3話 頼み事2連発
少し短めです。説明回を2連でやっても微妙でしょうし。
だけど、必要なことなんで勘弁して下さい。お願いします。
「……えっと、ジョーカー。もう一回言ってくれるか」
「だから、闘技大会に出てくれないか?1週間後の」
「……なぜ!?」
ジョーカーが頼んできたこと、それは闘技大会への出場だった。正直、なぜ今こんな厄介そうなことが起こってる中でそんなことをするのか理解出来ずに、問い詰める。
「あのなぁ!流石に理解不能だ!理由を説明しろ、俺が納得できるような理由を!」
「お、落ち着け!順を追って説明するから!アダマースが!」
「気絶したままだよ!お前が説明しろ!」
「チクショウ!説明してやるよ!下手だからって文句言うんじゃねえぞ!」
一通り怒鳴りあった後、お互いに深呼吸して落ち着きながら会話に入る。
「で、闘技大会の参加についてだがな。理由はまあ盛り上げることだな」
「その理由を話せって言ってんだよ。盛り上げる事くらい分かる」
そう言うと、「今から説明する」と言って、真剣な顔で話し始める。
「まず、闘技大会には一般と特殊の2つの種別がある。一般は住人参加自由のフリーな決闘だ。予選をやって本戦に入るんだが……お前達にはこっちは関係ない」
「ってことは特殊の方に出ろと?」
「まあ、そう言う事だな。ちなみに特殊っていうのは普段は3人しか出場してない、まあエキシビジョンマッチだな」
「……それは盛り上がるもんなのか?」
すると、ここでジョーカーは嬉しそうに笑う。
「まあ、本戦の決勝とは比べ物にならない戦闘になるからな。……何せ、参加者は俺、カルディア、フィオーリだからな。大体俺が勝つが、たまに負ける時もあって盛り上がりは最高潮だぜ?」
「参加者ってお前らかよ。てか魔王それで良いのか」
「いいんだよ。だってバトルロワイアル式だからな。流石に2対1じゃちとキツイ」
魔王の威厳ってなんだっけ?と思うが、とりあえずスルーして疑問に思った事を聞く。
「……それは俺たちが出ていいもんなのか?今敵対中の人間が参加して、万が一勝ったとしたら問題になりそうだけど」
「……ブーイング、起こるかも」
どうやらフィールも同じことを思ったようだ。しかし、ジョーカーは首をふる。
「まあ、安心しろ。この街は人間にも結構オープンだ。それに、勝っても負けても魔族を理解してくれている人間がいるって事を証明出来るし、もし俺が勝てれば民衆の人間に対する恐怖は和らぐだろうし、お前が勝てば「これだけ強い人間が魔族を理解してくれているならば、もしかしたら和解出来るかもしれない」っていう感情が生まれるだろうからな。勝っても負けても問題はない!」
とはっきりと言い切った。こいつも、なんだかんだで頭が働くようだ。……言っちゃうと、アダマースには到底及ばないと思うけど。
良いように使われている気がするので断ろうとも思ったが、少し気になった事を聞いてみる。
「そこで倒れてる奴は出ないのか?アダマースも相応に強いだろ」
それに対してジョーカーは首をふる。
「彼奴は自分の力を殆ど見せようとはしないからな。能ある鷹は爪を隠すって奴だよ」
確かに、アダマースは自分から戦いとかはしなさそうだなとか思いつつ、別の質問をする。
「ジョーカー。その大会、賞品ってあるか?」
「ああ、本来ならないが、もしお前達のどっちかが優勝するようなら、特別に報酬を用意する。出来る範囲で、お前の望みを叶えるぞ。出来る範囲でな」
「ちなみに元の世界に帰る魔法は?」
「異世界を渡る事の出来る魔法か……。禁書庫を見れば何かあるかもな。だが立ち入り禁止だぞ?」
ジョーカーの顔が物凄い悪人顔になっていく。その顔はまさにこう言っている。
「本来立ち入り禁止だけど、闘技大会で優勝してそう望めば入れてやるぞ?」
と。
正直面倒くさいのだが、帰る手段があるかもしれない所を見ない訳にもいかないし、無理やり入るのも厄介事になりそうだ。そうなると……出るしか無いのか。
「チッ……しょうがねえな。出てやるよ。フィール。それで良いよな?」
俺がフィールにも確認を取ると、フィールは不敵に笑いながら言う。
「……面白そうだから参加する。ジョーカーも、胃薬が手放せない体にしてあげるから覚悟しておいて」
「ふっ、笑わせてくれる……魔王の実力という物、見て驚くなよ?」
ジョーカーがカッコつけているが、俺はそれを打ち砕きに掛かる。面白そうだから。
「と言ってもステータスは確認済みだけどな。……それに、俺とどっこいどっこいだろ」
「ぐっ!だが経験の差が……」
しかし、今度はフィールからの追撃だ。
「……あの死地で生き延びてきた私達の経験が緩いと?」
「あ、いや、それはだな……」
そして、フィールの質問にたじろいでいるジョーカーにさらなる口撃を加える。
「それにだ。幹部2人がかりとはいえ、負けちゃう魔王ってどうなの?もっと努力したほうがいいんじゃねえの?」
「あ、ああ……」
まだ俺のバトルフェイズは終了していない。
「あと、自分の事最強候補だと思ってたのに、ある日落ちて来た俺にステータスだけなら負けている実態!なあ、どんな気持ちだ?」
「ぐぅ……」
「そして、その苦しそうな顔で胃を抑えているその姿!何をどう足掻こうとも!魔王には!見えない!」
「ガハッ!」
ここで、ジョーカーのメンタルが砕ける。いやー、どうも最近加減っていうのがうまくいかないな。流石にやり過ぎたかな?
