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7話 どうやって入ってんの?それ

「青い空、白い雲、生い茂る木々!えっと……何百年ぶりでしたっけ?」


「知るかっての。つーか前出た時も現在地解らなくてすぐに戻ったんだろ?」


「……引きこもり」


 研究所を出た直後、そんな定番っぽいセリフを吐くビアンカ。


「……で、魔王城へ向かうんでしたよね?国にさえ辿り着いたら地図は頭に入っているので私の力が発揮できます。楽しみです」


「……寧ろ、それまでは戦闘能力も若干低くて、魔導機械の研究とかも出来ないお前は戦力外か?」


「……弱すぎ」


「うっ……まあ、私も普通以上の力は有りますよ?寧ろカイト様たちが異常なのですからね?」


 ちなみに、ビアンカは魔導機械を使わなくても人族の国くらいなら単体で討てるかなー位の実力である。本領の魔導機械を使わせたら……言わずもがな。ふつーにおかしくなる。


 そんな、泣く子も黙るような化け物三体が森を闊歩しているのだ。腹を空かせて見境なくなってるような魔物でもない限り決して寄ってくることは無い。


 ただし、寄ってこないのは魔物だけだ。力の差すら解らない、大変貧弱な生命体ーー人間は普通に寄ってくる。欲にまみれた汚い人間は特にだ。


「……お前らが、俺の子分を倒したっていう3人組か」


 そう言って木々の中から姿を見せたのは1人の男だ。身長が2m位あり、背中に大剣を背負っている。


「親分!この黒髪の男女で間違いありません!もう一人の緑髪の女はいませんが!」


 そう言って、1人の小柄の男が木の上から降りてくる。


「そうか。ああ、名乗り遅れたな。俺はガンド、盗賊団フェンリルの団長だ。……なぜ襲われるか、心当たりはあるだろう?」


 盗賊団の親分か。確かに心当たりがあるな。でも、なんで見られたんだ?気配は感じなかったが。


 と思ったのだが、チラッと鑑定を使ってみたら小柄の男が空間魔法を低レベルながら所持していた。遠距離から見ていたのだろう。


 まあ、それなら隠すまでもないかと思い、正直に話す。


「心当たりしかないな。で、お前も俺らを襲撃するのか?」


「子分がやられたら総員で報復攻撃に行く。それは常識だろ?」


「そうかい。まあ、やるってんなら容赦はしねえぞ」


 ガンドが大剣を引き抜いたので、俺もアイテムボックスから邪剣エクスカリバーを抜く。鑑定で見た感じガンドのレベルは70前後、結構高い。俺たちにとっては低すぎるが。


 そして、俺が斬りかかろうとした所でビアンカが止める。


「あ、カイト様ちょっと待ってください」


「あ?なんだよ急に」


「今回の盗賊団、私に殺らせて貰えないでしょうか」


 ビアンカが唐突にそんな発言をする。ガンドが大剣を構えたまま固まってるから早くして欲しいんだけど。


「……何でだ?」


「さっき私がこの中で弱いって話してたじゃないですか。せめて、本気を出して評価を改めたいなと」


 盗賊団を実力を見せるためだけに使うその精神。此奴も結構エグい。まあ、許可するけど。


「まあ、いいぞ。だが、周りの奴らはどうするんだ?」


「纏めて殲滅しますからおまかせ下さい」


 ビアンカはそう言うと、ガンドの方に歩み寄る。


「……舐められたもんだ。第一部隊を殺ったからって調子に乗るなよ」


「といっても、私は戦ってないからその部隊を知らないんですよね。……ですから、念の為これを使わせてもらいます」


 プシュー!ガシュン!ガシュン!キュルキュルキュル!ガゴン!ガゴン!ビゴーン!


 ビアンカの右腕から、不穏すぎる音が鳴り響く。その右腕は、まるで初めから機械で有ったかのように変形し、見る見る姿を変えていく。


 それに伴い、ビアンカの髪と瞳の色が白と紅から両方とも金色へと変わっていく。その二つの光景に俺たちも盗賊達も声を出せない。


 そして、ビアンカの右手は口径約10cmの砲身に、何やらガラス管のようなものが付いた何かに姿を変えた。どうやってそんなもんが収納されてたんだ?


 ババババァン!ババババァン!


 ビアンカは、砲身から棘付き鉄球を撃ち出しながら薙ぎはらう。4連発を2回、系8発の鉄球が盗賊団を襲う。


 だが、ガンドは仮にも盗賊団の親分。自前の大剣を振り、自らに迫る鉄球を叩き落とす。


「チッ……一体なんなんだよ、それ!」


 魔導機械というものを見た事のないガンドにとってはそれはそれは衝撃的な光景だっただろう。


 しかし、そんな無駄口を叩いている余裕がある訳も無かった。


「企業秘密です。……あと、それだけで攻撃が終わったとでも思っていたのですか?」


 そう言うビアンカの腕……についている兵器のガラス管らしき物は黄色く発光している。さらに、ビアンカやその周囲がスパークを起こしている。


 それを見たガンドは、これはヤバイ!という顔で大剣を投げ捨ててでも退避しようとする。しかし、その時には既に手遅れだった。


「人生、やり直してきて下さい!」


 バリバリバリバリッ!


