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2話 ジョーカーの胃は瀕死

「じゃあ、俺たちが今、どんなに面倒くさい状況に置かれているか説明するぞ」


 ジョーカーがそう言い、話を始める。


「まず、ここにいる俺たち四人は人族との戦争は望んじゃいない。寧ろ、共存の関係を持ちたいとも思ってる。……実際、人族の商人とかとはある程度交流があるからな」


「ああ、そのための外交担当か」


 俺は多種族の交流が少なそうな魔族国に外交担当なんて必要か?と思ったのだが、理由を聞いて納得する。


「まあ、そんなもんだな。……話を戻すぞ。言い忘れてたが、俺は魔王でカルディア、アダマース、フィオーリは幹部だ。まあ、もう一人幹部がいたんだが……」


「……このハーレム野郎め」


 幹部3人に対して1人の魔王。完璧なハーレムじゃないですか。


 そんな感じでジョーカーをからかう。フィール以外の人と話すのが久しぶりだからな。どうにも我慢ができない。


「ハーレムじゃねえよ!……まあ、もう1人"男の"幹部がいたんだがな、そいつが裏切りやがったんだ」


「……裏切った?」


 珍しくフィールが問い質す。暇だったのだろう。


「ああ。彼奴……スペディオの目的は人族と魔族を滅ぼす事……。まあ、早い話が戦争させて、勝って消耗した方をぶっ潰そうとしてるって感じだな」


「……魔王なんでしょ?止めれないの?」


「幾ら魔王でも転移石で逃げられたらどうしようもねえよ。……それに、彼奴は別の奴らとも手を組んでるみたいでな。多分スペディオを捕まえただけじゃダメだな」


「そのスペディオってのは具体的には何してるんだ?」


 戦争になると面倒くさいことこの上ないので、対策を立てるために情報を集める。


「まあ、人族の村とかを魔王軍名義で襲撃して、魔族に対する敵対心とかを植え付けようとしてるな。魔王軍の幹部を名乗る魔族に襲撃されたらそりゃ魔王と敵対しようとするだろ?」


「で、うまく焚き付けて戦争させて、漁夫の利を得て世界を我が手にってか?面倒くさいな」


 俺が厄介そうにそう言うと、ジョーカーは何故か嬉しそうな顔をする。


「だろ?俺だってもう厄介すぎて胃が痛いんだよ。この面倒くささを理解してくれるのはお前だ」


 どうやら、思いを共感できる人が欲しかっただけのようである。


「……で、スペディオとか言う奴の活動はそんなもんか?」


「いや。まあ、もう一つの方はいまいち解らないんだ。なんかの邪神の復活……?とかなんとか言ってたような気がするが覚えて無いな」


「いや、そこは覚えておけよ!絶対に!」


 それ最重要情報だろどう考えても!覚えとけよ!


 しかし、その返答を華麗にスルーしたジョーカーは俺へ質問を投げかけてくる。


「……で、俺からの質問なんだが。お前は召喚された勇者だったみたいだが、何故行方不明に成った?何処に居たんだ?……そして、何故ここに来た?」


「……つまり、俺がこっちの世界に来てからほぼ全部の事を聞きたいと」


 俺は面倒くさいと言うように、頭を掻き毟る。


「さっきアダマースから聞いたんだが、お前のステータスは見ることすらできなかったようでな。あいつの鑑定はそこそこ高レベルなのだが……それでも見れないとなるとお前がどれだけ力を隠してるか気になるんだよ。そして、どんな経験を積んだらそんな力を手にできるかもな」


「……しゃあねぇな。だが、ここで言うことは他言無用だぞ?多分俺しか知らない情報とかもあるからな」


「ああ、分かった。と言うわけだから、お前らも秘密にしておけよ」


「分かった」


「無論じゃ」


「承知しました」


 魔王軍メンバーが全員了承したのを確認してから、一呼吸おいて話し出す。


 勇者として召喚されたこと。


 全てのステータスが1の上、戦闘系のスキルを持ってなかったこと。


 そのせいで、夢幻列島に飛ばされたこと。


 そこでフィールと出会ったこと。


 クリスタルを量産してテラドーピングをしたこと。


 そして、反逆の試練をクリアしたこと。


 最後に、そこから飛び降りてここに落ちて来たこと。


 全てを包み隠さず説明した。普通なら少しは隠せよと思われるかも知れないが、今回は相手が普通じゃない相手だ。しっかり事実を述べて繋がりを持っておきたい。特に魔族国の書物は人族はまず読ませて貰えないだろうから、何か良い情報が眠っているかも知れない。


