表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/170

4話 弱い、弱すぎるわ!

 今回、人死にが出ます。苦手な方はご注意下さい。

 現在、俺とフィールと案内役のフィオーリはダンジョン目指して森の中を進んでいる。歩いて2時間位もあれば着くということで、久し振りにゆっくりのんびり歩いている。


「なあ、フィオーリ。なんでお前は俺の事をお兄ちゃんだなんて呼ぶんだ?」


 唐突に、さっきから気になってる事を聞く。結構、ロリコンに目覚めそうでよろしく無いのだ。


「えっとね、何故かお兄ちゃんとフィールお姉ちゃんからは森の皆と同じような雰囲気がするの。だから、なんか兄妹みたいな感覚がするの」


 そうかそうか。野生児どころか魔物扱いになってると。夢幻列島で1ヶ月暮らしただけでそこまで言われる事になるのか。


「あのな?流石にお兄ちゃんなんて言われるのはちょっと落ち着かないっていうか……もうちょっと、別の呼び方はないか?」


「へい、クロノの兄貴!前方300メートル先に盗賊発見!滅殺しやしょう!」


「悪かった!頼むからお兄ちゃんに戻してくれ!」


「……楽しそう」


 フィオーリに呼び方を改めさせるのは諦めよ……って、ちょっと待って?フィオーリ今なんて言った?


「盗賊?こんなところにか?」


「うん。多分、指名手配されて逃げて来たんだと思う。よくあることだよ」


「よくあることなのか」


 ……盗賊かあ。一応、会うとしたら1ヶ月ぶりの人族なんだけど……。てか、この世界の盗賊の扱いはどうなの?


「サーチアンドデストロイでオーケーだよ。私達は持ってけ無いけど……頭の所持品とかギルドに持ってけば賞金とか貰えた筈だよ。指名手配されてればね」

 

 そうかそうか。即殺OKか。……この世界の習慣には慣れとかなきゃいけねえからな。襲われたら瞬殺でいいか。


「フィオーリ。もし襲ってきたら俺が戦う。……人を殺すのに慣れておきたいからな」


「うん、いいよ。フィールお姉ちゃんはどうするの?」


「……私も戦うから、半分は残しといて」


「りょーかいだ」


 随分とまあ、物騒な会話である。もし俺が盗賊で、こんな会話が聞こえてきたら全力で逃走するぞ。


 だが、そんな会話は聞こえなかったようで、さらに美少女と美幼女と弱そうな一般高校生に見える俺たちを襲わないという選択肢は無いらしく、やっぱり盗賊とエンカウントする。


「ぐっへっへ。そこのお前たち。止まりやがれ!」


「俺達ゃ泣く子も黙る盗賊団!その名もフェンリルだ!」


「死にたくなきゃ金と女と武器とプライドを置いて来な!」


 3人の盗賊が前方に飛び出し、それに気を取られている内に後ろを別の人員が塞ぐ。戦略としては悪くないな。戦略としては。


 取り敢えず、勝手に鑑定でステを覗く。3人ともレベル40前後、悪くはないレベルだ。普通ならな。


 その間、俺たちは無言だ。それを、相手は怯えていると判断したようだ。


「げっはっは。怖くて声も出ねえか。……つーか、よくよく見りゃそこの女2人とも超美人じゃねえかよ。両手に花かよ。もっとも、両方とも連れてかせて貰うがな!」


 そう言いながら、フィールとフィオーリに手を気持ち悪い動かせ方をしながら近づいて行く。


 じゃあ、殺りますかね。


 早速、アイテムボックスから邪剣エクスカリバーを取り出し構え、普通に走って盗賊Aに向けて軽く振り下ろす。


「……は?」


 この声が、盗賊Aの最後と言葉となった。

 

