9/11
信用できる女の最期
「君の事は、信用できる」
それが、夫の口癖だった。
だけど、とんだバカ者よね。
なぜなら私は、彼にとって最も信用してはいけない人間なんだもの。
どうしてかというと、彼のお金目当てで結婚し、まぁ良い頃合なんで、そろそろ殺して財産をガッポリ頂こうとしているんですからね、これまでのように。
そう思って粛々と計画を実行に移したんだけど、最後の最後になって逆に私が夫に殺される羽目に……。それも、たっぷりの保険金を掛けられて。
「あなた、私を信用してるって言ったじゃない!」
断末魔の中で、私は問うた。
普通に考えれば自業自得と言う話だけれど、もう死ぬんだからそんな事かまうもんですか。
「あぁ、信用していたよ。だって君の言う事は、みな嘘だってわかっていたからね。それと逆の意味で取れば、すべて真実という話になる」
夫のあざ笑うような顔を見ながら、私の意識は薄らいでいく。
そうか。そういう意味では、私は正直者ったんだ。それじゃぁ、天国に行けるかな……・
そんな虫のいい事を考え始めた私の足に、これまで私の金づるになり死んでいった連中の、幾つもの指が絡みついた。
【終わり】




