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1話 この大空に

 第2章スタート!

 個人的には、今回の章はネタ成分多めで行こうと思っていますが……まあ、期待はせずにどうぞ。

「……じゃあ、全員揃った事だし、報告会を始めるぞ」


 そう言ったのは、1人の男性だ。一般男性位の身長に、金色の髪を持っている。


「まずは妾からじゃな。やっぱりと言うかなんと言うか、人間の襲撃の頻度が増加してきておるな。面倒くさいから、腕切り落として王都に送り返しているのじゃが……一向に収まる気配が無い」


 そう言ったのは、蒼い髪を膝の裏くらいまで伸ばした紅眼の女性だ。もっとも、人によってはその巨乳の方に目が釘付けになるだろうが……。


「カルディア。死人は出してないな?」


「ああ。全く手当てしないで放置したら死ぬかもしれんが、止血くらいで死亡は回避できる位には止めておいたぞ」


 蒼髪の女性、カルディアは胸を張りながらそう言う。ただでさえ大きいその胸がさらに強調される。


「上出来だ。フィオーリはどうだ?」


「森の皆は心当たりは無いって。不意打ち仕掛けるにしても、わざわざ魔物の多いところを通る馬鹿はいないって言ってた」


 答えたのは、緑髪碧眼の幼女だ。可愛らしいツインテールを揺らしながら、そう答える。金髪の男性はそれに頷く。


「……で、最後にアダマース。お前の報告は毎度毎度厄介で重要性の高いもんばっかだからな。最後に回してやったぞ」


 そう言いながら、金髪の男は最後の1人、アダマースに目を向ける。銀髪でショートヘア、そして碧眼の女性だ。ここだけの話、胸が不自然に膨らんでいる。


「ええ、ジョーカー様。まず、あの裏切り者"スペディオ"の件からですが、先日フレッサ帝国の方で目撃証言がありました」


「あんっの野郎……遂にそっちにまで活動範囲を広げやがったか……」


 金髪の男性、ジョーカーは厄介そうに頭を抱える。しかし、アダマースは続ける。


「そして、村を襲撃したのち、自らを魔王軍の幹部だと名乗り、その場から逃走したようです」


「……チッ、火に油を注ぎやがって。こっちは人族との共存を望んでるってのに……」


「元々人族と魔族は一触即発でしたからね。ちょっとした刺激を与えられれば……」


「ああ。全く、あいつを信用した俺の見る目が無かったばかりに厄介な事になりやがった。この亀裂を埋めるのにどんだけの時間がかかるか……」


 ジョーカーがより一層頭を抱える。だが、アダマースは容赦なくジョーカーのメンタルを抉りに掛かる。


「あ、それともう一つ。マンサーナ王国が、魔王であるジョーカー様を倒す為に異世界から勇者というものを召喚したとか……って、ジョーカー様?聞いてますか?」


「……なあ、俺魔王止めて良いか?このままだと胃がヤバイ」


「魔王止めても命は狙われたままだと思いますよ?」


 ジョーカーが「これ、本当に魔王?」みたいな顔をしながら蹲る。もうジョーカーの精神的なライフは0のようだ。


「ああ、でも一つ。その勇者の1人がひと月ほど前に行方不明になったそうで、まだ本格的には活動していないようですよ」


「……」


「ですから、まだ猶予はあります。頑張って、打開策を探しましょう」


「……ああ、そうだな。よし!この絶望的な状態をどうにかでき……」


 ジョーカーがなけなしの気合を振り絞り、立ち上がる。しかし、その声を遮るが如く叫び声が聞こえてくる。


「ぉぉおおおおおおおお!!待って!落ちる!ぶつかる!死ぬ!ヘェエエルプ!!」


「……死ぬときは一緒」


「死にたくなぁい!死にたくなぁい!」


 その声の出処。ちょうど天井の辺りを見上げる四人。そして……。

 

 ドゴォォオオン!!


「グベラッ!」


「……よっと」


 天井を貫きながら、一組の黒髪の男女が姿を現した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「……遂に、この時が来たな」


「……うん。ようやく……」


 フェニキシアを倒してから三日後。色々準備をして、遂に夢幻列島から降りる日が来た。今は、島の端で雲海の果てを見つめている。


「えーと、食料良し。素材良し。忘れ物した時の為の転移石良し。……大丈夫そうだな」


 たとえこの時を待ち望んでいたとしても、忘れ物には気をつけなければいけない。浮かれて忘れ物をしては元も子も無いのだ。修学旅行に行くときに大事なもの忘れた奴、1人くらいいるだろう?


 ちなみに、さらっと言ったがここにテレポートできる転移石を作った為に何時でもここに戻ってこれる。これで素材が足りなくなっても取りに来れるよ、やったね!

