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忌み子の世界救世記  作者: 紅月ぐりん
修行編
96/229

86.5話

 へえ、彼等は二年間で相当のレベルアップを果たしたようだね。あのサーベルグが終始押され気味だったじゃないか。彼等もまだ全ての力を見せた訳じゃないだろうしね。それにコーデリックも参戦していない。これは大きいね。彼は恐らくあの場の誰よりも強くなっていた。4人を同時に相手して善戦したサーベルグよりもね。


 まあ、当然だよね。何せ四聖獣全員を『トモダチ』にしちゃったんだから。四聖獣1匹につき最低でも二年前のコーデリックと同等以上の力は持っている訳だから×4+自身の力で単純計算で5倍以上は強くなってるんじゃないかな。

……流石にそれは言い過ぎか。四聖獣全員を同時に呼び出す程のちからは今の彼にはないだろうから。


 これは女神信仰者の部隊がどれだけテクノロジーを発展させていようとかなり有利に戦いを進められるんじゃないかな。

……そう、恐らく戦闘はどうあっても避けられない。二年ぶりに救世の天子が再始動し始めた事を知れば彼等は必ずクロ君を殺しに部隊を差し向けるだろうね。本気で自分を殺しに来る相手にいつもの魅了は通用しないって事はクロ君も分かっている筈。


……ふふ、でもクロ君なら相手を無効化させた後で心を通わせようとするのかもしれないね。

 そういう所が堪らなく魅力的だね。とても愛くるしいよ。2年たってその美貌に更に磨きがかかったようだからね。

 そうそう、可愛くなったといえばジュレス君だよ。驚いたね。いやいや、中々どうして美人に成長したじゃないか。クロ君達は驚いたかも知れないね。彼の変貌ぶりに。


 でも実はあれがむしろ彼の元々の性格なんだよ。彼は忌み子だったから二年前の戦争によって両親を亡くしてスラムに放り込まれてしまったからね。1人だけで生きていくには、弱みを人に見せる訳にはいかなかったんだ。強がって、強がって、気を張って生きてきたのさ。


 魔族信仰者達に出会って教団に入ってもそれは変わらなかった。でも、クロ君達に出会って少しずつ変わっていった。エスクエスの出会いで救われたのはクロ君だけじゃない。ジュレス君もだったという事だね。本当に頼れる仲間が出来て素の自分を出せるようになっていったんだ。素の彼は実は照れ屋で恥ずかしがり屋さんなんだね。

 ユータ君が血迷うのもわかる気がするよ。


……ユータ君は2年経って完全にコーデリックの手に落ちたね。可哀想に。健全な性欲を持つ子ならどうやっても彼の魅了には抗えないよ。ずっと女性体だけを相手にしてたなら死ねよクズくらいは思ったかもしんないけど。途中から男性体オンリーになってしまったからね……


 まあ、見た目は極上だし、具合の方も凄かったみたいだからね。ある晩の時なんか特に……いや、忘れよう。深入りすると僕までその道に引き摺り込まれそうだ。その気になっても相手がいないからどうしようもないし、性欲なんてあっても苦しいだけだ僕には。

 まあ、体験が出来ないだけでエッチな物を覗こうと思えばいくらでも覗けるんだけどね。興味がないからどうでもいいね。


 そんな物よりもクロ君達の頑張りを、その生きざまを覗かせて貰った方がずっと楽しいからね。もう僕はすっかりクロ君のファンだよ。彼には頑張って欲しいね。この腐った世の中を少しでもよくする為に……



 こうやって僕は地上の様子を自在に観察出来る訳だけど、もし仮にそんな僕の姿を知覚できて観察してる存在がもしあるとするならそれはこう思っているだろうね。

 地上の様子を自在に観察しクロ達の過去にも詳しいこいつは一体何者なんだろうか? って。


 ふふ、とりあえず魔神ではない、と言っておこうか。彼は彼でクロ君の精神世界から触れ合う人々の記憶を覗いたり魂と語り合ったりしていたようだけどね。彼と僕とは全く違う存在だよ。……ある意味では似ているのかもしれないけどね。





 さて、僕はまたクロ君達の観察に戻ろうかな。何せ、他にやる事がないものでね。

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