12話 いろいろ作ろう
今第2章の12話にもなってるのに、まだ降りてきて2日目なんですよね……。幼馴染sideは時系列を合わせて書いてるのでしばらく出せそうに無いです。このままじゃ第2章の終わりになっちゃうんじゃ……。
魔王城。
それはこの世界の人族及び魔族の中でもトップクラスの化け物達がひしめく城。
今、そこでは……。
「俺の連れが本当にご迷惑をお掛けしました」
「いや、いいけどよ?城には殆ど被害は無かったし、あのヤバそうな奴だって止めてくれただろ?」
「いえ、ジョーカー様。仲間がやった事なら止めるのが当然です。それに、私たちがどう言う思いであのヤバそうな奴を見つめてたのかをみっちり3時間ほど語りましょう。そうすれば二度とこんな事は起こりません」
土下座している俺、説教しているアダマース、それを止めようとする魔王ジョーカーの姿があった。
「いやほんとすみません。だから説教3時間コースは止めて下さいお願いします」
「アダマース。此奴もしっかり反省してるみたいだし、ここら辺で止めてやっても……」
「いいえ、絶対に反省してません。当事者達を連れてこなかった時点でそれは確定です。だから……」
アダマースは引き下がらない。このまま長引く様だったら縮地で逃げようかな?
と、思ってた矢先、ジョーカーの目付きが変わる。まるで、魔物のように若干恐怖を感じさせる目だ。
「……はあ、そうか。じゃあ、『魔王として命令する。止めろ』」
「っ!は、はい!申し訳ありません!」
ジョーカーが、気迫たっぷりの声で言う。この俺でも若干背筋に寒気を覚える気迫だ。
その気迫をモロにぶつけられたアダマースは、今までの上からの態度から一変、まるで小動物のように怯えた様子になる。
そんなアダマースと俺を見て、ジョーカーが呟く。
「……はあ、やっぱり駄目だな。まだ気迫がコントロール出来ねえか。それにしても、彼奴これでも動じないとか……」
なんか凄い意味深な事を言っている。気になるなー。
「……どう言うことだ?」
俺がそう聞くと、ジョーカーは笑いながら言う。
「俺はいつもはあんなんだけど、これでも魔王なんだ。一応、威厳とか気迫とかは出せるんだが、ちょっと制御が出来なくてな。使うと強制的に最大出力だ。今も感の鋭い奴らは外で震えてるんじゃ無いか?」
さらっと物騒な事を言う。だが、それでも俺を説教の恐怖から救ってくれたのは事実だ。
「まあ、ありがとな。じゃ」
「待て待て待て待て!帰るな!なんでアダマースに止めさせたと思ってる!」
俺がササッと城を出ようとすると、ジョーカーが俺の腕にしがみつく。仮にも魔王、簡単には振り切れない。絶対に振り切れないとは言ってない。やろうと思えば魔王からも逃げられる。やらないけど。
「はあ、で、なんだよ一体。また依頼とか言うなよ?道具作成とか色々あるから」
俺がそっけなくそう言うと、ジョーカーは面倒くさそうに言う。
「……闘技大会、お前らがいるから前と方針を変えようと思ってな。どうするかを相談したいんだよ」
後6日後の闘技大会。その形式を決めてないから決めたい。凄い、勝手にやってくれと言いたくなる。まあ、一応話は聞くけど。
「今の所、トーナメントにするか、魔王軍チームとクロノチームに分かれて三本中二本とったら勝ちにするか、三対三で勝ちを決めるか……そんな感じのアイデアが出てるな」
うーん、トーナメントだと、最初から俺対ジョーカーとかになっても不思議じゃないんだよなぁ。そしたら跡が盛り上がりに欠ける。
団体戦だと、確実に魔王軍対俺達になって盛り上がりそうだけど、トーナメントと違って三試合しか無いからなぁ。
三対三だと、一試合しか無いけど複雑な戦闘になりそうだから、短期的には一番盛り上がりそうだけど、やっぱり時間が短い。
それぞれにメリットとデメリットがある。そこから導き出される答えは一つ。
「お前に任せる」
「ちょっ」
面倒くさい質問は丸投げする。基本的な行動だ。
しかし、そんな事もわかってないジョーカーはしつこく俺を引き止める。
「いやいやいやいや!待て!確かに悩むのは分かる!分かるからお前にも聞いたんだろうが!だから逃げるな!」
「だったら今ここにいないフィオーリとカルディアにでも聞け!」