 結構軽く振ったつもりだったのに相手が柔らか過ぎたのか。抵抗を殆んど感じさせずにその体を真っ二つに引き裂いた。返り血を浴びるが、そんなに嫌悪感は感じない。


「こ、此奴!よくもアレンを!死ねぇ!」


 近くにいた盗賊Bが逆上しながら俺に飛びかかり、持っている槍で俺を突き刺そうとする。まあ、無駄だけどな。


 その槍を素手で掴み片手でへし折った上で盗賊Bの首を刎ねる。ステータスが10倍近い差もあればこんなもんか。


 そこらへんで、そう言えばフィールはどんな調子かなーと観察してみる。


 結果としては、完全に遊んでいた。腕を龍化させて、盗賊相手にボクシングをしていた。殴るたびにバリバリッ!とかなってるのはなんなんだろうな。


 ちなみに、フィールの方を見てる間、俺は普通に盗賊に攻撃されている。もっとも、そんくらい見ないで片手で対抗する位余裕だけどな。


「くっそ!なんで当たらねえ!化け物か!」


「馬鹿言うな!相手は1人だ。全員で一斉に攻撃すりゃ防げはしねえ!行くぞ!」


 1人が合図をすると、近くにいた5人が全員同時に俺に攻撃をする。


「んー、戦略としては悪くねえんじゃねえか?でも相手の前で作戦会議しちゃ意味ねえと思うぞ?」


「な、なんでお前空中に立ってるんだよ!?」


 飛べない人にはさっきの作戦は強いと思うけど、飛べる人には無意味だと思うんだよね。


「自分で考えな。考える時間があればな」


 そう言いながら、滑空して胴体を切り落とす。そして、そのままクルッと一回転して周りの奴らも切り落とす。


 と、そこで1人の盗賊がさっきから動いていないフィオーリを人質にしようと隠密全開で忍びよっている。まあ、俺が出るまでもないだろう。なぜなら、


「『風矢』」


 たった2文字で放たれた風の矢が、その盗賊の頭を吹き飛ばした。きっと、あの盗賊は自分がなぜ死んだからすらもわからなかっただろう。


 今放たれた魔法は風魔法レベル1から使える「ウィンドアロー」の詠唱を、魔法名まで省略した魔法だ。ただし、魔力を多めに消費しているため充分な破壊力はある。

 

「くそっ!女も男も化け物か!」


「こ、ここは引いて親分に報告を……」


「馬鹿っ!こいつらから逃げ切れる訳ねぇだろ!殺るしかねえ!」


 3人の盗賊が話し合っているが、それを待ってやる道理はない。


「で、遺言はあるか?」


「「「ひっ」」」


 軽くそう声をかけてやると、3人とも腰が抜けたようで座り込む。別に威圧とかはしてないんだけどなぁ。


「た、助けてくれ!命だけは!」


「な、なんでもする!だからこの通りだ!」


「死にたくなぁい!死にたくなぁい!」


 3人の盗賊は、プライドをかなぐり捨てて俺に命乞いをしてくる。まあ、応じないけどな。


「そっちが襲って来なかったら素通りしてたんだけどな。恨むなら襲う相手を間違えた自分たちを恨め」


 そう言いながら、3人の首を刈り取る。やはりというか、快楽も感じなければ嫌悪感も感じない。


「はあ、大分感覚が狂ってるみたいだな。まあ、あんなとこでしばらく生活してたらそうもなるか?特にミラージュ倒すまでは殆んど余裕無かったし」


 事実、人を斬り殺したにも関わらず、魔物を殺すのと同じような感覚しか感じなかった。慣れておきたいとか思ってやったが、そんな必要は全く無かったようだ。


「……半分残してって言ったのに」


「あ、悪い」


 フィールが不満そうな顔で言ってくる。さっきまで盗賊をサンドバッグにしていた筈なのに手には血すら付いていない。血が出ない程度にやってたのか、血すら付かない速度で殴っていたのか……まあ、後者だろうな。可愛い顔して慈悲が無い。


