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6話 新たなる巻き添え

 いっそひと思いに葬るならば2秒で決着はつくのだが、この施設の事とかも色々聞きたいので取り敢えず鎮圧する方向で行く。


 バゴォン!バゴォン!


 戦闘開始早々、ビアンカの持つ散弾銃が炎を吹く。比喩ではない。本当に炎を吹いた。


「うおっ!?弾じゃねえのか!?」


「……ちょっと避けづらい」


 飛び退いて回避した後、そんな事を言う。これまでのロボット達の攻撃と違い範囲が若干広い上、避ける方向を見越して追加で発砲しているので割と避けづらいのだ。


「むしろ初見で回避されるのが驚きですけどね。……さあ、もっと頑張って下さい。油断すると……死にますよ?」


 ビアンカは、ニッコリと笑うと散弾銃の引き金を同時に引く。両手を約90度に広げ、前方全てを範囲内にする。


 ガキィイン!


 俺たちはそれを縮地を使用して回避する。俺たちが元いた場所は、その周囲の広範囲諸共凍り付いている。


「……その銃一体どうなってんだよ」


「企業秘密です」


「そうかい。……じゃあ、そろそろ反撃と行かせて貰うぞ!」


 そう言いながら、アイテムボックスから邪剣エクスカリバーを装備、剣を90度傾けてビアンカの首に叩きつけに行く。


 本気で首を掻っ切るつもりなら躱される事は無い。しかし、気絶させる為に手加減をしていたからか、すんでのところで回避されてしまう。


「どいて、カイト。『ライトニング・ウェイブ』」


 俺が攻撃を避けられたのを見たフィールがビアンカを痺れさせるために魔法を放つ。


 だが、ビアンカがただ喰らうはずも無かった。例の不思議散弾銃を波に向けて発砲する。すると突然暴風が吹き荒れ波を押し返す。


「っ、危ない。『アイスボール』」


 押し返されてきた波を咄嗟に凍らせるフィール。そして、そのまま凍らせた波の上に飛び移る。


「……なかなか強い。いい特訓になりそう」


「なりませんね。今、ここで排除しますから」


 ビアンカはそう言い、靴の下から暴風を吹き上げ、フィールに向かって跳躍する。そして、右手の散弾銃を背に背負い、懐からミスリルの短剣を取り出し構え直す。


「はあ!」


「……ふっ!」


 ビアンカのナイフと、部分龍化をしたフィールの爪がぶつかり合う。身体強化を発動させているビアンカの斬撃を顔色一つ変えないフィール。相変わらず、スペックが以上だ。


 しかし、ここでビアンカが笑みを浮かべる。正に、勝利を確信している。そんな笑みだ。


「……これで、終わりです!」


 ビアンカが、左手に持っていた散弾銃をフィールに向けて引き金を引く。だが、


「敵が2人って事を忘れるなよ?」


「……っ」


 縮地で接近した俺が散弾銃を弾き飛ばし、ナイフをフィールが握り潰す。これで、ビアンカの持つ武器は背中に背負った散弾銃だけだ。


「お前がそれを背負って撃つよりも、俺たちが攻撃する方が早い。試してみるか?」

 

「……遠慮しておきます。しかし、殺さないんですか?」


 観念したのか、ビアンカは両手を上にあげて、そう聞いてくる。取り敢えず、予想より早く無力化は終わったな。武器持ちは弾けば大体終わるから楽だな。弾くまでが面倒いけど。


「いや、俺はこの魔導機械に興味があるからな。詳しいお前を殺しちまうのは微妙だと思っただけだ。それに、武器さえ取り上げてけばわざわざ殺す必要も無いだろ。盗賊とか、一般的に殺してもいい奴でもない限りは」


 俺がそう言うと、ビアンカは両手を下げて、片膝をつく。そして、


「はあ……参りました。そして、これからよろしくお願いします。ご主人様」


 という、爆弾発言を落として来たのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……で、どう言う事か説明して貰おうか。なんでいきなり着いてこようとしてるのかを」


