予言詩の仕組み
これらの詩を読む人々
かれらに充分成長した心で考えさせたまえ
神聖をけがすことなからしめたまえ
そして無知な人々を研究にひきよせ
すべての占星術者、おろかもの、異邦の人々を
近くにひきよせたまえ
さもないと、その行為は
神聖なるもののおきてにしたがって災いをくだされよう
おろかな批評家にささげる詩
さて、これは諸世紀の第七章冒頭に挿入されている詩だ。
一部は占星術者らに向けたもので、残りは異邦人に向けられたもの。センセーショナルな宣伝をさせて異邦人が興味を持つようにしろ、ということのようだ。同胞にはわからず異邦人なら理解できる仕掛けが施されていると仮定するなら、それは翻訳を重ねることでニュアンスが変化して真実が露わになる、ということではなかろうか。
日本人に向けて投げかけられた予言詩の場合、日本人向けの仕掛けが組み込まれているはず。難解な占星術的な表現は省かれ、より単純になっているはず。年数表現は単純に325を足すだけでいいと考えるべきだろう。
難解な部分は西洋の占星術師向けで、予言の信頼性を担保するために付け加えられたもの。だから、占星術師向けの部分に彼の本当に言いたかったことは書かれていない。
さて、この325年を足すというのは、かなり前に提唱された説のようだが、どういう経緯で算出されたのかよくわからない。だが、いつの間にか私のなかにピタリと嵌り、それ以外考えられなくなっている。それこそ神の御業であるかのように。だから、私はそれをノストラダムスの仕掛けだと考え、深く考えずに受け入れることにした。
西暦325年はニカイア公会議(諸世紀の注釈ではニケア宗教会議)と呼ばれるイベントがあった年。キリスト教には正統だの異端だのという論争があり、一応の決着がついたのがこの会議である。
だが、その正統であるキリスト教において正典とされるマタイ・マルコ・ルカ・ヨハネの四福音書は、実際のところ、誰が書いたものかわからない。一方、イエスの双子の兄弟とされるトマスの書いた信頼できるだろう福音書は外典とされている。その福音書はグノーシスであるから、四福音書を推す者たちが受け入れることはあり得ない。
正典の側に立つ人々は旧約聖書の神がキリスト教の神と同じ存在だとみなし、その神を頂点に置く一神教。一方でキリスト教グノーシス派は旧約聖書の神を悪とし、多神教的側面も持っている。
ノストラダムスの四行詩にはキリスト教を憂う記述が散見される。加えて、一神教にそぐわないほかの神々も登場する。ノストラダムスは当時のキリスト教に反する考えを持っていた可能性が高い。だから、彼には教会から弾圧を受けないように己の主張を隠す必要があったのではないか。その必要性から、彼は後世に自分の思いを託すために必要な手段を採った。予言が当たれば当たるほど、彼の著書の正統性が認められる。そして、いつの日か隠された本当の主張に辿りつく者が現れ、彼の望みが叶う。たぶん、これがノストラダムスの予言に隠された筋書だろう。
アンリ二世への手紙によれば、1945年に国々は地獄の力を使って反キリストの道を進む。1945年は日本が戦争に敗れた年。その年で地獄の力といえば原爆以外に有り得ない。ノストラダムスは原爆の投下される未来を見て、それがキリスト教徒を名乗る者たちの所業だと知ったたわけだ。彼はそれがニカイア公会議の行き着く先だと考え、予言にメッセージを仕込んだのではないか。
さて、この手紙が書かれた前後の意味を合わせて考えれば、アメリカを中心とした連合国が反キリストで、その統治は長く続かない。その時代に生まれた人が生きている間というのだから、80年、100年、といったところだろう。それだけの時間が経てば、第二次大戦の勝者が衰退して普遍的な平和が訪れる。人の寿命を仮に80年とするなら、1945年の80年後は2025年。1700年に関する予言とも一致する。もしも予言が成就すれば、アメリカはこれから力を失っていくのだ。
多くの人々は、1999年7の月という例の予言詩で、ノストラダムスの予言ははずれたのだと思い込んだ。この詩が世界の終わりをいうものではないにもかかわらず。真実を隠すための工作が行われ、その工作がすでに成功しているのだ。
『ただ、私は自力で、地球からというより感覚的に天から遠くない存在者だといえる。「私は正しいことをなし、失敗することのないようにしむけられている」(中略)それぞれには数知れぬ節があり、理解できないものも加えたのであるが、今年から3797年に至るまでの絶えざる予言の数々があるのだ。』
息子シーザー・ノストラダムスへあてた手紙
ノストラダムスの予言の範囲は3797年に至る。つまり、現代が古代と見なされるような時代まで書かれているのだ。世界の終わりについてなどどこにも書かれていない。1999年に関する事実の歪曲は、7か月つながりから左の予言詩と結びつけられたのだろう。
火は宮廷に天から落ちてきて
火星の光が輝きを消すときに
大いなる戦いが7か月もつづき人々は魔力で死に
ルーエンとエウレックスは王に負けないだろう
諸世紀第四章100
天から落ちて来る火がミサイル、魔力が放射能と解釈する説があり、そこから話が膨らんだのではないか。だが、この予言詩に対する見方はいろいろある。このひとつ前の予言詩がケルト人との戦争なので、この予言詩はそのつづきと考える方が正しい。私はそう考える。1999年とは無関係だろう。いずれにしても、1999年は325を足して2324年を意味する。はるか未来のことで、我々へのメッセージではない。
彼の予言が捻じ曲げられたのは、やはり1945年に関する記述が原因。問題は美姫との関係が終わった因縁の文章にある。




