに悲しがるなって。まだ一回戦目だ。あと二回とってそれで終わりだろ?」
「それに、新しく力も目覚めたようじゃしの。気にせず、喜んだ方が良いと思うぞ?」
涙目で俯くフィオーリと、それを慰めるジョーカーとカルディア。確かに、悲しんでる隣で喜んでて良いのかと言いたくなる気持ちは解る。
ちなみに、サラッとカルディアが言っていたがフィオーリは今回の戦闘で新しい力、具体的には風魔法がレベル10に上がってたりする。最後に放った魔法、『シルフィード』がそれだ。
まあ、取り敢えず話を戻してビアンカに言う。
「まあ、いいと思うぞ?試合に勝ったら喜ぶタイミングは普通終わった直後、要するに相手の目の前だからな。流石に、それで文句を言われる道理はねえよ。煽ったりしたら別だけど」
今言ったのはごく一般的な例だ。部活をやってる奴から聞いた話だと、
①試合終わる
②応援席戻る
③相手の応援席が隣で大騒ぎしてる
とか言う事もあったみたいだからな。3人くらいで、ささやかに祝うのはセーフだろう。
「それにしても、あの毒ガス兵器?アレは一体なんなんだ?火、水、電気ときて毒が来るとは思ってなかったんだが」
祝いの言葉は言った。だから、取り敢えず此処からは質問タイムだ。色々と、あの試合で使ってた物の事が知りたい。道具作りの参考にしたい。
「デッドリーウェポンの事ですか。アレは……まあ、本当の最終兵器ですかね。単純に、内部に保管されてる超強力な毒を霧状にして放射する……そんなものです。魔力に関しては霧状にするときしか作用してないので、霧の制御が出来ず、普通に使うと確実にカイト様達を巻き込んでしまう為使う事は殆ど無いでしょうけど。対魔物、対植物用に分かれていますがどっちにしても人が吸ったらヤバイですね」
そんなヤバイもんだったのか。即効性がどんくらいなのかが非常に気になるな。
「・・ちなみに、即効性は?」
「魔物用を吸ったら……カイト様なら3分、フィールさんなら……自力で解毒できそうですし、あまり気にしなくても良いですかね」
「……俺で3分って、ヤバくね?それ」
「だから最終兵器なんですよ。作ったは良いものの使い辛すぎる、狂気の兵器なんですよ。加熱するのに使う炎や、飲料に出来る水、明かり代わりにもなる電気。しかし、これは相手を傷付ける事にしか使えません」
ビアンカが悔やむように言う。確かに戦闘用の機械は幾つもあったが、これの使いづらさは群を抜いている。
そんな感じの話をしていたからか、場の空気がどんどん悪くなる。そこで、ビアンカは話題を変えようと、そして現状最もしたかったであろう事を提案する。
「ま、まあ、そんな話はいいじゃありませんか。……ところで、試合前なのに悪いのですが、魔力を分けて貰えませんか?インフェルノバーナーとスパークマインは私の魔力メインで動かしているので、かなり魔力を消費してしまって……死にはし無さそうですけど、大分辛いんですよ」
それは話している時から薄々予想はしていた。あれだけ激しい戦闘、魔導機械無しでも身体強化フル活用、その上で魔導機械の動力、それを考えれば幾ら魔力があっても足りるものではない。というか、そのせいで倒れたのだから魔力が枯渇してるのは言うまでも無かった。
「一応、アダマースさんがポーションを持って来てはくれたんですが……あまり、具体的には3%位しか回復しなかったんです」
……アダマース。お前は何をしているんだ。嫌がらせか?