「彼奴らはお前らとの戦いに向けて修行中だ!そんな事聞くためだけに邪魔は出来るか!」
「なら自分で決めろ!魔王だろ!」
「そこに!お前が!いる限り!聞くのを!止めない!」
「だー、もう!面倒くせぇ!じゃあこれでいいか!?」
不毛な口論。鬱陶しくなってきたので、アイテムボックスから三本の木の棒を取り出し、ファストクリエイトすら使わず、先端の方に爪で①②③と数字を刻む。
「じゃあ、①がトーナメント、②が団体戦、③が集団戦だ!おら、引け!」
そう言って、俺は数字を手で隠すように木の棒を持つ。面倒くさい質問を答える際の手段の一つ、クジ引きである。
「お、おう?じゃあ、これか?」
そう言って、ジョーカーは俺の手から木の棒を引き抜く。
「うん、②だな。じゃあ、団体戦三戦して二勝以上したほうが勝ち!以上!解散!」
無事に決まったので、俺は速やかに退散しようとする。しかし、
「待てっ!逃げんな!暇なんだ……」
暇なんだよ。とジョーカーが言おうとしていたので、意味なしと判断した俺は縮地で扉のすぐ側まで瞬間移動、そのまま魔王城を後にした。
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「はぁー……」
俺は終焉亭に戻って一息付く。今から、色々試しで作りたいので精神を統一して、構想を練る。魔導機械の仕組みはまだ知らないので取り入れることは難しい。一から作るのは無理だ。
「……まあ、完成品ならあるんだけどな」
そう呟いて、机の上にドリルを置く。もっとも、今が大体朝の9時程度、食べ歩きに行くまでの時間は3時間程度だ。要するに、魔導機械をいじる時間は無い。
と言う事で、ドリルは仕舞い適当に道具や素材を取り出す。作りたいのは、闘技大会の時に使えるような小道具だ。
まずは、3人ともが使えそうな物。閃光弾は……カルディアが無効か。なら催涙弾か?いや、ガス程度じゃ躱される。というか、現代兵器は俺は作れん。
だったらどうしようかな。………………クールタイム無しで使用できるように、縮地が使えるようになるアーティファクトを量産でもしてみるか。
てな訳で、まずは素材。これは縮地のスキルクリスタルでいいか。はいはいファストクリエイト。材料は吸魔石、魔晶石、適当な魔石だ。
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スキルクリスタル・縮地
分類 アイテム
レア度 超絶レア
説明
スキル 縮地の経験値を100得ることの出来る神秘の結晶。高難度ダンジョンの宝箱からでも滅多に出る事は無い。
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そう言えば、覚醒のスキルを手に入れて創造のスキルがレベル11になったから、劣化はしないんだよな。いやー、ありがたい。
と言うわけで、取り敢えず5個ほど作る。
次は、これを嵌める土台だ。取り敢えず、安定の腕輪でいいだろう。取り敢えず全員着けてるのは一つ (俺が俊足の腕輪、フィールとビアンカが収納の腕輪)なので、全員着けられる。
流石に試作品でオリハルコンとかヒヒイロカネとかを使う訳にもいかないから、取り敢えずミスリルで我慢しておく。
ファストクリエイトで元となる穴の空いた腕輪を作り、空いている穴に形を調整したスキルクリスタルを嵌め込む。そして、それが取れないようにチョチョっと素手で金属部分を曲げて、完成。ファストクリエイトだけだと素手に比べて細かい事はし辛い (しっかりイメージしないと難しい)ので、出来ることは素手でやっていく予定だ。
まあ、完成品がこれだ。
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瞬迅の腕輪
分類 装備
レア度 言葉に出来ない
説明
縮地のスキルクリスタルが5つも嵌め込まれた異常な腕輪。装備すると魔力を消費してレベル1相当の縮地が使えるようになる。5秒経つ事に使用可能回数が1回増え、最大5回まで連続使用可能。
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5回までならタメ無しで縮地を連打出来る。5回全部使っちゃったらキツいけど、それでも少しすれば再使用可能っていうのはデカイと思う。
