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19話 反逆の試練の到達者

 此処は帝国だ。


 王国と同じく人族が支配している領土であり、魔族が入る事は許されない。


 人族と魔族は世間一般では敵対関係にあるのだから当然である。


 つまり、何が言いたいかというと……


「どうしてお前らが此処にいるんだよ……!」


 此処に此奴(魔王)が居るのはおかしいという事である。


 威厳は感じられない奴だが、仮にも魔王だ。


 此処にいていい奴ではない。


「そりゃ、前にお前から貰ったアレを使わせて貰ったからだ」


「……なんか有ったか?」


「お前直通の転移石」


「……あ」


 だが、その理由を聞いて俺は後悔した。


 だって、此奴らが此処に居る原因が俺自身だったのだから。


  

 魔族国を出るとき、俺はジョーカーにあるものを渡した。


 それは俺が特別に作った、「俺の半径3メートル以内に転移できる」というアイテム (使い捨て)だ。


 滅多な事じゃ使うなよ、という念押しの元に渡したのだが……此奴らは、それを使いやがってくれたようである。

 

「忘れてたんですね。……まだ一年も経っていないというのに」


「忘れてたんだね。私達への想いはそんなものだったの?」


「悲しいのう。妾達は、そんなに影が薄かったのか?」


「お前らなぁ……まあ、元気そうで何よりだが」


 他の3人……アダマース、フィオーリ、カルディアも元気そうだ。


 それに関しては喜ぶべき事だろう。


「……ねえ、その人たち……誰?」


「……あー、そういや美雪は会ったことねえのか」


 美雪は4人を見て怪訝そうな顔をする。


 此奴は、俺達が魔族国にいた時はまだ合流していなかったので此奴らと面識が無いのだ。


 折角だから、此奴ら自身に自己紹介させるか。


「んー……お前らと面識ない奴もいる事だし、一応自己紹介してやってくれねえか?」


「あー?面倒くせえなぁ……。まあ、いいけどよ」


 ジョーカーはそう面倒臭そうに言いはしたが……なんだかんだで、結局自己紹介はするみたいである。


「俺はジョーカー。ウーバ魔族国の国王……要するに、魔王やってる」


「妾はカルディア。魔王軍の幹部の1人……あ、それと吸血鬼じゃ」


「私はフィオーリ。種族はアルラウネで、同じく幹部だよ」


「私はアダマースと申します。魔王軍の外交担当であり、同時に幹部でもあります。種族は……まあ、普通の魔族です」


 4人は美雪に向けて自己紹介をする。


 こうやって改めて聞くと、相変わらず濃いメンツだなぁと思う。


「あ、えっと、白井 美雪です。海斗くんの幼馴染です」


「ほぉ……ってことは、再会出来たんだな」


「ああ」


 ジョーカー達は、俺が元勇者だということを知っている。


 つまり、俺の幼馴染=勇者だということを察した。


 だがそれでも敵対するつもりはないようだ。


 まあ、一安心である。


「……で、ジョーカー。俺、あのアイテム渡した時お前に「タイミングが悪いと王国に魔王出現、とかになるからそこんところよろしく」って言ったよな?まさかとは思うが、くだらない理由で使ったりはしてないだろうな?」


 と、自己紹介も一通り済んだので俺はジョーカー達に何故転移石を使ったかを問いただす。


 もしかしたら魔族国の危機だったりするかもしれないが……俺は、それはないと予想した。


 だって、此処に最高戦力が揃ってる時点で問題が起きてるとは思えないし。


 ジョーカーやカルディアはともかく、アダマースやフィオーリといったまともなのが最低2人いる以上、そんなことはまずない……と思う。


「まあ、それには深い深い理由があるんだが……その前に一つ聞かせてくれ」


「あ?なんだ」


「……ここ、何処だ?」


「今更ですね……」


 だがジョーカーはそれをいう前に俺に質問をしてくる。

 