 

 あと、指針の腕輪は洞窟に放置したままだ。と言っても、彼奴らが来た時の為のメッセージも試練を受ける前の奴から変えておいたし、万が一対策無しで来やがった時の為に帰る手段も用意しておいてやった。……飛んだことない奴には辛いだろうけど、彼奴らなら大丈夫だろ。


 何故そんな事をしたかと言えば、この世界を見て回る為だ。降りて早速特定されて見つかったら、流石に自由には行動出来ないからな。取り敢えず観光しながらクラスメイトとは別途で帰る手段を探す方針で行こうと思っている。あの行為は言わば時間稼ぎである。


「……じゃあ、行こ?」


 フィールが部分龍化を発動させ、海斗を急かす。その声を聞き、海斗は言う。


「……ああ、行くか!」


 そして、俺たちは夢幻列島から飛び降りた。






「……はあ。飛んでる感覚は悪くないんだが……いつまでもこの光景を見てるのは飽きるな」


「……確かに」


 現在、俺たちはそんな事を話しながら空を滑空している。まだ下には一面の海しか広がっていないが。


「ところで、これ本当にこっちに陸地あるのか?全然見えてこないんだけど」


「……さあ?」


 いくら飛んでも陸地が見えず、俺たちは少しだけ不安になっていた。


 もしあの地図が間違ってても、ここまで来たら引き返すのは難しい。その場合、海に落ちるしか無くなるわけだけど……。


 そんなことを考えていたその時、俺たちの視界に変化が現れた。


「……!フィール!前方に巨大な陸地が見えてきた!いよいよ到着っぽいぞ」


「……本当に?」


「ああ、本当だ!なんかでっかい城みたいなのも見える!ちょっと上空通ってみようぜ!」


「うん、賛成。面白そう」


 そして、ある程度城に近付いてから速度を緩める。さっきまでは滑空してたと言うことで実は時速100Km以上は出てたのだが、今は大分抑えてある。


「うーん、俺がいた城とは違うな。別の国だな、こりゃ」


「……ハズレ?」


 もしかしたらと思い、近寄ってみたがどうやら俺達を召喚した城とは違うようだ。まあ、上空は通るけど。


 しかし、その城の上空に進入した時、異変が訪れる。何故か、飛行スキルが作動しなくなったのだ。要するに、自由落下開始である。


「……この空域、能力制限が掛かるみたい。襲撃対策バッチリ」


「ちょ、ちょっとフィールさん?なんでそんなに冷静なんです?もしやぶつからない秘策でも……」


 自由落下が止められない今の状態で、僅かな希望を持ってフィールに聞く。が。


「そんな物、あるわけ無い」


 いとも容易く否定されてしまった。要するに絶望である。


「ぉぉおおおおおおおお!!待って!落ちる!ぶつかる!死ぬ!ヘェエエルプ!!」


「……死ぬときは一緒」


「死にたくなぁい!死にたくなぁい!」


 フィールが何故か冷静にそんな事を言ってくるが、死にたく無いものは死にたく無い。


 しかし、その願いも叶わず、俺たちはその城に穴を開けながらダイナミック入場することになったのだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「……で、お前らは何者だ?何故天井をぶち破って来た?」


 金髪の男性が俺を睨みながらそう尋ねてくる。


「何者だって言われてもね……。俺は黒野海斗。普通の人間だ。天井をぶち抜いた理由は……いきなり飛べなくなったからだな」


 俺が丁重に説明しているのに、相手はさらに俺を睨んでくる。


「……普通の人間は飛べはしないし、それに何故ここの上空を飛んでいた?まさかとは思うがここが魔王城だと知らないで飛んでいたなんて事は無いだろ?」


「は?魔王城?ここが」


 俺もフィールもキョトンとした顔で目の前の男性を見つめる。すると、その男性は呆れたように言う。


「……いや、あのな。魔王城なんだぞ?この世界での最強候補の一角、魔王の城だぞ?知らない訳が無いだろ」


「いや……そんな事申されても……。感じられる力だって、せいぜいミラージュ位の力が限度だし」


「失礼します、ジョーカー様。無断侵入とはいえ相手は人です。外交担当の私に任せてください」


 そんな事を話していると、金髪の男性の後ろ側にいた銀髪の女性が突然話に参加してくる。


「いや、だが……」


「任せてください」


「しかし……」


「ま か せ て く だ さ い」


「お、おう。任せた」


 反論する男性を気迫で黙らせる女性。あれが外交担当の話術と言うものか。


「……では、お互いに自己紹介といきましょう。私はアダマース。魔王軍及びここ「ウーバ魔族国」の外交担当を務めております」


 えーと、ここは魔族の国でおまけに魔王城っすか。まあ、これまたカオスなところに落ちてきたというか。


 周りから感じる力的に余裕で制圧は出来そうだけども、面倒くさいから穏便に事を済ませようとする。


「さっきも言ったと思うけど、俺は黒野海斗だ。まあ、普通の人間だ」


「……私はフィール。一応龍人」


 穏便に済ませようとしたのだが、俺の名前を聞いたときにアダマースが反応する。


「……その名前、最近マンサーナ王国で召喚されたと聞く勇者の名前に似ているように思えるのですが」


「し、シリマセンネ」


 いきなり正体を特定されて返事が片言になってしまう。それを見て、アダマースは何故か不思議そうな顔をする。


「流石に誤魔化すのが下手すぎですよ。……しかし、勇者は今本格的には活動していない筈なのですが。流石に魔王城に進軍を始めたりしたら情報は入りますし。一体、どうやってこの城まで辿り着いたのですか?」