そして、これを後2セット作る。特にビアンカは縮地を使えないのであるとないとでは大きな違いがある。……後でスキルクリスタルその物も渡そうかな。
あとは、個別で使う物でいいか。まずは俺のからか。
と言っても、俺は特に必要な無さそうなんだよな。大体装備も揃ってるし。
てな訳で、次。フィールの為の道具。もしも団体戦でカルディア辺りに当たったら勝ち目は薄いが、それでもある程度は戦えるようにしておきたい。
フィールは部分龍化すると筋力、敏捷、物防のステータスが跳ね上がるので、そこのドーピングは行わず体力のドーピングを行いたい。のだが、今フィールが着けてる増身のネックレスより高い効果のは作れそうにないので、それは却下。
……難しいな。ステータスのドーピングはキツイ。そうすると、なんかスキルの補助をするような奴を作ったほうがいいのかな。
そうと決まれば、早速素材を取り出す。魔法の補助をする道具なので、まずは魔力を取り出しても割れない魔晶石を取り出す。
そして、今度は属性結晶を3種類、火炎結晶、電撃結晶、氷結結晶を取り出す。
その後、その3種類の結晶が混ざり合うように、そして指に嵌められるような形になるようなイメージでファストクリエイトを行う。
その結果、なんとも名状しがたいような色の指輪が出来上がる。だが、まだ終わりではない。
次は、それを先程の魔晶石で包み込む。本来こんな事をすれば割れてしまうが、イメージ通りの加工ができるからこそ成せる技だ。
そうして、出来上がったのはこれだ。
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エレメンタルリング
分類 装備
レア度 ヤバい
説明
火、氷、雷の魔力が込められた指輪。この指輪に魔力を貯めておくことで魔晶石としても使用できる他、火、氷、雷魔法の威力を上げる事ができる。更に、簡易的な火、氷、雷魔法なら無詠唱で使えるようになる。
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……まあ、上出来か。若干耐久性が心許ないけど、それは指輪に求めるもんじゃ無いからな。
取り敢えず、俺は白く輝くその指輪をアイテムボックスにしまう。これもあまり表に出さない方が良さそうだからな。闘技大会では使うけど。
んで、次はビアンカの。彼奴がどんな魔導機械を持ってるかが分からないからどれを作るか悩むが……。一応、短剣も使えるみたいだし、超強力な短剣でも作ってやるか。
柄は適当なドラゴンの骨で、グリップの部分は……滑りにくい様に革……アイシクルドラゴンの革でいいか。で、刃は勿論ヒヒイロカネ。後、なんかオプション付けられないかな。
確か、ヒヒイロカネは熱を物凄い通すって聞いた事があるから、火属性か氷属性を付けたい。火は昨日のアレがあるから、氷属性でいいか。
でも、それだけじゃ物足りないな。……暴風の魔石も内蔵して、風の刃も纏わせるみたいな感じでいいか。あと、それを飛ばして遠距離攻撃ってのも悪くない。短剣で牽制、からの予備動作無しの遠距離攻撃ってエグいと思うんだ。
……あー、そう言えばヒヒイロカネって紅いんだよな。こんなの出したら明らかに警戒されるし……接触面以外をミスリルでコーティングでもしとくか。そうすれば多少の油断は誘える筈だし。
と言う事で、作業開始。まずはファストクリエイトでヒヒイロカネの刃を作る。若干劣化はしてしまうけど加工する設備が無いからしょうがない。あと、しっかり氷結結晶を嵌められる場所を作って、氷結結晶を嵌める。そして、接触面以外をうすーくミスリルでコーティングし、見た目を弱そう (俺基準)にする。
で、ドラゴンの骨 (適当に取り出したらアイシクルドラゴンのだった)をチョチョっと削り (解体用ナイフ、アダマンタイト製で)、形を整える。内部に暴風の魔石も仕込んで、刃の方に風が出せるような構造にしておく。
そして、刃を柄に差し込む。不安だったがしっかりと嵌り、簡単には抜けそうにはない。ついでにミスリルを僅かな隙間に詰め込み、更に抜けないようにする。