 そういう打算の元に説明をした。


 だが、俺は一つ大事な事を忘れていた。それは……。


「む、夢幻列島?試練?クリスタル量産?……アダマース。胃薬を取ってくれ今すぐに」


「ジョーカー様。胃薬は食後ですので、今は駄目です」


「妾ももう何がなんだか理解ができないのじゃが……」


「夢幻列島ってお空の島?お兄ちゃん凄い!」


 純粋に凄いと褒めるフィオーリ、混乱しているカルディア、胃を痛めたジョーカーにそれに冷静に対処するアダマース。


 そりゃ、いきなり夢幻列島の話をしたらこうなるわな。でも、もうちょっと魔王軍なんだから冷静に対処して欲しかったけど。

 

 その願いに応えたのか、魔王軍きっての頭脳派、アダマースが冷静に俺に話の内容の確認をしてくる。


「クロノさん。まず、あなたはダーティという男に夢幻列島に飛ばされた。そこでフィールさんと出会った。そして持っていた生産スキルを使用し、ステータスクリスタルとスキルクリスタルを量産、その力を使い試練を突破。その過程で、夢幻列島が人為的に造られたものであるという疑惑が浮上した。その後、その疑惑を無視して夢幻列島から飛び降りて、滑空しながらここまで辿り着いた……こんな感じでよろしいですか?」


「ああ。間違いない。割と端折ったところはあるけど、重要事項はそんなもんだぞ」


「夢幻列島の情報なんて些細なものでも重要なのですが……例えば生息している魔物の強さとか」


「俺が見た最低レベルが60前後、高いので180位の上位ドラゴンが普通にいたな。主クラスになるとレベル200と300とかになるけど」


「……ふざけてますね。一応魔王であるジョーカー様ですらレベル300ですよ?それが島の主だなんて正気じゃ無いですよ」


 あれ?割と魔王ってレベル低いのか。って、そう言えばまだ全員のステータスを確認してなかったな。話終わったらこっそり見よっと。あ、でも勝手に見てバレても面倒いからなぁ。頼んで駄目だったら勝手に見るか。


「……それにしても、本当に魔境ですね。夢幻列島というものは。本でも出しますか?きっと売れますよ」


「いや、遠慮しておく」


 と、そこまで言ったところでアダマースが真剣な眼差しで聞いてくる。


「……ところで、貴方が試練で手に入れた力。具体的にどんな力かどうか聞いていないのですが、聞いてもよろしいですか?何故かフィールさんのスキルを見てもそのスキルが見えなかったのですよ。《・・》と表示されるだけで効果が分からないといいますか……」


 覚醒のスキルは持ってる人じゃ無いと鑑定でも分からないのかな?謎が増えるな。


「……なんなら俺のステータスを見せてもいいけど。一つ条件があるが」


「……お伺いしても?」


「ああ。一応お前たち全員のステータスを見せて貰いたいだけだ。この世界トップクラスの魔王とその愉快な仲間たちの強さがどんなものか興味があるんだよ」


「貴方なら、普通に見れるのでは?」


 アダマースが不思議そうに聞いてくるが、しっかりと理由を説明する。


「なんか勝手に見るのは無礼に当たるかもしれないとか思ったからさ。下手に関係を悪化させたくはねぇし」


「……そうですか。どうします?ジョーカー様」


 アダマースがジョーカーに問いかける。瀕死のジョーカーに。


「そ ん な こ と よ り い ぐ す り の み た い」


「胃引きずり出しますよ?」


「ひっ」


 魔王ともあろう者が、1人の幹部の殺気で悲鳴を上げている。見てて面白いからいいけど。


「……で、どうしますか?応じますか?」


「……お、応じよう」


 ジョーカーが怯えたまま俺の出した条件に応じる。じゃあ、ステータスチェックの時間といこうか。


 と言っても、まずは俺たちのステータスを見せて色々説明したりするが。


 と言うことで早速ジョーカー達にステータスを見せる。勿論、反応は様々だ。


「……敵対しなくて良かったのう。四人がかりならどうにかなるかもしれんが、タイマンじゃ勝ち目無しじゃな」


「お兄ちゃん強い!」


「スキルレベル11……確かに限界超えてますね……」


「……俺らも行ってくるか?それに彼処なら誰も来ないで静かに暮らせると思うんだ」


「ジョーカーは大人しく現実と向き合え。逃げようとするな」


 特に衝撃の事実を突きつけられ続けたジョーカーのライフはもう0を通り越してマイナスの値に突入したようだ。かわいそうに。大体俺のせいだけど。ところでフィオーリがお兄ちゃんとか言ってるのは気のせいだよな?