 俺は、ビアンカを立たせ取り敢えず問いただす。全く持ってどうしてこうなったのかが理解不能だからだ。フィールも、頭に?マークを浮かべている。


 しかし、当のビアンカは、


「少し長い話になるので、椅子にでも座りませんか?案内しますよ?」


 と、部屋の中に案内しようとしてくる。立ってるのなんて慣れてるから座る必要なんて全くない。


「いや、今ここで説明してくれ。じゃないと、警戒しちまう。嘘か本当かどうかは2人で判断させて貰う」


「……同意」


 そう言うと、ビアンカは溜息を吐く。


「では、ここで話させて貰います。……結構長いので、座らなかったことを精々後悔して下さい」


 そう言ってから、ビアンカは話し始めた。


「まず、事情を話すには、私の事について語らなければいけません。……私は本来、この施設の主様が研究結果を後世に残すために、道具として作った存在でした。……主様は、魔導機械だけではなく、他の分野においても優れた知識を持っていました。私は、それを拗らせて造られた存在なのです」


「どういう事だ?」


 少し疑問に思ったために口を挟む。その質問に対しても、ビアンカはしっかり返してくる。


「本来、私達ホムンクルスは人と比べると非常に小柄な存在です。……そこで、主様は考えました。「材料とか道具とか、全部大型の使えばサイズも大きくなるんじゃね?」と」


「……適当すぎ」


 俺も突っ込もうと思ったのだが、フィールに先を越されてしまう。フィールもスルーは出来なかったようだ。


「まあ、それが成功したからここに私がいるんですけどね。……ですが、流石に弊害はありますけどね。具体的には、あらゆる知識なんて物は身につけておらず、一般常識くらいしか身につけていないという弊害です」


「それホムンクルスの利点殆ど潰してるじゃねえか」


「その分、身体能力があるので問題ないです。……まあ、そんな感じで生まれた私は、主様が知っている限りの、全ての知識を教え込まれました。……ですが、主様は私に知識を教えている間に、私を子供のように思ってしまったようなのです」


「……それで?」


「主様も人間でした。当然寿命が尽きる時が来ます。そして、主様は死ぬ間際にこう言い残されました。「儂は、魔導機械を後世に残す為にお前を造った。……だが、儂は魔導機械よりも、お前の方が大事になってしまったようだ。儂からの最後の頼みだ。ビアンカ。お前は、自由に生きてくれ。本来の儂の望みであった魔導機械を伝えても、その全てを破棄して自由に旅をするのも……全て、お前の意思に任せる。どうか、幸せに、後悔なく生きてくれ」……そう、仰いました」


「……」


 割と重い話で、しかし、続きが気になってしまう。その様子に気付いているのかは解らないが、ビアンカは話し続ける。


「私は、この知識を信頼できる方に、悪用しない様な人に託す為に、旅に出ようとしました。しかし、知識で国の場所などは解ってはいたのですが、肝心のここの場所が解らなかったのです」


「おい」


「ですから、私はここで待ち続ける事にしたのです。上層に配置した魔導機械達を退けられるだけの力を持ち、そしてここを見つけ出せるだけの人を。……そして、私を殺そうとせず、生かしてくれる優しい心の持ち主を」


「……」


「以上です。そして、その待ち続けた人が貴方だったと。そう言う事です」


 さも当然の様に、真っ直ぐな瞳で話し終えたビアンカ。しかし、質問は山積みだ。


「ちょっと聞いとかなきゃいけない事がある。……まず、俺がお前を殺そうとしたらどうするつもりだったんだ?」


「……一応、このメイド服の下には鎖帷子的な物が仕込まれているんですよ。それに、一応武器も隠し持ってますからどうにかなるかなーと。……もっとも、ご主人様達のような規格外が相手となると、無意味でしょうけど」


