能力
「ところで和也さん!」
さっきまで空気だったカナがお菓子を食べながら話しかけてきた。
「和也さんの能力って何なの?」
「ああ、そのことで俺も聞いておきたかったことがあるんだ」
和也は指を三本立てると、
「まずひとつ、俺は本当に能力者なのか?」
一本目の指を折った。
「・・・と言うと?」
「何日か前にへんな奴に俺の能力が覚醒した、とか言われたんだけども全く自覚がない。能力者ってなんか覚醒したら変わったりしねえの?」
「自覚のない能力か・・・ほかの二つは後でいいかい?」
「・・・まあいいけど?」
なら少し待ってな。と言い、唯子は白服が上がっていった階段を上がっていった。
少し経つと、
うわっ!お前ノックもなしに入ってくんなよ!
なんだい、見られたくないものでもあったのかい?
そ、それ以前にプライバシーの侵害だろうが!
あとで部屋の掃除に入らせてもらおうか!あと、和也の能力が何か調べてもらうよ!
断る!結構めんどくさいんだよあれ!
少しは働け穀潰し!
・・・二人の言い争いの最中で、何かが壊れるような音や白服の叫び声が聞こえた気がしたが、聞かなかったことにした。
「へいへいやりますよやればいいんでしょう」
腕の関節が変に曲がった白服が二階から降りてきた。
「・・・あの人は怒らせない方がいいな」
チエリとカナは全力で首を縦に振った。
ボキリ、と音を立てて関節を元に戻した白服は、和也を手招きし、唯子の部屋に入るように指示した。
「ここでしかわかんねえからな。あ、部屋のもの勝手に触るなよ。俺が殴られる」
「まじかよ、じゃあとりあえず触ってみるわ」
本気でやめろよ?と真剣な顔で言ってきたので、しぶしぶ触ることは諦めた。
「とりあえずその椅子に座って・・・ちょっと俺の目をじっと見てくれねえかな」
「うわ・・・白服ってホモなのか」
「真剣にしないと鼻にタバコぶっ刺すぞ」
「・・・わかったよ」
和也は白服の目をじっと見た。青色の瞳が和也の目を捉え、何かを見透かされているような感じがした。
「んー・・・・・・ん?」
「どうしたんだ?」
「ん?んんん?」
白服は焦ったように何度も和也の目を見たが、やがてため息をつき、癖なのか頭を掻いた。
「わかんねえ」
「は?」
「お前さん・・・本当に能力者だよな?」
続く
白服はハーフです