「……何がお主らをそうさせたのじゃ?」
「「楽しいから」」
「……そうか」
カルディアが諦めたように引き下がる。
「で、この状況一体どうするのかの?ジョーカー様もマースもダウンしてる。妾たちじゃこの後どうするか解らんぞ?」
「「あ……」」
結局、アダマースが起きるまで待つ事に成りましたとさ。
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「先ほどまで何の話をしていたのか覚えていないのですが……。今どういう状況ですか?」
「話が終わってこの後どうするかって状況じゃの。城の部屋を貸すか、1番高い宿でも取らせるか。どうするのじゃ?」
「俺は出来れば宿のほうがいいな。折角だから街も見てみたいんだよ」
「……それは賛成」
城はもう召喚された時に滞在しているから、出来れば宿とかに泊まって街とかを見て歩きたい。金は……素材でも売ればいいだろ。
「それでよろしいですか?でしたら宿屋代ならこちらで出しますけど」
「じゃあ頼む。買い物とかは適当に素材でも売って金稼げばいいしな」
しかし、ここでカルディアが反応する。
「……それは、もしかしなくても夢幻列島の魔物の素材かの?」
「ああ、そうだが」
そう言うと、カルディアは残念そうな顔をする。
「……この街には冒険者ギルドが無くての。高価な素材は、なかなか買い取ってもらえん。……大体レベルが60以上の魔物の素材はまず無理じゃろうな」
「マジで?」
「マジじゃ」
「……ドラゴンの肉とかは?」
「そんなもの高すぎて王族でも滅多に食べませんよ」
俺は絶望した。売れないってマジか。宝の持ち腐れかよ。
と、暗い顔をしたところを見たアダマースがある提案をする。
「クロノさん。……もし、ここで貴方に依頼を出したら、貴方は受けますか?」
物凄く、悪い顔をして。
「……物凄い面倒くさそうな予感がするんだが、一応聞いてやる。俺たちに何をさせるつもりだ?」
「いえいえ、そこまで難しいものではありませんよ。ただのダンジョンの調査です」
「……で、そのダンジョンとやらの魔物の強さは?レベル500以上とか言うのか?」
もう裏があるとしか思えないので、出来る限り問い質したい。
「いえ、そのダンジョンは少し特殊でして。魔物は一切出て来ません」
「……それは俺らに依頼をする意味はあるのか?」
もう、怪しすぎる。魔物が出ないダンジョンとか不穏すぎる。
「おい、アダマース。今魔物はって言ったか。魔物以外の何が出てくるんだよ」
「……それに関しては、依頼を受けてくれたら説明してあげます」
うわぁ。面倒くせえ。どうしようかな。でもなー、受けないと金が無いんだよなー。
「……受けよう」
そう言ったのはフィールだ。
「えー……受けるのか?怪しすぎるだろ」
「でも、私達は強い。どんなとこでも、彼処に比べたら緩い」
「フィール。お前のその感覚はおかしい」
だが、フィールの言うことは多分正しい。
夢幻列島がこの世界トップクラスの危険地帯と言われている以上、そこ以上の場所はあんまり無いと思う。
だから、今回の場所も然程問題は無い。多分。
「……まあ、受けてやるよ。で、何が出てくるんだよ。一体」
「それは……」
アダマースから聞いた話は大分衝撃的なものだったが、あんまり問題は無さそうだし俺にとってもかなり興味のある内容だったので、喜んで行くことにした。
今日の内に。




