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第1話:初めての「配信ボタン」
覚醒してから数日。ゼノ(中身は佐藤)は、孤児院の惨状に耐えかねていた。 道具はない。金もない。あるのはMEtubeという「動画を見るだけ」の窓。
(知恵はある。だが、実行するための資材が足りねえ……)
中庭で錆びついた井戸を眺めながら、ゼノは画面を弄っていた。 ふと、おすすめに出てきた**『【ゴミ屋敷】5歳児が1人でリフォームしてみた結果www』**というタイトルの動画が目に入る。
(……5歳児がリフォーム? 嘘をつけ、仕込みだろ。……ん? 待てよ。「やってみた」動画がこれだけ支持されてるってことは……)
ゼノは自分のギフトにある、まだ一度も触れていないアイコンを見つめた。 【配信開始(Go Live)】
(俺がこの「クソ現場」を立て直す様を、現代の奴らに見せてやる。あいつらの知恵と、あわよくば『投げ銭(資材)』を巻き上げてやるんだ)
ゴクリ、と唾を飲み込み、ゼノは5歳の小さな指で、そのボタンを「指差し確認」して押し込んだ。
「よし。……撮影、開始だ!」
《LIVE:【異世界】5歳児の現場監督が、ブラック孤児院を劇的改善してみた》
これが、異世界の5歳児が、現代の視聴者という「最強の外部顧問」を手に入れた瞬間だった。




