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■ 知らぬが仏
政府は少しずつだが、人類総VR計画を進めていった。増えすぎた人口を制御する為である。本人に気づかれぬよう、就寝中等を狙いVRの世界へ送り込むのだ。
「いや、実際うまくいっていて良かった。偽の世界で生きている庶民どもは、知らぬが仏という所だな」
政府の担当者は胸をなでおろし、満足げに呟いた。なぜなら、当初は「絶対にバレるに決まっている」という意見が大半を占めていたからだった。
だが実際の所、殆どの人々は自分が仮想現実の世界へ”誘拐”された事に気がついていた。でも皆それを口にしない。
何故かって? 無能な政府の元で暮らす辛い現実より、偽りであっても幸福な非現実の方がいいに決まっているからだ。
政治家や官僚というものは、いつも現実を知らぬ生き物である。