「……それにしても、これがクリスタルによるドーピングという物ですか。確かに反則級ですね。それに、これは作った本人以外にも使えると……」


 アダマースが怪しい笑みを浮かべるが、その希望を即刻打砕きに掛かる。


「あ、クリスタルは売らないからな?流石にこんなもの流通したら世界の法則が乱れるからな」


「……はあ、そうですよね。流石にこんな物流通させたら常識が覆りますよ」


 アダマースは渋々といった様子で引き下がる。確かに、目の前に力が手に入る方法があったら欲しい気持ちは分かる。やらんけど。


「……じゃあ、次は俺たちの番だな。俺から見せるぞ」


 そう言い、ジョーカーが俺とフィールにステータスを見せてくる。どれどれ?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ジョーカー

種族 魔王

レベル345


体力 4188

魔力 3839

筋力 4188

敏捷 3490

物防 3839

魔防 3141


スキル

槍術レベル8 雷魔法レベル8

高速詠唱レベル7 全属性耐性レベル3 

身体強化レベル8 探知レベル10


備考

状態異常 胃潰瘍

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

なるほど、魔法戦士か。それにミラージュより普通に強いし、夢幻列島に行ってもどうにかなりそうに見える。


 ちなみに、ステータスに表示された胃潰瘍の文字を見て笑ったのはジョーカー以外の全員だ。3日位前にはこんな表示はなかったらしい。ジョーカーはさらに落ち込んだが。


「じゃあ、次は妾の番かの」


 そう言って、カルディアがステータスを表示


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

カルディア

種族 吸血鬼

レベル257


体力 2349

魔力 2610

筋力 3132

敏捷 3393

物防 2610

魔防 2088


スキル

剣術レベル10 二刀流レベル10

身体強化レベル10 光耐性レベル10


備考

二つ名・残虐姫

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「……吸血鬼って、なんだっけ?」


「うむ。よく言われるのじゃ」


「と言うか完全に脳筋だな。それに二つ名・残虐姫ってなんだよ」


 ジョーカーがバランス良かったのに、一気に崩して来やがった。つーか肉弾戦じゃジョーカーに勝ち目ねえよ。ちなみに俺のツッコミはスルーされた。


「じゃあ、次は私!はい!」


 お次はフィオーリだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

フィオーリ

種族 アルラウネ

レベル231


体力 1410

魔力 3525

筋力 1125

敏捷 3055

物防 1880

魔防 3055


スキル

風魔法レベル9 高速詠唱レベル8

並列詠唱レベル6 風耐性レベル5

水耐性レベル5 土耐性レベル5

栽培レベル10


備考

 植物及び動物、そして魔物と会話可能

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「さらっと備考に凄いこと書いてあるんだけど」


「……種族特性?」


「凄いでしょー?」


 フィオーリが上目遣いで俺を見てくる。やめろ、そんな目で見るな。俺はロリコンじゃない。


 つーか完全に魔法型だな。カルディアとは大違いだ。


「……じゃあ、最後は私ですね」


 魔王軍の外交担当、一体どんなステータスなのか?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アダマース

種族 魔人

レベル221


体力 2250

魔力 3150

筋力 1350

敏捷 1350

物防 3600

魔防 3600


スキル

鑑定レベル7 隠蔽レベル10

土魔法レベル9 空間魔法レベル9

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「……外交官ってこんなに強くなきゃいけないのか?」


「一応自衛のためですよ。無いよりかはマシですから」


 アダマースが淡々と返してくる。何か様子がおかしい。まるで何かを隠しているような……。


「……何か隠してねえか?」


「いいえ」


 しかし、一瞬口元が変に動く。何かありそうだな。





 ああ、そういうことか。


「なあ、アダマース。なんでお前の情報には、備考が書いてないんだ?」


「っ、それは……」


「……隠してるから、でしょ?」


「!?」

 

 いい反応をしてくれるな。かなりクール系な女性だと思ってたんだけど。


「ふっふっふ。さあ、何を隠してるのか、見せて貰おうか!鑑定!」


「や、やめ……」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

備考

虚乳

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「本当に申し訳ございませんでした」


「……うぅ」


 俺は即刻土下座し、アダマースは崩れ落ちる。ちなみに、


「……彼奴、パッド入れてたのか」


「妾も気付かんかったの。言われてみれば不自然じゃが、会った時からずっとあれじゃったからなぁ」


「マースお姉ちゃんのあんな姿初めて見た……」


「……正直、違和感しか感じられなかった」


 暇している奴らは本当に容赦なくアダマースの精神をえぐっていた。


 結果、アダマースが「ひひっ」とか笑い始めた辺りでカルディアがぶん殴って記憶を意識ごと飛ばさせた後、ジョーカーが話を進める。


「……で、だ。これでお互い情報交換をした訳だが、お前たちに一つ頼みがあるんだ」


「……スペディオの捜索とかなら断るぞ?」


 俺が警戒してジョーカーに聞く。


 しかし、その返答は予想の斜め上以上を行った。


「お前達……1週間後に開催される、闘技大会に出てくれないか?」

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