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忌み子の世界救世記  作者: 紅月ぐりん
ハーレム編
116/229

105話

「酒池肉林を実際にやる……? どういう事だ」

ユータの疑問を受け、コーデリックは自分とユータを指差し、告げた。

「ボクと、キミと、片目でエッチするのさ」


「え?」

クロが、

「え?」

ジュレスが

「え?」

ユータが、


 何を言ってるんだコイツという顔をする。

「あ、皆信じてないね? その顔は」

「信じるも何も……なんでそれで片目を救う事になるんだよ」

 とユータが言うとコーデリックは腕を組んで説明し始めた。

「皆が知っての通りボクは淫魔だ。淫魔の能力は人から性のエネルギーを搾り取りそれを自らの力に変える。その逆をするのさ」

「逆?」

「つまり自分達の性エネルギーを力に変えて片目の体へと送り込むのさ。そうすれば片目の身体に栄養が与えられる事になる」


「なるほど。だがそんな事が本当に出来るものなのか?」

 ユータの質問にコーデリックが困ったような顔をする。

「そこなんだよね~問題は。淫魔の身体は他者から性を搾り取るようにしか出来ていないんだ。だから自分の性をエネルギーに変えて送るなんて事はできない。…………だからキミの出番なのさユータ君」

 ビシッとユータを指指すコーデリック。

「キミの性エネルギーを取り出して片目の身体へと送り込む。これだったら出来る。本来自分が取り込むエネルギーを別の所に送り込むだけだからね」

「むう……」

「そういう事さ。可愛いジュレスとクロにそんな事をさせるのはキミとて本意ではないだろう? キミしかできる人は居ないんだよ」

 コーデリックの言葉を受けてユータは黙り込む。理屈は分かった。だがしかし簡単にハイと言える事ではない。



 ちら、とジュレスの方を見て目が合う。ジュレスは沈黙に耐えかねて言う。

「……俺の事は気にするなって。片目の命がかかってるんだ。ここで文句を言う程子供じゃねえよ」

「むぅ……」

 またしても唸る。そうは言ってもユータとジュレスは付き合い始めたばかり。ただでさえハーレムだ何だと色々面倒な事になっているのに更に問題を抱え込んでしまうのはジュレスがあまりにも不憫だ。だがしかし他に片目を救う方法もない。

 悩むユータにクロが見かねて意見を言う。

「ユータお兄さんが迷うのも分かるけど、今回ばかりは他に方法がないんだ。仕方ないよ。ほら、あれだよ。人工呼吸をキスとカウントしないのと同じで人命救助だからさ、これは」

「………………」

 そうは言ってもキスと本番とではあまりに規模が違いすぎる。



「あ~ もうまどろっこしいなあ! ボク達は今片目を失う訳にはいかないんだ。勝てる戦にも勝てなくなってしまう。さっさと覚悟を決めてするんだよ!」

 そう言ってコーデリックは服を脱ぎ出し始める。

「お、おい……」

「あ、じゃあボク達は外に出てるね」

 そう言ってクロ達は気を効かせて外に出ていってしまった。

「ああ、ジュレス……」

 ジュレスの姿が見えなくなって落胆の声を上げるユータ。コーデリックはイラついたように言う。

「もう、何が不満なのさ。ジュレスはいいって言ってるんだし片目は美人でグラマーだ。何が不満なのさ。……あ、もしかして遂に女の子相手じゃ立たなくなった?」

「いや、そんな事はないし片目は美人だとは思うが、今はこんな状態だろう。欲情しろというのは厳しいだろ」

 ユータはそう言ってベッドで眠る片目を見る。


 栄養失調で倒れた事もあって今の片目の身体はやせ細り頬もこけ、美しいというより痛々しいという表現がぴったりの状態であった。

「ああ、それは確かに……じゃあちょっと目を閉じて」

 そう言ってコーデリックは目を瞑ったユータの瞼にチュっとキスをした。ユータが目を開けると、何と片目が元通りの姿に戻っていた。

「元の姿に戻った!?」

「キミの視神経に魔法をかけて普通の姿に見えるようにしたんだ。これならバッチリだろ?」

「いやでも、しかしな……」

 尚も言い募るユータにコーデリックはイラッときて無理矢理ユータの服を脱がしてしまう。そして寝ている片目の服も剥いでしまった。

「ええい! つべこべ言わずさっさとやれ!! 後のフォローはいくらでもするから!」

 そう言って全裸に剥かれてしまったユータは、覚悟を決めて寝ている片目を見た。


(確かに言動と性格は残念そのものだが見てくれはいいんだよな……)

 改めて片目を見ると、やや勝気そうなではあるが充分以上に整った顔に均整の取れた引き締まったいい身体をしているのだ。その大きい形のいい胸も、薄紫の唇も、ポッテリとした尻も、男の劣情を催させるには充分な魅力があった。

 ごくり、と唾を飲み込む。

 ユータの男のシンボルがゆっくりと立ち上がりつつあった。ユータは預かり知らぬ事だが先程瞼にキスをした時にコーデリックはユータに媚薬を盛るのと同じ効果の魔法もかけていたのだ。

 そして片目の身体にも同様の魔法をかけてある。

「さあ、片目の方も準備は既に出来てるから、いつでもどうぞ」

 そう言って片目の秘所を割り広げるように見せた。コーデリックの指には湿り気が帯びており、片目の身体が既に受け入れ体勢万全な事を示していた。

 ユータは覚悟を決め、腰を深く落とした。



「ジュレス……大丈夫?」

 部屋の外で待機していたクロは傍らのジュレスに声をかけた。状況が状況だから仕方ないとはいえ、付き合い始めたばかりの恋人が別の者を抱くという事実は辛いだろう。そう思ってクロは声をかけた。だが、ジュレスから帰ってきた答えはクロの想像を絶するものだった。


「クロ、俺……おかしいのかもしれない」

「え?」

「普通こういう時って悔しがったりするものなんだろうけど、俺……そういう感情が全然湧いてこないんだ。それどころか……」



「どうだい? 片目の中の感想は?」

 などと艶っぽく言うコーデリックだったが、ユータにそれに応える余裕は無かった。

 そんなユータを見ながら微笑むと、コーデリックは己の猛りきったモノを反り返らせながら、ユータの後ろに回り込んだ。

「おい、コーデリック……? 何を……」

 嫌な予感がしてユータは思わずコーデリックに声をかける。するとコーデリックはにやあ、と悪魔の笑いを浮かべて囁いた。

「実はねえ。黙っていたけど、キミの性エネルギーを片目に移すには一つ条件があってさ」

「条件、だと……?」

「ボクの身体もキミと繋がっていなくちゃいけないんだ。物理的にね」

 この体制で、物理的に身体が繋がるという事はまさかーー



「サ ン ド イ ッ チ ♡」

「」



「ユータ兄が俺に申し訳なさそうに他の奴と繋がってる所を想像すると……たまらなく興奮するんだ……」

「………………」

 わずかに顔を赤らめながらそう言い放つジュレスに、クロはかける言葉を失った。




 そしてその後ユータの絶叫が轟き、直後すすり泣く声が聞こえてきたのだった。

ユータ君…(合掌  何度目だよ(ーωー)

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