四、優しい兄 「風邪」「鮭」「学校」
「ハックション!」
学校を出たとたん、私は大きなくしゃみをした。見上げた空は冬模様。チラチラと粉雪が舞っていた。
私は足取りを速めて、家へと急ぐ。もうすぐ高校入試なのに、風邪なんてひいてられない!
「おかえりー」
家に帰ると大学生の兄がいた。学校はもう冬休み。家でゴロゴロしてるばかりだから、たまに鬱陶しく思う。
「ハックション!」
兄の目の前で、また、大きなくしゃみをした。
「あっ、お前風邪ひいたんじゃねぇか?」
そう言いながら、兄は台所へ行く。
「来いよ。今から兄ちゃんがいいもん食わしてやる」
「いいもん?……」
私は胡散臭く思いながらも、風邪でだるくて言い返すのも面倒。素直に兄について行く。
「ジャーン! どうぞ!」
私の目の前には、ドンブリに入った鮭茶漬けが置かれた。鮭フレークがたっぷりのったお茶漬けは、兄の大好物だ。
「これで風邪治るぞ」
「……? 鮭茶漬けで風邪が治るなんて聞いたことないよ」
「治るって。これ、兄ちゃんの愛情たっぷり茶漬けだから」
私は軽くため息をつきながら、兄の鮭茶漬けを食べてみる。割と美味しい。一緒にのったたくわんのお漬け物も良い感じ。
「兄ちゃんも鮭茶漬けで風邪治った」
私は温かいお茶漬けをサラサラと食べる。結構優しいとこもあるじゃん。
「風邪って人にうつすと治るとも言うよな」
私はドンブリを置いて、パジャマ姿の兄を見る。兄は屈託のない顔をして、笑ってた。
「……」
兄の風邪は完全に治ったみたいだ。
ジャスト六百文字です!(^^)
ちょっとだらしのない兄としっかり者の妹という感じです。風邪は治りかけたときに、人にうつすようですね。要注意です。




