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3話 極秘依頼

前回切るところミスりましたかね。今回だけじゃギルド内のパート終わりませんでした。

「何のことだ?」


 俺は念の為、ハイドの問いに対してとぼけてみる。その情報が何処から漏れたのかも気にはなる。

 

「この間、あのスタンピードについて全ギルドの支部長を招集して緊急会議が開かれてね。その時、ソール支部長から興味深い話を聞いてね」


 情報源はソール。だが、彼奴は俺の情報の大半を契約で言えなくなっている筈だ。なら何と言ったのだろうか。


「『……今回のスタンピードを殲滅した冒険者には心当たりはある。でも、その子達の事については私には話せない』ってね。何時も明るいソール支部長が彼処まで疲れた表情を見たのは初めてだったよ」


 どうやらソールは、俺達のことを明かした訳では無いものの示唆する発言はしたようである。確かに、その程度なら契約の範囲外だ。


 だが、それだけでは俺と結びつけるのは不可能と言ってもいい。発行者がソールだと言っても、それは決定打にはなり得ない。


「勿論全員で問い質そうとはしたけど、契約書を使ったって分かったら別の手段を講じることになったよ。流石に、万単位を相手取れる冒険者を見過ごす訳にもいかないからね」


「へえ……それで、私達だと特定できる情報はあったんですか?」


 ビアンカも俺の惚けに合わせてハイドに聞く。しかし、その声は何処か「あ、これ無理そうです」と言ってるようにも感じる。

 

 正直、ビアンカの考えには激しく同意した。別の手段を講じたと言った時点で、此奴らがどういう行動に出たのかが大凡検討がついてしまったから。


「ああ、あったよ。ウルブスの村長さんが証言してくれた。『あの時村を守ってくれたのは、黒髪黒目の男女5人に黒髪蒼目の少女1人、そして白髪紅目のメイドが1人だった』ってね。


「……ああ、やっぱりそうしたのな」


 今になって思うと、ウルブスの村長には口止めも何もしていなかった。ならば、情報が流れるのは必然ともいうべきだ。


「まあ、ソール支部長が一応口止めしてたみたいだけど……ギルドマスターを始め、五人以上の支部長を揃えて聴きに行けば流石に答えてくれたよ」


「そこまでやるか?まあ、それならもう誤魔化す必要も無いか」


 俺はそのギルドの徹底ぶりに内心溜息を吐きながらもこれ以上とぼけるのを止める。バレてるなら仕方ないというのと、いい加減誤魔化すの面倒だというのが理由だ。


「……って事は、まさかあんたが数万の魔物を殲滅した謎の英雄……!?」


「なんだよその呼び名。まあ、それで間違っては……いや、俺は対象外だな。俺の倒した数は万までは達してない。達したのはそこの2人だ」


 俺はそれを認めようとしたものの、それを途中で否定する。倒した数が万に達したのはフィールとビアンカの2人だけだ。


「……いや、待て。お前とそこの2人、もしかしてそっちの方が強いのか?」


「いや、それはない。ただの得意分野の問題だ。俺が対個の相手が得意で2人は対多の相手が得意。それだけの話だ。あ、美雪は回復が得意分野だからそこまで戦ってはいないぞ」


 ブラドが俺の台詞を聞いて驚いたように聞いてくるものの、俺はそれも否定する。単純に強い、で言ったらまだ俺の方に軍配が上がる……とは思う。九頭龍化したフィール相手でも、周りを気にせずフルパワーでぶつかれば多分負けはしない。相当接戦にはなる筈だが。


「そ、そうか。……だが、そこまでの力があるならなんで銀ランクで止まってるんだ?」


 それに対してブラドは若干引きながらも、今度は別の質問をしてくる。確かにそれは、普通に冒険者やってる奴なら誰でも思いつくような質問だ。


 普通、目の前に栄誉と富があるならそれに飛び付く。アダマンタイトランク程の冒険者ならば並の貴族程度の地位が与えられる程なのだ。


 なのに何故、それを拒否しているのか。さぞかし気になる事だろう。


 だが、そこに深い意味なんて物はない。


「面倒臭いから止めてんだよ」


「「「え?」」」


 俺が正直に答えを言うと、三人揃ってそれを聞き返す。俺、そこまで突拍子も無い事言ったか?


