表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
33/64

古義の突撃とマネ志望⑦


肯定した伊集院に部内がザワつく。

「ウゲッ!? マジかよ!?」嫌そうな顔をした宮坂を、「ちょっと! 妹ちゃんの前で"ウゲ"はないでしょ!」と風雅が叱咤する。


(え? なに? 有名な人なの!?)


キョロキョロと視線を彷徨わせる古義を見て、小鳥遊がそっと扉に寄る。



「翡翠高校ってね、ウチと同じで去年に男子ソフト部が出来たんだ。で、その設立者がかのちゃんのおにーさん。部員も実力者揃いでねー。新設ながら県大会優勝! で、全国大会でも優勝ってね!」

「つっても、決勝は苦戦してたみてーだけどな」

「ウチは県大会の決勝で翡翠に負けちゃったのよ。中々痺れる試合だったわ……」

「あ、でもボク達も全国行ったんだよ! 県内から二チームいけるから! でも、その全国準優勝のチームと初戦に当たって、負けちゃったんだけどね」

「どっかの誰かさんのくじ運がサイアクなお陰でな」

「しょうがないだろー、オレ昔っから"引き"が良いんだって」



アハハと頭を掻く明崎に「ったく、アイツら以外と当たってりゃ勝てたってのによ」と宮坂が舌打ちする。

どうやら余程根に持っているらしい。

「次は勝てばいいだろう!」と岩動に肩を叩かれ、「ったりめーだ、全部ぶっ倒す」と口を尖らせている。



「で、今のは去年の夏の話しでね。秋以降の大会も翡翠とはよく決勝で当たるんだけど、いっつもあと一歩で負けちゃってて」

「なるほど、因縁の相手ってヤツですか……」

「そんなトコかな」



なるほど事情は飲み込めた。

この伊集院は、ライバル校の頭領の妹というワケだ。



「……目的はなんだ」



沈黙を貫いていた蒼海が、静かに問う。



「アイツに、ウチに行けと言われたのか」



暗に"スパイ"に来たのかというような問いかけに、古義はギョッとする。確かに、常に勝っているとはいえギリギリの試合をするような相手なら、余程の慢心がなければ警戒するに越したことはないだろう。

なので、ちょうど入学となる"妹"を使い、敵地の情報を探る。


(つまりコイツは、"黒"だ!)


合点がいったと古義は伊集院に警戒の眼差しを向けるが、視線を落とした伊集院を探るようにじっと見据える蒼海の眼に、刺々しさはない。古義はそんな蒼海を不思議に思いながらも、伊集院の言葉を待つ。

仮にそうだったとしても、素直に"ハイそうです"とは言わないだろう。



「……そう、お思いになられるのが自然ですわね」



何処か諦めを帯びた響き。呟いた伊集院が、すっと顔を上げ「違いますわ」と否定する。



「私は、兄の"夢"が砕け散る様をこの目で見たいんですの」



一切揺るがない強い瞳には、憎悪に似た暗い熱がチリリと灯っていた。



*****



部の制度としては問題ない筈だが顧問に確認してみないと、と明崎は伊集院を連れて職員室へ向かい、残った部員達で練習が始められた。

準備体操からストレッチ、ステップとこなし、適当にペアを組んだらキャッチボールとなる。



「にしても、あの伊集院に妹がいたとはな」古義の隣で岩動とペアを組む宮坂が、信じられないというように呟く。

その更に隣でボールを投げつつ顔を曇らせたのは、風雅と組む小鳥遊だ。



「かのちゃん、伊集院君のコトあんまり好きじゃないのかな?」

「そうねぇ、あの表情もそうだけど、理由もあんまり穏やかじゃなかったわね」

「んな話しはどーだっていいんだよ。アイツも変人なんじゃないだろうな」

「変人?」



どういうことだ? と高丘の放った球を受け取りながら反復した古義に、「マジやべーから、アイツ」と宮坂。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