理解しがたい作者の真似事
君は泣くかも知れないが僕は明日の二時までにパンを仕上げなきゃならないんだ。
たがらどうか分かってくれ。
明後日死ぬインコの葬儀には出れないし、明日死ぬ君の葬儀にも参列は出来ないんだ。
だけどだからと言ってインコを今日殺してはならないし、インコを今日殺す必要も意味も無いだろ?
そうで無くても今日僕はパンを焼かなきゃならないし、パンを焼けば君はきっとそのパンを要らないと言うだろう。 でもやっぱりパンは焼かなきゃならない物で、焼かなきゃパンはパンでは無いし、小麦と卵白が無駄になってしまう。
僕はそこまで薄情な人間にはなれないし。どうしてもパンを作らなくてはその意義をその理想もほっとく事が出来ないんだ。
だから例え君が今日死ぬとなれば僕は君の元に駆けつけたいが駆けつける為には僕は急いでパンを作るが、君はやっぱりパンは要らないというのだから僕にはその意図が理解できないのだ。
だから君は泣くかも知れないが泣くなら泣くで仕方がない。
僕は泣きながらパンを作るし。
君は泣きながら明日の準備をするのだろう。
なら僕はパンを尚更作ろうと思うんだ。
彼女はだけど予想に反して笑った。
笑った後に泣いた。
泣いて笑うという意味が理解出来なかったが、彼女は笑った。
僕はパンを作った。
彼女は泣いた。
だからこそ僕はパンを作り、急いで彼女の元へと急いだ。
だけど彼女はやはりパンは要らないと泣いた。
インコは明日死ぬだろう。
君は今日死ぬのだろう。
だけど僕はパンを作らなくてはならないのだ
―完―
この作品の元となる作者は何を思ってこんな作品を書いたのか分からないが、こういう小説であった。
パンとインコを変えて後は原文のまま乗せてみた。
賛否両論があってこの作品は小説と呼ぶにはあまりにもおかしな物語だと言われたが、彼女はそれを甘んじて受け止めた。
そういう作品を書いたつもりだと彼女は言ったのだが、その意味すら僕には理解できなかった。
分かる人には分かるのだろうが僕には理解できなかった。