 質問に質問で返すのは良くないことだが……確かに言ってなかったし、俺は簡潔に言ってやった。


「帝国首都、帝城の書庫の内部」


「……マジで?」


「マジで。……よかったな、周りに俺たち以外いなくて。いたら戦争物だったぞ?」


「不幸中の幸いといったところでしょうか。……はぁ、胃が痛いです」


 ジョーカー達はそれを聞いて、なんとも言い難い顔をしている。


 此奴だって馬鹿なわけではない。


 だから、自分が此処に居るということがどれだけ不味いかなんていうのはすぐに察したようだ。


「んで、場所は分かっただろ?じゃ、さっさと使った理由を言え」


「ああ、そうだな。……怒らなねえ、よな?」


「場合による」


「はぁー……」


 ジョーカーはため息を吐く。


 ……なんか、どうでもいいことに使った気がしてならなくなってきた。


 いや、まだそうと決まったわけじゃ無いし落ち着こう。


「あれは今から3ヶ月位前のことか……。ある日、俺たちはーー」


「ある日ジョーカー様は、突如城から脱走しました。「探さないでくれ」という置き手紙を残して」


「ほう……?」


「っ、待て!」


 ジョーカーが事の内容を語り出そうとしたその時……アダマースは横から口を挟む。


 そしてそこから聞こえた内容は随分とふざけていた。


 できれば嘘と思いたかったが……ジョーカーの反応からして真実なんだろうな。


 ……まあ、最後まで聞いてみよう。


「私達は大急ぎでジョーカー様の行方を捜索しました。空間魔法なども活用して探し続けた結果……ジョーカー様がいたのは、リヴァイアオーシャン上空だったのです」


「……ちょっと待て。リヴァイアオーシャンの方向って、"アレ"しかねえぞ?」


「ええ、アレですね。コレ(ジョーカー様)は、何を血迷ったのかソレに単独で突入しようとしていました」


「……お前、馬鹿だろ」


「うるせぇ!」


 本人は否定して居るが、この件に関しては完全に此奴が悪い。


 何せ、リヴァイアオーシャンの方向にあるものはたった一つ……夢幻列島のみだからだ。


 確かに此奴は強いものの、其処に単独突入は狂気の沙汰である。


「当然、私達はそれを阻止するべく全速力でそれを追ったのですが、気がついたら後ろからドラゴンに追われており、なすがままに夢幻列島へと押し込まれてしまいました。……ジョーカー様共々」


「……カルディアも居たんだろ?彼奴なら飛べるから応戦できたんじゃ無いのか?」


「両腕に私達がしがみついてたので無理です」


「あーうん。そりゃお疲れ様」


 で、それを阻止しようとした結果、4人揃って夢幻列島送りになっちまったって事か。……反応しづれえ。


「そしてまあ其処からは……島を回って証を集めて、それ以外にも色々とありましたがなんとか"反逆の試練"を突破して、貴方から貰った転移石を使って夢幻列島から脱出した……という感じです」


「……!」


「はぁ!?」


 そして、最後に告げられた衝撃の真実。


 あそこの試練は"自分より格上の相手を技能で倒せ"というものだった。


 此奴らならいけなくはないか?とか思った時もあったが、本当にクリアするのは想定外だ。


「辛かったけど、なんとか追いつけたよ!」


「今度、妾達と手合わせ願えないかの?どこまで強くなったか確かめたいのでな」


 カルディアもフィオーリも、随分と誇らしげに語る。


 だがそれを見ていると若干申し訳なく感じる。


 なぜなら……

 

「あー、悪いんだが……実は暫く前に、二つ目の試練もクリアしちまったんだよなぁ……」


「なん……だと……?」


 此奴らがそちらの試練をクリアする前に、俺たちはアウィスの元で別の試練をクリアしてしまって居たのだから。


 それを聞いたジョーカーは、とても残念そうな顔をする。


「くっ、俺が強くなるその間に、お前も強くなってるんだな……!」


 どうやら、差が縮まったと思って居たのにさほど縮まってなかったことがショックだったようだ。


「まあ、大体事情は分かったが……」


「って事は俺たち許され「ないな。覚悟を決めろ」って、何故に!?」


 まあ、どうして転移石を使ったかは分かった。


 夢幻列島から帰るのにはそれを使うのが1番手っ取り早く確実だったのだろう。


 だが、一つだけ言いたいことがあった。


 それは 、


「……アダマース。お前空間魔法持ってるんだから、テレポートくらいは出来ただろ」


 という事だ。


 テレポートは空間魔法の中でも高位の方に位置する魔法なため、使えるものはほとんどいない。


 具体的には、空間魔法のスキルレベルが9なければいけない。


 ……なお、此奴と初めて会った時の此奴の空間魔法のスキルレベルは9だ。


 要するに、普通に使えるはずなのである。


「……それなんですけど、私達4人とも消耗が激しくてですね。このままだと魔力が回復するまで持ちそうになかったので使わせてもらいました」


「ふーん……割と普通そうに見えるが?」


「見た目だけです。こう見えても、今は4人とも魔力は殆ど残ってません」


「……確かに。感じられる魔力が、前よりすごく少ない」


 だが、それにも一応理由はあったようだ。


 テレポートは距離に応じて必要とする魔力が爆発的に増える。


 俺も使えはするものの、そんなにホイホイと連発はできない。


 魔力補充アイテムが充実しているから誤魔化せているものの……消耗している時に使うのは確かに無理そうだ。


 おまけに夢幻列島の場所は相当に遠いので尚更だ。


 なお、転移石に関しては、素材である時空結晶が高密度の魔力の結晶体なのでそれ単品で使用可能となっている。


「なるほどなぁ……。でもまあ、事の発端はジョーカーだし此奴はど突いていいよな?」


「ええ、どうぞ」


「ちょっ……ぉぉおおおお!!?」


 アダマースからの許可は得たので、俺はハリセンを取り出してジョーカーの頭へと振り下ろす。


 スパーン!といういい音と同時にジョーカーは床へと崩れ落ちた。


 これで、少しは反省してくれるだろう。


「……ところで、貴方達は帝城の書庫なんかで何やってたんですか?」


「ああ、探し物してたんだが……どうだ?折角だし手伝ってくれるとありがたいんだが」


 そんな哀れな魔王を見届けてから、アダマースは俺たちに何をしていたかを聞いてくる。


 そしてその時、俺は閃いた。


 ーー此奴ら巻き込めば、探し物終わるの早くなるんじゃね?


 と。


 


 

魔王一行、夢幻列島攻略達成!


……この章終わったら、その時の様子を番外編として書くかを悩んでます。

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