最後に、柄に仕込まれた暴風の魔石を見えなくするのと、持ちやすさを上げる為にアイシクルドラゴンの革を巻き、完成である。
光を反射する銀色の刃、周りに薄い霧が発生する程の冷気、隠し持つのには適した軽さ。……って、ヤベっ。鞘作るの忘れてた。
と言うわけで、フレイムドラゴンの骨をもう一個取り出して、適当に掘って削って磨いてサクッと完成。
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ライフダガー −1
分類 装備
レア度 言葉に出来ない
説明
ヒヒイロカネと上質なドラゴンの素材で出来た短剣。魔力を流す事で刃の温度を急激に下げ相手を凍らせる事ができる他、風の刃でリーチ増強、そのまま飛ばす事も出来る。あと、すっごく軽い。
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こうしてみると、なんかヤバい物を作った気がする。俺の邪剣エクスカリバーとは違って属性がエンチャントじゃ無いから属性攻撃にするかは任意なのが便利なところだ。
で、これも完成したから仕舞う。そして、次は何を作ろうか……と考えてたところでフィールとビアンカが戻ってくる。
「……ただいま」
「カイト様、唯今戻りました」
「おう、おかえり。……って、服屋行ったんじゃ無かったのか?」
俺は返事をしながらフィール達の方を向いたのだが、新しい服を着てるなんて事は無かった。
それに関して聞いてみたところ、フィールとビアンカは微妙な顔をする。
「……可愛らしい服はあった。でも……」
「良さそうな服は有りました。ですが……」
そして、フィールとビアンカは同時に言った。
「「脆い(です)」」
と。
「……それって、服に求めることか?」
その、理不尽な意見を聞いた俺が二人に聞く。
「……最低でも、今の私の服くらいの強度は欲しい」
「いや、上位ドラゴンの革の強度を上回れとかどんな無理難題だよ」
まず、フィールが不可能な事を言う。というか、そんなものがもし売ってたら大金貨1枚じゃ買えねえよ。
「せめてこの何の変哲も無いメイド服よりは頑丈であってほしいですね」
「鑑定したら金属の名前が出てくるメイド服より硬い服?無茶言うな」
「え?普通じゃ無いんですか?」
「普通じゃねえよ!」
次にビアンカの言い分。ちなみに折角だからビアンカにメイド服について聞いてみたところ、極小の金属のワイヤー的な物を糸のように縫って作られていたらしい。音が鳴らないのが不思議である。つまり、不可能である。
二人とも、相当な無理難題を言っている。じゃあ服はどうするんだと聞いたところ、
「……自分で作るから、素材と道具貸して」
「私は道具はあるので、素材だけお願いします」
などと言ってきた。
確かにフィールは裁縫のスキルは持ってたし、ビアンカはそういう布を作ったりする機械を取り出してもなんら不思議じゃ無いが。
「デザインとか書いたりしてくれれば俺がチャチャッと作るぞ?」
だが、それなら裁縫スキルレベル11 (創造スキルに内包されてる)を持ってる俺がやった方が早い。ファストクリエイトを使えばもっと早い。しかし、
「……自分で作る。ビアンカより、才能がある事を証明する」
「私もです。宣戦布告をされて黙っていては乙女の恥です」
嬉々して争う乙女ってどうかと思ったのだが、考えは変わりそうに無いので適当に素材を渡す。まあ、そんなに種類は多くないけど。
ちなみに、渡したのはフレイム、アイシクル、アクア、ゲイル、ライトニング、ロック、ホーリー、シャドウ、エーテル、系9種類のドラゴンの革だ。上から赤、水色、青、緑、黄、茶、白、黒、灰の色の革だ。これなら足りるだろう。
「でも、今から作るのはやめてくれよ?食べ歩きとかもしたいし」
俺が念を押すために二人に言うと、二人は慌てて素材をしまう。
「解ってる。……じゃあ、早く行こ?」
「ええ、私もお腹減ってるので早く行きましょう」
そして、フィールが俺の右手、ビアンカが左手を取って早く行こうと急かす。
「……別にいいけど、手を繋ぐ時は声くらいかけろよ」
そんな事を聞こえなさそうな声で呟き、俺達は終焉亭を出て大通りへと向かった。




