第8話:【国家案件】崩落まであと72時間!? 王都の巨大吊り橋を救え!
切ないやり取りを経て、ゼノはより一層「仕事」に没頭します。そんな彼の元に、ついに一通の豪華な羊皮紙が届きました。差出人は**「王立建築局」**。
内容は、数百年崩れなかったとされる王都のシンボル「守護神の巨大吊り橋」に深刻な亀裂が見つかり、国中の魔導士や建築家が匙を投げたという、国家存亡の危機でした。
「おいおい、この図面を見てみろ。支柱の基礎が完全に浮いてやがる。これで『数百年持った』ってのは、ただの幸運か、魔法の過剰摂取だな」
ゼノは王都へと乗り込み、巨大な吊り橋の袂でMEtubeを起動しました。 今回の配信タイトルは、『【緊急ライブ】タイムリミットは3日! 王都最大の橋をジャッキアップして基礎から作り直す』。
@diy_daisuki:「うおおお! ついに国を救うレベルの現場が来た!」 @structure_pro(構造設計士):「監督、その亀裂の入り方はヤバい。剪断破壊寸前だ。すぐに通行止めにしろ!」
「言われなくても止めてる。……だが、王族の連中は『伝統ある橋を止めるな』と喚きやがる。……おい、サチ……じゃなかった、@sachi_papa_love。見てるか。こういう時、頑固な発注者を黙らせるにはどうすればいい?」
@sachi_papa_love:「……。パパなら、言葉じゃなくて『数字』と『証拠』で見せろって言うはずです。……監督さん、頑張って!」
サチの言葉に、ゼノの唇がわずかに震えました。
「……ああ、分かってる。数字と証拠だな。……おい、魔導士ギルド! 前に見せた『非破壊検査(透過魔法)』の出番だ! 柱の内部を全部可視化して、広場に投影しろ!」
施工:異世界版「ジャッキアップ作戦」
ゼノはMEtubeで**『【驚異】ビルを丸ごと持ち上げる!? 日本の最新土木技術』**を視聴しながら、異世界の魔導士たちに無茶振りを開始しました。
1.土台固定: 地属性の魔導士を橋の四方に配置し、一時的に地盤を魔法で固める。
2.ジャッキアップ: 投げ銭ポイントで大量交換した「超大型油圧ジャッキ」を橋の下にねじ込む。
3.基礎改修: 橋を数センチだけ持ち上げた隙間に、現代の「高強度コンクリート」もどき(魔物の灰と火山礫の混合物)を流し込む。
「いいか! 1ミリのズレが命取りだ! 全班、同時にレバーを引け! せーの、……ご安全に!!」
魔法と現代技術の融合。巨大な石造りの橋が、5歳児の号令一つで「浮き上がる」光景に、王都の住民たちは腰を抜かしました。
現場の裏側で
作業が佳境に入った深夜。仮眠を取ろうとしたゼノの視界に、サチからの個人チャットが届きます。
@sachi_papa_love:「監督さん、無理しないで。……父も、大きな工事の時はいつも目を血走らせて帰ってきてた。……生きててくれたら、監督さんみたいにバリバリ働いてたのかな。……私、監督さんの正体が誰であっても、あなたの作る『安全』が大好きです」
ゼノは、冷え切った手を口元に当てました。
(サチ、お前はもう、気づいてるんだな。……パパは情けねえ姿で死んじまったけど、こうしてお前の前で、もう一度だけ誇らしい背中を見せられてる。……それだけで、この二度目の人生には価値がある)
返信はしません。ただ、画面越しに「ヨシ!」と小さく指差し確認をして、彼は再び戦場(現場)へと向かいました。
72時間後。 朝日が昇る中、改修を終えた巨大橋は、以前よりも力強く王都の両岸を繋いでいました。
「補強工事、完了! 荷重試験、異常なし! ……この橋はあと300年は落ちねえぞ!」
ゼノの声に合わせ、現場で働いた数百人の魔導士や職人たちが、一斉に拳を突き上げました。 「「「ご安全に!!」」」
その光景は、異世界中に伝わり伝説となりました。