「いや、面倒だろ。指名依頼とか緊急依頼とか、そういう類のものがあったりするんだろ?別に贅沢三昧する訳でも無えんだから金も地位もそこまでいらないし」


「……当面の生活費も、まだまだ事足りる」


「有名になったところで活動しにくいだけですからねぇ」


「私は冒険者じゃ無いから良く分かってないけどね」


 その答えに三人は唖然とする。栄誉や富よりも、鬱陶しいというのが勝つのかと。その事に驚きを隠しきれていない。


「いや、待って。当面の生活費は有っても、武器や防具の修繕とか色々と金はかかるでしょう?あなたの持ってるような大層なモンなら尚更よ。流石に銀ランクじゃそこまで補えないでしょう?」


「補えるんだよなそれが。俺はこれでも生産系特化なんでな。剣や防具位自分で作れるし直せる。素材も有り余ってるし」


 シルフィアの問いにそう言いながらも、アダマンタイトのインゴット(原石しか無かったが今ファストクリエイトで作った)を片手に取り出す。そしてそれを見て三人が叫ぶ。


「「「空間魔法持ち!?」」」


「……そんなに驚く事?」


 フィールはその3人をまるでおかしなものを見るような目で見つめる。それに対して、まさかのビアンカからの指摘が入る。


「……あの。本来、空間魔法と言うのは数百人に一人しか持ってない希少なスキルなんです。今までカイト様含めて四人ほど居ましたけど、普通はそうそう出会う事は無いんですよ?」


「……そーなのか……」


 晶、アダマース、アウィス、そしてクリスタルで得た俺。今まで短期間で四人も持ってる例を知ってた所為で感覚が大分狂って居たようだ。あれ?て事は……。


 『……なあ、ビアンカ。俺が前に渡した収納の腕輪……アレって、表に出したらどの位の価値が付く?』


 俺がビアンカと出会ったときに渡した収納の腕輪。空間魔法の一つ、アイテムボックスの代用となる魔道具だ。空間魔法持ちがそこまで希少なら、大分やばい代物だったのではなかろうか。


 『……ああいった類のものなら、一番安いものでも魔銀貨1枚……100万ゲルトは下りません。更に内部の時間が止まる物は滅多に存在しませんし、その場合内容量もそこまで多くない筈です。カイト様が作ってくれたこれなら国の宝物庫行きになってもおかしくないと思います』


 『うへぇ。あれ大分初期の方に作った奴なんだけどな』

 

 『そもそも使ってる素材の希少価値が違いますからねえ。時空結晶なんて地上じゃ数十年に一度見つかるかどうかですから』


 『……ああ、そうか。夢幻列島の素材って落ちてるやつも大体が希少品だったな』


 色々と俺がズレている事を指摘される。あと、「なんで今まで指摘しなかったんだ?」と聞いてみたところ、「カイト様達ならなんでもありかなーと思ったりしてました」と言われた。久しぶりにハリセン取り出して叩いておいた。


「うん、まあ、あれだ。これ(空間魔法)に関しては気にするな。運良くスキルクリスタル (の作り方)を見つけて使えるようになっただけだ。そしてその過程は教えるつもりはない」


 俺は視線を三人に戻してそう言い放つ。なお、先程までの会話は念話なので三人には一切聞こえてはいない。


「いや、寧ろそっちの方が重大なんだが……。まあ、どうせ聞いても意味ないか」


「……ええ、そうでしょうね。それにもし力づくで聞き出すって言っても勝てる気が全くしないわ」


「僕としては大分知りたいんだけどねぇ。今まで世に出た事無いんだよ、それ」


「……これもなのか。まあ、言わねえが。っと、要するに素材とかもこうやって持ち歩けるし、武器防具作るのも売るのも然程問題は無い。そこそこ強い魔物の素材が多いから売れば割といい金にはなるしな」


 そして、この話題はすればするほど厄介になっていきそうな気がし始めたので俺は話を戻す。このままのペースで行くと大分長引きそうなのでそろそろ切り上げにかかりたい。


「……そこそこ強い魔物、ねえ。あなたにとってのそこそこって、レベル換算にするとどの位なのかしら?」


 だが、やはり此奴らはそれを許さない。少しでも情報を得ようと、話題を反らすことを止めない。

 

「大体100以上。意見も質問も受け付けないからな?」 


「っっ、わ、分かったわよ……」


 だから手っ取り早く曖昧な答えだけを告げて一瞬威圧を乗せて納得させる。初めからこうすれば良かったか?