 さらっと言われた規格外扱い。まあ、事実だからしょうがない……いや、此奴もその分類だから此奴には言われたくないな。


「……そうか。だが、俺は優しいとかじゃなくて、魔導機械について知りたかったからお前を生かしただけだ。お前の求めてる人物像とは大分違うぞ?」


「そんな理想そのままの人なんている訳ありません。一番重要なのは、私が信頼出来る相手と思えるかどうかです」


 全く、折れる様子を見せない。実の所、連れて行ってもいい気がしてはいる (フィールにも目線で確認済み)のだが、日本に戻ることを目的としている以上、巻き添えは増やしたくない。だからこそ、こうやって遠回しに断ろうとしているのだ。


「つーか、お前を連れて行ったとして何の役に立つ?メリットが無きゃ連れてかないぞ?」


 そう言うと、ビアンカは勝利を確信したかのように言う。


「連れて行くメリットですか?勿論ありますよ。……魔導機械は道具に分類されますが、作る際にスキルが適応されることはありません。部品などを加工するのに各種生産スキルは使いますが、設計図などを全て自分で作り、正確にそれを組み立てる必要があります。……ご主人様に、それが出来ますか?」


 ここで、完全に墓穴を掘った。今の質問は、PRしろと言ってるようなものだ。そこら辺にいる相手ならまだしも、ビアンカは古代文面の産物である魔導機械を作れる数少ない人物。PRの話題が無いわけがなかった。


 もう、後が無くなった。


 そこで、俺の迷いを断つべく最後の、フィールにも言ってあることを告げる。


「……俺はこことは別の世界から来た人間なんだ。もし、俺達に着いて行きたいって言うなら、それはこの世界を離れる事になるかもしれない。お前は、それでいいのか?」


 俺は、この質問に少しでも悩むようならそれを理由にして突き放そうかと思っていた。しかし、ビアンカは一切迷いなく言う。


「そんな事、気にする筈がありません。主様はもう300年以上前に亡くなってしまっていますし、そもそも私は自由に生きると決めたんです。誰にも、その邪魔はさせません。それに……」


 ビアンカは少し間を置き、覚悟を決めた顔で言う。


「……私は、この世界を旅した事もありません。知り合いと言う者もいません。ですから、どの世界だろうと私にとっては些細な問題です」


 ビアンカの瞳には一切の迷いは見られない。これ以上幾ら言っても暖簾に腕押しだろう。


だからこそ、


「……はあ、負けたよ。俺の負けだ。つー訳で、これからよろしくな。ビアンカ」


「ええ、これからよろしくお願いします。ご主人様、お嬢様」


 そう言い、ビアンカは俺たち2人に握手を求める。しかし、俺たちはそれに応じずある事を言う。


「あー、流石にご主人様は止めてくれ。慣れない」


「……私も、落ち着かない」


 取り敢えず、呼び方は大事だ。なんか他人行儀に聞こえてあんまりよろしくない。なんてったって、新しい仲間なんだからな。


「失礼しました。……と、そう言えば名前を聞いていませんでしたね。仲間になったというのに」


「あ、悪い。俺は黒野 海斗。クロノでもカイトでも好きに呼んでくれ」


「……私はフィール。フィール・ヴェーチェル。フィールって呼んで」


「カイト様とフィールさんですね。では、これからよろしくお願いします」


 そう言い、握手を求めて来たので二人ともそれに応じ、硬い握手をする。ビアンカが「痛いです!痛いです!」とか言ってたのはご愛嬌だ。


 そして握手をした後、俺たちは扉の向こう、研究室及びビアンカの居住スペースへと足を踏み入れた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……凄いな、やっぱり」

 

「褒めても何も出ませんよ?」


「……褒めなくても、そこら辺から色々出てくる」


 研究室は、流石の一言だった。まず、尋常じゃ無い量の設計図があった。簡単な魔導拳銃という物から、超大規模の飛空挺の設計図まで。それこそ、俺たちでも無事に勝てるかどうかすらも解らないような兵器の設計図まで置いてあった。


 さらに、魔石を動力源とした場合の詳しい挙動、魔石に変わる動力源のアイデア、そして魔石すら使わず、現代科学と同じように電気で動かせる機械の構想……この部屋の中の物だけで、世界が大きく変わりそうな程だ。


