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第5話:【大型案件】街のメインストリートを「完全舗装」せよ!

街の大工ギルドを「弟子」にしたゼノでしたが、現場を見た瞬間に彼の「鬼監督」としての本能が爆発しました。


「……なんだ、この現場メインストリートのザマは。石畳はガタガタ、排水溝は詰まってボウフラが湧いてやがる。これじゃあ馬車の車軸も折れるし、雨が降れば泥沼だぞ」


ゼノは街の目抜き通りに立ち、腰に手を当てて言い放ちました。彼の周りには、ツナギ(っぽい特注の作業着)を着た、体格のいいプロの職人たちが直立不動で並んでいます。


「監督……ですが、これでも王都の基準に合わせて作ったのですが……」 「基準が甘いんだよ! 指差し確認してみろ。そこ、不等沈下ふとうちんか起こしてんだろ!」


ゼノはMEtubeで、日本の道路工事のタイムラプス動画**『【神速】たった一晩で交差点を劇的修繕!』**を職人たちに見せました(彼らには空中に浮かぶ光の板に見えています)。


@diy_daisuki:「ついに公共工事か! 胸アツだな」 @doro_mania:「監督、路盤ろばんを固めるなら、この世界にある『重量級の魔物』を重機代わりに使えませんか?」


「……重機、か。いいアイデアだ。おい、そこの冒険者ギルド! 暇してるなら、その土属性の地竜アースドラゴンを連れてこい。踏み固め(転圧)に使う!」

工事開始:異世界版「ロードローラー」


前代未聞の工事が始まりました。 MEtubeで学んだ「路盤の多重構造」を再現するため、ゼノは綿密な指示を出します。


1.掘削くっさく: 冒険者たちが魔法で古い石畳を一気に剥がす。


2. 路盤形成: 砕いた石を敷き詰め、その上から地竜がゆっくりと歩いて地面をガチガチに固める。


3. 排水対策: 現代の「側溝」の概念を導入し、絶妙な『水勾配みずこうばい』をつける。


「おい、そこ! 勾配が0.5度足りねえ! 水が溜まったら冬に凍って事故の元になるぞ! やり直しだ!」 「ひ、ひぃぃっ! 監督、すみません!」


@sachi_papa_love:「監督さん、厳しい……。でも、完成した後の安全を一番に考えてるんですね。……なんだか、見てると安心します」


ゼノはそのコメントを視界の端で見つけ、一瞬だけ表情を緩めましたが、すぐに元の鬼監督に戻りました。

奇跡の「シン・メインストリート」


数日後。 街の人々は、完成した道を見て目を剥きました。 以前のようなガタガタの道ではありません。水準器で測ったように平らで、雨が降っても水は一瞬で側溝へ流れ、泥一つ跳ねない「究極の道」がそこにはありました。


「馬車が……揺れない! 滑るように進むぞ!」 「夜でも段差で躓かない。なんて歩きやすいんだ……」


大工ギルドの職人たちは、疲れ果てながらも、かつてない達成感に包まれていました。


「監督……俺たち、今まで何を作ってたんでしょう。これが、本当の『仕事』なんですね……」


ゼノはWD-40でメンテナンスしたばかりの自分の小さな小手を、彼らの大きな手と合わせました。


「ああ。これが『インフラ』だ。誰にも気づかれないほど当たり前に安全であること。それが現場の誇りだぞ」


@nandemo_miru:「5歳児が大人を泣かせてる……」 @kensetsu_ojisan:「投げ銭で『高精度水準器』送ったわ! 次の現場で使え!」


《チャリーン! 2000ポイント獲得しました》

配信の裏側で


その夜、ゼノはこっそり管理画面のプライベートメッセージを開きました。 そこには、@sachi_papa_loveからのメッセージが届いていました。


『監督さん。今日、私の住んでいる街でも工事がありました。作業員さんたちが、あなたと同じように「ご安全に!」って言い合っていて……少しだけ、お父さんに会えたような気がしました。ありがとうございます』


ゼノは小さな、まだ幼児の柔らかい指で、震えながら返信を打ち込みました。


『……いい現場だったな。明日も、そちらもご安全に』


(バレちゃいけねえ。……けど、繋がってるんだな、俺たちは)


ゼノはそっと目を閉じ、明日からの「もっと大きな現場」に向けて、深い眠りにつきました。

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