「あー?まだ彼奴らまともに活動して無いのか?訓練にしては長すぎるだろ。実戦経験とかさせとかねえと死ねるぞ?」


 アダマースが質問していたがスルーして、こっちが聞きたいことを聞かせてもらう。


「質問に質問を返さないで欲しいのですが、まあいいでしょう。なんでも、勇者が1人行方不明になって、その為慎重に訓練とかをしてるとか。貴方も勇者なのですから、それくらい知っている筈ですよね?」


 はい、すみませんでした。慎重にさせた理由俺っすね。


 俺がそう思いながら頭を抑えると、アダマースはさらに不思議そうな顔をする。


「……まさか、本当に知らなかったんですか?」


「……ああ」


 もう、口を開くごとに話がややこしくなっている気がしてきたが、諦めようと思う。


「……勇者でありながら、勇者の状態を知らず。その上、ここを魔王城と知らないまま空から突っ込んできて、そして無傷。さらに剣などの武器を何一つ持たず丸腰。……一体、貴方何者何ですか?」


「さっきも言ったろ?人間だって。まあ、一つ言うなら行方不明になったって言う勇者ってのが俺の事だな。一応言っとくが、俺らはこの世界の常識なんてものは知らん!魔王を倒せとか言われたけど、詳しいことを知る前に行方不明だったからな!フィールとはその先で出会った!と言うわけでまだ敵対する気はねえからそっちにいる3人は殺気を放たないでくれ!」


 そう言って、アダマースの後ろにいる3人を牽制する。武器とかは構えて無いけど、殺気が出てるんだよ。


「……アダマース。こいつの言ってることは正しいか?」


「……少なくとも、嘘はついてなさそうです。何かを隠してるかも知れませんが」


「……ちょっとお前らはあっち向いててくれるか?話し合いの時間を取りたい」


 ジョーカーがそう言ってきたから、取り敢えず了承する。思いっきり脅しながら。


「別にいいが……後ろからざくっとやったりするなよ?反撃せざるを得ないからな。……手加減できる保証はねえぞ?」


「あ、ああ、解った。じゃあ、あっち向いててくれ」


 そう言われた為、取り敢えず後ろを向くだけ向く。本当に向くだけだ。


 空間魔法のサーチを使って後ろの様子を普通に観察する。ひそひそ声で会話してるけど、普通に聞こえるんだよな。


「お前らは、彼奴らのことどう思うか?」


「……妾は正直信用出来ん。何か重要な事を隠してる……そんな気がするからの」


 確かに、行方不明になって何処に行ってたか言ってないからな。かなり重要なことだと思うから、あながち間違いではない。


「私は信じてもいいと思うよ。あの子たちからは、殺意は感じないから」


 確かに出してはいないな。やられたらやり返すつもりではいるけど。


「私は警戒しておいたほうがいいと思います。……まず、少女の方でさえレベルが140、さらに魔法に関する特殊スキル持ちその上魔力が化け物レベル、魔法に関してはジョーカー様を超えてます。男に至っては……私の鑑定でもステータスが見れませんでした。正直、底が知れません」


 あらら、アダマース鑑定持ちだったか。まあ、ステ見せても問題、隠しても問題になるならどっちでも関係無いか。


「……俺は、信じる派だ。魔王城だって言ってるのに普通に会話するような奴だからな。敵意だって、さっきの軽い脅し以外はねえしな」


 だって敵対する理由無いし。


「私は、ジョーカー様の意見に従います」


「私もだよー」


「妾も同じじゃ」


「……じゃあ、取り敢えず彼奴らを信用する方針で行こうと思う。……それで、今俺たちが置かれている状況に関しても話そうと思う。いいか?」


「構わん」


「どっちでもいいよ」


「代わりに、行方不明になった理由とか、何処にいたのか。それを聞かせてもらうのも悪くないかもしれませんね」


 アダマースが完全に策士だな。まあ、隠さなくても然程……一部問題はあるけど、あれに関しては拒否ればいいか。


「じゃあ、その方針で決定だ」


 話が終わったようなので、フィールと一緒に後ろへ振り向く。


「……少し聞こえてたのか。まあいい。取り敢えず、俺たちはお前らを信じる方針で行くことにした。まあ、それだから少しこっちの置かれている状態に関して知っておいて貰いたいんだが……」


 全部聞こえてたと言いたい気持ちを我慢していると、ジョーカーは今自分達が、どんな状況に置かれているかを話し始めた。


 

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