「お兄ちゃん、終わった?」


 さっきからただ突っ立ってたフィオーリが聞いてくる。暇だったようだ。そんな顔をしている。


「ああ、終わった。じゃあ、行こうか」


「……賛成」


 しかし、そこでフィオーリがある事を言う。


「あ、そのことなんだけどね。ちょっと道がずれちゃうんだけど、目的地の近くに盗賊の仮拠点があるみたいなの。虫さんたちがそう言ってた」


 仮拠点か。さっき1人が言ってた親分とかはそこにいるんだろうな。どうしようかなー、金目の物とかもありそうだしなー。あ、やべこれ完全に強盗の考え方だ。


 無理やり理由をつけるとしたら……「おたくの奴らが喧嘩売ってきたんだが覚悟は出来てるんだろうなゴラァ!」って感じで殴り込む感じか。


「どうしようかなー。フィールだったらどうする?」


「……取り敢えず放置、もう一回襲撃されたら全力で叩き潰しに行く」


「そうか。うん、それでいいかな」


 相変わらずフィールが割と過激派だ。残虐な事をするのに全く抵抗が無い。まあ、彼処にいた期間は俺の72倍くらいだからしょうがないかも知れないけど。


「じゃ、そういう事で。フィオーリもその方針でよろしく」


「わかったよ」


 ということで、俺たちは歩き出そうとする……が。


「グルル……」

 

 といううめき声が草むらから聞こえてくる。


「あ、そう言えば私魔物と会話できるけど、みんな仲良しじゃないの。場合によっては私を食べようとしてくる事もあるの」


 フィオーリが思い出したように唐突にそんな事を言う。なんか嫌な予感がするんだけど……。


「なあ、フィオーリ。それってつまり、これは血の匂いを嗅ぎつけて俺たちを襲いに来たってことでいいんだよな?」


 そう聞くと、フィオーリは嬉しそうな顔をする。


「そーだよ!流石お兄ちゃん!」


「グルルォォン!」


「喜んどる場合か!鑑定!」


 鑑定の結果としては、レベル50相当、筋力と敏捷高めの唯の狼でした。名前はシルバーウルフだ。


「ま、魔物が弱い!弱いぞ!」


「……レベルたったの50か、ゴミめ!」


「お兄ちゃんたちの感覚はズレてるよ?この子この森の中でも大分強い方なんだけど」


「えー?これが強い方?ないわー」


 敵を前にしているにも関わらずこの調子である。その態度に、シルバーウルフも怒ったようだ。


「グルラァァア!」


 さあ、戦闘(フルボッコ)といこうじゃないか。


 

 

 と、思ったのだがフィオーリが一歩前に踏み出す。


「ちょっと懲らしめればお話出来るかもしれないの。だから、ちょっと待ってて」


 そう言うと、フィオーリはそっと手を前にかざす。すると、突然地面から8つの太い根が飛び出し、鞭のようにしなりシルバーウルフを吹き飛ばす。


「キャイン!」


 そして吹き飛ばされて落下した先で、さらに飛び出した根がシルバーウルフの体を締め付け、動きを封じる。


「グルルォォ!」


 シルバーウルフはその拘束から逃れようと必死にもがいているが、そこへフィオーリが声を掛ける。謎言語で。


「クルル?クルルルルゥ」


「グルラァァア!グルルォォ!」


「クララ?クルォン」


「グルル……?」


「クルォン。……クルゥン」

 

「グララァ!」


 意味の全く分からないフィオーリはシルバーウルフを解放する。そして、解放されたシルバーウルフはそのままそこら辺に落ちている盗賊の肉に喰らい付く。


「なあ、フィオーリ。一体、どんな会話をしたんだ?」


 どうしても気になったので、少し聞いてみる。流石に俺にはあの会話の意味は理解できなかった。


「えっとね、あの子はお腹が減ってて冷静さを欠いちゃってたみたいなの。それで兎に角なんでも良いから喰わせろって言ってたから、盗賊の肉を進めたらああなったの」


 そう言いながら、ガツガツと音を立てながら肉を喰らうシルバーウルフを指差す。それに反応して、シルバーウルフが「ガウッ!」と吠える。完全に手なづけてしまったようだ。


「フィオーリ。もう邪魔も入らないみたいだし、そろそろ先に行かないか?」


「あ、そうだね。クルルォン!」


「ガウッ!」


 今言ったのはまたねと言う感じらしい。


 まあ、そんな感じでトラブルをフルボッコにした俺たちは、その後は何もなく無事に目的地に辿り着いた。


 


 古代文明、魔導機文明の遺跡へと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