「……だけど、これは世に出したら駄目だな」


「……その気持ちは解る。凄く」


「やはり解りますか。……非常に無念ですけど」


 この部屋にある物は、一言で言えば「異常」だ。何も考えずに世の中に出したら世界が滅ぶ可能性がある程の。


 それはビアンカも解っていたようで、若干肩を落としている。「頑張ったのに使えない……虚しいですよね」とか言ってるのを見ると悲しくなってくる。


「ま、まあ、魔導拳銃の設計図位なら持って行っても問題ないだろ。十分使えるだろうし」


「……そうですね。一応依頼を受けて来たのですから、戦利品は無きゃ行けないですし、ちょうど良さそうですね」


 そう言い、ビアンカは設計図を手に取って懐に入れようとする。


「あ、ビアンカ。ほい」


 そこで、俺は収納の腕輪 (フィールのが壊れた時用の予備)をビアンカに投げ渡す。それを受け取り、説明を聞いたビアンカは興味深そうにそれを見ながら呟く。


「この仕掛け……うまく使えば……が……」


 どうやら、魔導機械の仕組みに取り入れられないか考えてしまっているようだ。そこで、そこら辺にある白紙を手に取って、ファストクリエイトでハリセンを作って叩く。

 

「痛いっ!って、カイト様!何をするんですか!」


「なんか自分の世界に入ってたからな。引き戻してやっただけだが」


 俺が悪びれる様子もなくそう言うと、ビアンカは諦めたように言う。


「確かに悪かったのは私ですが……それでも……」


 と。しかし、不満を垂れ流しているビアンカにフィールが言う。


「……自業自得。諦めて」


「フィールさん……私の事嫌いなんですか……?」


 まあ、そんなたいしたことのない会話をしながら、適当に使えそうな設計図などをアイテムボックスに放り込む。原理はビアンカが全て暗記しているようなので持っていく必要はない。


 そして、大体物色が終わり、出ようとした所でビアンカが思い出したように言う。


「あ、少し待ってて下さい。こんな素晴らしい物を貰ったので、ちょっと使えそうな物を放り込んで来ますね」


 そう言ってから、ビアンカは自分の部屋へと入っていく。ちなみに、俺はそこへは入っていない。フィールとビアンカに、「女性の部屋に入るのは非常識」と言われたからである。フィールは部屋持ってないし、ビアンカは機械しか無さそうなのだが、駄目なものは駄目なのだ。


「……お前はビアンカの事をどう思う?」


 ビアンカが部屋に入って行ったので、今の内にフィールに印象を確認しておく。


「……ホムンクルスに繁殖能力は無かった筈だから、ライバルにはなり得ない。今の所、何一つ心配は無い」


「ちょっと待て。お前は何の話をしているんだ」


「……女性としての印象?」


「人としての印象だ!今聞いているのは!」

 

 いきなり無茶苦茶な事を言ったフィールに突っ込みを入れながらも、本題を聞こうとする。


「……私達と、似てる」


「どこら辺が?」


「孤独の怖さを知ってて、話し合える人を求めてる。……そういう所が、凄く」

 

「……そうか」


 俺たちとは違い、この安全な場所にいたが、1人でいた期間は俺たちよりずっと長い。適当に話していた中で、Q、何時から1人だったんだ?A、300年からは数えて無いですね。もしかしたら倍近くの長さだったかも知れませんけど という答えが返ってくるほどだ。


 もしかしたら、俺たちよりも孤独への恐怖心は強いのかもしれない。


 だが、


「すみません、お待たせしました。では、行きましょうか!」


 そう言いながらワクワクしているビアンカからは、そんな様子は微塵も感じられないが。

まさかの主人公メンバー加入!

魔導機械に詳しいホムンクルスです。正直展開が急すぎて置いてけぼりになってる人もいそうですが。

あるゲームの敵がモデルになっているのですが……現在その一欠片も出して無いので特定は不可能ですw

次回辺りで解る人は解ると思うので……まあ頑張って下さい。ただ若干古いゲームなので解る人は少ないと思いますけど。

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