 ラントでは勇者四人組がいたのと、ドラゴンの襲来なんてものがあった所為で止む無く話すことになってしまったが、ここにはそんな面倒臭い存在はいない。なら、深く説明する必要すらない。


 とは言っても、それで此奴らが何もせずに引き下がるとは思えはしないが。


「大層な地位もいらないし、余計な名誉もいらない。素材があれば自分で作れるから武器防具代に金は取られないから最低限で済む。そして、素材も今の所有り余ってる。これでも金ランク以上に上げる意味があるのか?デメリットの方が明らかに多いだろ」


「あくまで俺たちにとっては」と付け足しながらも、俺は有無を言わさず三人に告げる。ここまで言ってもまだ諦めないようなら、そろそろ三人全員に威圧を掛けることも考えなければいけなさそうだ。


「……ダメだね。そこまでハッキリ言われると、流石に説得は無理そうだ。この件については諦めるよ」


 だが、ハイドはそこで引き下がったように思えた。最後に「この件は」と言うまでは。要するに、まだ別件があるという事だろう。


「……なんだ?まだ別件があるのか?」


「ああ、ある。……と言っても、この様子だと引き受けてくれるとは到底思えないけどね」


「一応聞かせろ。内容によっては引き受けない事は無いかもしれん」


 俺はそんな思わせぶりな事を言ったハイドに少々強めに聞く。


「……その前に一つ、守って欲しい事がある」


 だが返ってきたのはそんな言葉。というより、そこまでヤバい案件なんだろうか。まあ、幾らヤバくても問題は無いのだろうが。


「それはその内容を聞いてから決める」


「……分かった。それは、この依頼については決して他言をしない事。この依頼は、絶対に情報が漏れたらいけないんだ。それほどまでに重要な依頼だからね」


「そこにいる二人は良いのか?」


「私達もその依頼は受けてるのよ。だから、その辺りの心配は無用よ」


 俺がハイドのセリフを聞いて質問をしてみたが、そのあたりはしっかりしていたようである。追加で疑問が生まれたが。


「それなら、俺たち必要無いんじゃないか?仮にもアダマンタイトランクの冒険者が二人もいるんだ。魔物程度じゃどうこうできるものじゃ無いだろ」


 人間最強クラスが二人いるのに、そこに何故俺まで加えようとするのか。だが、それを聞くとハイドは言う。


「……相手が魔物や人間ならそれは問題無かったさ。だけど、今回はそういう訳にもいかない案件なんだ」


 その表情は暗い。そこには演技などというものは一切感じられず、その言葉が真実を告げている事を証明していた。


「……魔族と殺り合うとか言ったりしねえよな?」


 俺は念の為、一つの可能性を聞いておく。もしもそうなら、それだけは一応正しとく必要があったからだ。


「……無いとは言い切れない。だけど、進んで戦いに行くような真似にはならない。あくまで、目的は護衛だからね」


 だが、それに関しては微妙な線引きの答えを返してくる。魔族と戦いになるかもしれなくて、そして完全に秘匿しなければいけない護衛依頼。一体誰を守るというのだろうか。


「……分からねえな。一体何処の誰を何処まで護衛する依頼なんだ?」


 俺はその答えが予想できなかった。だから、ストレートにハイドを問い質す。


 俺のその質問を受けて、ハイドは一拍おいてからその答えを……辛うじて俺の記憶に残っていた、ある人物の名前を告げた。


「……護衛対象は、『フローレ・マンサーナ』。マンサーナ王国の王女様だよ」


 ……。


「「はあ!?」」

フローレ・マンサーナ。……一応、四章の初めに出したので忘れたなんて人はいません……よね?

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