 ビアンカがそう言った瞬間、鉄球と鉄球の間を駆け巡るように雷が迸る。鉄球に当たった者だけでなく、その間にあるものさえも雷に焼かれていく。


 大分撃ち漏らしは有るものの、親分含む大半の子分を巻き込み、その集団を消し炭にした。


 残った盗賊の方々も、俺たちも絶句。俺たちは驚きで声が出せないが、盗賊の方々は恐怖で声が出せずにいるようだ。


 そして、それに追い打ちをかけるが如く、ビアンカが冷たい声で言う。


「残り8人。……逃げ切れるなんて、思わない方が良いですよ?」


 その発言を聞き、盗賊達は正気に戻り、逃げようとする。ちなみに、今回報復しに来た盗賊は50人近くもいたのだ。それがたった一回の攻撃で残り8人にまで減らされた……逃げようとするのも無理は無いだろう。


 しかし、先ほども言った通りそれを逃がすほどビアンカは甘くない。しかも、ただ殺すだけでなくデモンストレーションも兼ねて殺っているのだ。


 故に、


 カシュン!キュルキュルキュル!ウィーン!ガシュン!ガシュン!ビゴーン!


 と、音を立てながらビアンカの持つ兵器が変形していく。ガラス管が何処かに仕舞われ代わりに何やらメーターのようなものが姿を現し、若干砲身も短くなる。


 そして、その変形に伴いビアンカの髪と瞳が今度は蒼色に変色していく。幻想的な光景だが、その後何が起こるかを考えると恐怖でしかない。


 なお、機械が変色しきるのにかかった時間は約3秒だ。要するに、盗賊達はまだビアンカの視界内にいる。


 その後は早かった。


 パシュンパシュンパシュンパシュンパシュンパシュンパシュンパシュン!


 と、然程脅威を感じさせない発射音が鳴り響く。放たれたのは唯の水球だ。ただし、人を殺すのに充分すぎる程の威力を持った。


 さらに、魔導機械を使いなれたビアンカの狙いは正確の一言だった。全員が動き回っているのに、あっという間に、全ての盗賊の頭を弾け飛ばした。


「……おおう」


「……グロテスク」


 事が終わった後の光景は、そんな感じだった。血が混ざり、飛び散った水は辺りを紅く染めている。そして、黒焦げになった大量の死体と頭が消し飛んだ死体。結構エグい。


 だが、そんなことは気にしていられない。すぐにでも、聞きたい事があるのだ。


「ビアンカ。……お前、一体何処にそれを持ってた?」

 

「え、腕ですけど。見て分かりませんでしか?」


 ビアンカがさも当然のように言う。それに対して、もう少し明確な質問をする。


「いや、その大きさは腕の中には入りきらないだろ。一体どうやって入れてるんだよ」


「どうやってと言われても……こうやってとしか」


 そう言いながら、ビアンカは腕の機械を変形させる。


 砲身が3つに裂け、角度を合わせてうまい具合に重なり。メーターが中に引っ込むようにして消えてゆく。そして、機械の一部が裏返りビアンカの皮膚が見える。そのまま収納した機械を覆うように結合し、そのまま周りに馴染むように元の細腕に戻った。その時、髪と瞳も元の色に戻る。


 それを見て一言。


「なるほど、解らん」


「むしろ見ただけで理解されても困りますけどね。まあ、魔導機械の作り方とかを教える時にでも説明しますよ」


 ビアンカが得意げに言う。物作りが本領だったのにそれを自慢されるのは若干悔しいな。


「つーかさ、何でこれ俺たちと戦う時に使わなかったんだ?流石にこれは無傷じゃ済まなかったかも知れねえぞ?」


 ついでに、湧いた疑問をぶつけてみる。すると、ビアンカは残念そうに言う。


「……これはですね。さっきも見てもらった通り、少し準備するのに時間が掛かるのですよ。普通の相手なら身体強化全開で移動してれば時間は稼げますけど……無理そうでしたし」


「……そうか。で、その2つがお前の切り札って訳か。まだ俺たちには劣るけど、充分すぎる程に強いじゃねえか」


 俺は、ビアンカを純粋に褒めたつもりだった。しかし、ビアンカの次の台詞でそれは溜息に変わる。


「ありがとうございます。……ですが、私は切り札をあと2つ残しています。その意味はお判りですね?」


「まじか……あんなのが後2つもあんのか……」

 

 人をゴミ屑のように消し飛ばすような兵器が後2つも、しかも恐らくその腕の中に入っている。考えるだけで不思議になる。


 ちなみに、電気の兵器がスパークマイン、水の兵器がアクアカノンだそうだ。残りがなんなのかは若干気になるが。


 と、そこで重要なことを思い出す。


「……なあ、ビアンカ。指名手配されてたりする盗賊って、どうすればいいんだっけ?」


「殺して、首だったり所持品だったり、そう言うのを持ち帰ってギルドに出せば報酬が貰えた筈ですが」


 ビアンカがそう言うと、フィールは察したような顔をしてビアンカに言い放つ。


「……消し炭。所持品も、辛うじて原型留めてる大剣だけ」


「あっ」


 そう。ビアンカの放った電撃によりガンドは所持品ごと消し炭になっていたりする。大剣も、雷の衝撃で半ば程から折れてしまっている。


 要するに、ギルドに提出したとしても特定不可能そうなレベルにまで被害が出ていた。そのことについて、ビアンカに聞いてみたのだが、


「ま、まあ、大丈夫だと思いますよ?きっと」


 と、すごい無責任な発言をしていたので、ハリセンを取り出して叩いておいた。駄メイドにはこの位の扱いが丁度いいだろう、きっと。


 その後、仕方なく折れた大剣をしまい、俺たちは魔王城に向けて歩き出した。


 なお、半ば位で日が暮れて来たので、ビアンカを置いて空を飛んで行こうとした所、なんとビアンカが収納の腕輪から新たな魔導機械、「一人用小型飛行板」と言うものを取り出し、追いつくという予想外の事態も発生したが、何事もなく魔王城には辿り着いた。

ビアンカのモデルのキャラ……解った人いますかね?多分何人かはいるとは思うんですけども。一応有名なゲームですし……。

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