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無能力者の英雄記  作者: 遠山 麟吏
選抜戦編―1
3/16

才能無き天才Ⅲ

絶剣・逆鱗逆撫―炎戒流、第一秘剣・完全模倣―。


続けてグレンの口にした言葉にニーナは敗北を悟る。


「エア・スプリント!!」ニーナの剣技が真似されたのだ。それは、今まで自分が積み重ね、積み上げてきた全てを下された事と等しい。それも、僅か数分で。2回しか使っていない技を。


真空の刃が体を抉る。貫く。掠める。その度に力の差を文字通り痛感する。


「くっー!!」なんとか避けるが全ては不可能。それはグレンの使う刀に理由あった。

ニーナの刃は直線だがグレンの刃はジグザグなのだ。故に、何処に真空の刃が飛んで来るか予測不可能なのである。


ニーナは、自分に飛んで来る最後の刃を見て、思い出した。否、忘れた事など無いのだから、その表現は間違っている。

[絶剣・逆鱗逆撫]又の名を、世界一の刀鍛冶、[秀桜]の生前最後の作品、[不定剣、十二本]が一本―[絶剣・逆鱗逆撫―抜刀全勝]だと。


我が身をもって、理解した。勝てる訳が無いのだ。

(負ける―!!)ニーナは、けれど。


「負けるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

叫びが、プライドが、彼女を掻き立てる。逆鱗逆撫がどうした。その名は確かに自分を挑発してきた、〈くだらない刀〉にはふさわしいだろう。けれど―〈アルテミス〉の、女神の名を冠する自分の剣を。[狩猟、純潔]―この二つの意味に相応しい戦いをしなければならない。

[第一秘剣!!エア・スプリント!!]何回も、何回も、何回も、何回も―。目の前の留年生を下す為に薙ぐ。

「その剣技―見切った。俺の勝ちだ。怒りに任せるようになったら、君の負けだ」一旦グレンは言葉をきる。そして自分を襲う真空の刃を刀で弾き、一気に間合いを詰める。そして刀を仕舞い―

「炎戒流格闘術―壱の型、二つ火!!」


ダァン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


力強く何かを叩く音。それは、グレンの両手が、ニーナの心臓を全力で潰しにいった音。

「カハッ!!」と乾いた音を立て、吐血し、ニーナは。


ニーナ・ヴァレンタインは。完全に敗北したのだった。


「勝者、グレン!!」東堂雅音の声が響く。これがグレンにとって人生初めての勝利だった。


**


その後、学園内の医療施設で二人は治療を受けた。グレンは軽い怪我であり、試合中に自分でも治療していたので、すぐに終わった。それから一応ニーナの元を訪れる。


「何しに来たのよ」グレンの方を向かず、窓から見える外の景色を眺めている。その表情は伺えないがきっと合わせる顔が無いのだろう。だからグレンは要件だけを伝えに来た。

「理事長には別室を用意して貰うから」とだけ言って、帰ろうとするが、彼を引き止める声がする。

「待って!私は、アナタと同じ部屋で良い、、、から」


「はぁ!?だって、じゃぁ―」

「何でも良いの!!ルームメイトになりなさいよ!!」すっかり気圧されたグレンは、咄嗟に「はい!!」と、承諾していた。してしまったのだった。


**


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