そんな事を思っていると、俺が無意識にイラっとした顔をしていたのかビアンカが慌てて発言を追加する。
「あ、ですが、「魔力切れを起こした方全員に配布している安物ポーションなので、効果の程は期待しないで下さい。財政が厳しいので、勘弁して下さい」と言っていました」
「……そう言えば、財政難だったっけ、この国」
悪かったな、アダマース。疑って。まあ、主に宿の件で信頼度はガタ落ちしてるから疑うのはしょうがないけどな。
「……という訳で少しだけで良いので魔力を下さい。結構辛いので」
ビアンカが、頭を下げて頼んでくるので、俺は腕を差し出してやる。てっきり、また突拍子もない行動をして来る事を予想していたのだが、
「ありがとうございます。では……」
ビアンカは、その細い手で俺の手を包み込む。そして、静かに目を瞑り、魔力を吸収し始める。それほど負担が大きかったのだろう。
その後、俺の魔力が少しだけ減ったくらいで、ビアンカが手を離す。
「……大分、楽になりました。本当はもっと頂きたいですが、まだ試合がありますので我慢します」
ビアンカが感謝しながらも、何処か物足りなさそうに言う。
……何時もなら、ここで何もしないと思うけど、今回は俺達の為に全力で頑張ってくれたんだ。少しくらい、我儘を聞いてやってもいいか。
「……気にしないで、満足するまで取ってけ」
俺は腕を引っ込めずに、ビアンカにそう言う。
「……気持ちは嬉しいですが、大丈夫ですよ?それに、あまり頂きすぎると試合に支障が出ませんか?」
ビアンカが、悩むような様子で言う。確かに、魔力を取られすぎると気怠くなったりはする。少しは支障は出るかもしれない。けど、
「俺のアイテムボックスに魔晶石なら大量にあるからな。魔力くらい、取られたところですぐに回復出来るさ」
事実、魔晶石なら俺の魔力を半分以上回復させるような奴が、数え切れない位残っている。魔力を回復させる前に気絶でもしない限り、殆ど問題は無い。
「……そう、ですか。では、遠慮なく、頂かせて貰います」
そして、ビアンカは改めて俺の手を握る。静かに瞑想するように、少しずつ魔力を俺から吸収している。そうしている内に、だんだんと顔色が良くなっていく。
そうして手を離した時には、普段と変わらない様子のビアンカに戻っていた。
「ありがとうございました。……ところで、試合はまだなんですか?そろそろ始まってもおかしくないと思うのですが」
調子を取り戻し、思考能力も元に戻ったビアンカが心配そうにそう言った瞬間、会場の方から声が響く。
「えー!一回戦で会場が目を背けたくなるような惨状になりましたが、無事に修復が終わったので選手の方は試合の準備をお願いしまーす!」
「あー、もう修復終わったのか。じゃあビアンカ。ちょっと作戦会議的な奴してくるわ」
試合が始まりそうなので、フィールと共に休憩室を離れようとする。
「解りました。……では、先にVIPルームで観戦の用意をさせて貰いますね」
そう言いながらビアンカも立ち上がり、俺とフィールは控え室に、ビアンカはVIPルームへと歩いて行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「じゃあ、作戦。多分カルディアだから、水メインで。闇と光は使わないで、他の魔法も満遍なく使って翻弄する。決して接近戦に持ち込まないで、飛行とかを駆使して遠距離を保つ。……これで、行けるかも程度だ。かなり辛い戦いになりそうだけど、応援してる」
最も、この世界の吸血鬼が「流れる水を渡れない」と言う特徴を持ってるかは解らないが。
「……解った。相性は悪いけど、全力で頑張る」
フィールはそう言うと、控え室から出て闘技場に出る。それと同時に、実況の声が響く。
「まずは化け物連合の選手!空の魔境夢幻列島から!恐怖を携えやって来た!数多の魔法を自在に操る!フィィィィル・ヴェェチェェェェェェェエエエル!!!!」
「「「「「うぉおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」
「……よろしく」
それに合わせて、観客席に手を振るフィール。すると、観客席から一回戦と同じように声が聞こえる。
「……やっぱりかぁ……」
「ハハハ、見ろよ俺の手を。震えてるだろ?」
「……て事は最終戦って……」
歓声も聞こえるが、この様に恐怖に満ち溢れた声も聞こえてくる。ビアンカと共に暴走してたので、自業自得だが。
そして、その少し後にまた実況の声が響く。
「そして魔王軍代表の選手!さあ、お待ちかね!魔王軍きっての武闘派の登場だぁ!二枚の刃が切って刺して八つ裂きにする!カルゥゥゥゥゥゥディアァァァァァア!!!」
「「「「「うぉおおおおおおおおおお!!!!」」」」
「上々の盛り上がりじゃの」
そう言いながら出てきたのは、両手に身長程の長剣を構え、黒く威圧感のある翼を広げたカルディアだ。
そこで、俺は大切なことに気付いたが、手遅れだった。フィールが龍化してスキルが変わるように吸血鬼のカルディアも形態変化的なものが有ってもおかしくなかったということを。
翼があるという事は、飛行などが追加されてそうだが、それを伝える手段は無い。しかし、そんな事はお構いなく、試合開始の合図がされる。
「それでは!試合開始ぃぃ!!」
次回、フィールVSカルディア。
どうでもいいし全く意味は無いですが、解説の文は何処かで似たような奴を聞いた事がある人がいるかも知れません。アラク○イドとか、チェーン○レイドとか。




