表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/12

第10話:【緊急】配信切り忘れ!? 隠しきれなかった「父親の顔」

王都の巨大プロジェクトを終えた夜。ゼノは一人、宿舎の部屋で感傷に浸っていました。疲れと安堵からか、彼は致命的なミスを犯します。「配信終了」のボタンを押し忘れたまま、ひとり言を漏らしてしまったのです。


「……ふぅ。サチのやつ、あんなに立派なこと言いやがって。……母さんに似て、泣き虫のくせに芯だけは強いんだからな、あいつは」


ゼノは、投げ銭ポイントで交換した「お徳用ピーナッツ」を口に放り込み、遠い空を見つめて呟きました。


「……母さんも、元気にしてるかな。俺がいなくなって、家の勝手口の立て付け、また悪くなってねえかな。あそこ、俺が直してやんなきゃダメなのに……」


その瞬間、コメント欄が猛烈な勢いで流れ始めました。


@sachi_papa_love:「……え?」 @sachi_papa_love:「勝手口の立て付け……? それを知ってるのは、世界でパパとママだけだよ」 @sachi_papa_love:「ねえ、監督さん。……ううん、パパ。パパなんでしょ!? 隠さないで! ずっと変だと思ってた。指の癖も、コーヒーの飲み方も、仕事の時の怒鳴り声も……全部、全部パパだよ!!」


ゼノは凍りつきました。画面を見れば、「LIVE」の赤い文字が非情に点滅しています。


「あ……いや……これは、その……設定だよ! 没入感を高めるための……」


@sachi_papa_love:「嘘つかないで! 今、お母さんも横にいるよ! お母さん、画面見て泣き崩れてるよ! パパ、返事して!!」


もはや言い逃れは不可能でした。ゼノは観念し、5歳児の体で深々と頭を下げました。


「……あー、その。サチ。……それから、母さん。……すまん。心配かけた」


@sachi_mama(新アカウント):「……お父さん? 本当に、お父さんなのね? その、5歳児みたいな格好で……何してるのよ、あなたはいつもいつも!」


妻のコメントは、怒っているようでいて、文字の間から涙が溢れ出しているのが分かりました。


「何って……見ての通りだ。現場監督の仕事だよ。こっちの世界は安全管理がガバガバでな。放っておけなかったんだ」


@sachi_mama:「相変わらずね……。死んでまで現場監督なんて。……でも、よかった。生きててくれて。……サチも、あなたがいない間、ずっとあなたのヘルメットを抱えて寝てたのよ」


ゼノの瞳から、ボロボロと大粒の涙がこぼれ落ちました。5歳児の小さな体は、溢れ出す感情を抑えきれません。


「……ごめんな。寂しい思いさせた。……でも見てろ。俺はこっちで、恥ずかしくねえ仕事を完遂してみせる。お前らに、胸張って『これが俺の現場だ』って言えるように。……だから、見守っててくれ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