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MA―SHA   作者: 水持 剣真
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伍 答えを見付けるために

伍 答えを見付けるために


「高校初ライブの成功を記念してカンパ~イ!」

「「「「カンパ~イ」」」」

俺たちは俺の家で初ライブ成功記念パーティーをやっていた。

「それは置いといて、何で俺の家でやってるんだよ! これ!」

「紅赤の家が一番広いからだよ」

「飯作るの誰だと思ってるんだっ! おまえ」

こいつ、本当に俺の親友なんだろうかと疑ってしまう。

初めての出会いは最悪というより最低なものだったけど、あの喧嘩以来友情を育んできたつもりだったが、俺の勘違いだったのだろうか?

もし、そうなら嘘だと言ってほしい。

俺がこいつと一緒に行動することになってからの約九年間はとっても楽しいもので、時間という概念があることを忘れてしまうくらい早く過ぎていった。その事はこれからも同じなんだろう、きっと。

「嬉しそうだな、灯焔。何かあったのか?」

「なんでもない。まぁ、嬉しいのは確かだけど」

顔の筋肉が全部緩んでいるような笑顔を皆に見せてしまっていた。俺は皆でこんな事が出来ると思うとっても嬉しい!

くだらない事で笑い会える仲間がいるということは、どんな事があっても俺が帰ってくる場所があるということを証明してくれる。

たまにはこんなバカ騒ぎをして笑いあうのもいいかなって思う俺はやっぱりバカか?

「あはは! それ面白すぎです!」

「もうちょっと捻りがほしいな」

「アニメネタはだめだよ! 嵐!」

「もうちょっと静かにしろぉぉぉぉ! 春野ぉぉぉぉおお!」

春野にツッコミを入れるのと同時に彼の腹にけりを入れる。そうすると彼は、

「ぐはぁ! いい蹴りだ、紅赤」

床に倒れこむのと同時に、

「嵐ぃぃぃぃぃいい!」

絶叫を上げ春野をお姫様抱っこしながら、自分の部屋に運ぶアカ。その間わずか五秒という驚異的なスピードを誇っていた。

「「「あはは!」」」

本気で蹴ったわけでもないのに倒れる彼はどれだけノリがいいのやら。

まったく彼女も彼女であんなに慌てる必要ないのに、取り乱してしまった。十分もすれば目覚めると思うけど……。

「おかしいな、二人とも。律儀に乗ってくれるとは思わなかったよ」

「本当です! 彼は紅赤君の親友なんですから手加減しているに決まっています」

ごめん、手加減したつもりだけど、急所に入ったかも。

隠しておいた方がいい真実もある。だから、このことは言わない事にしておこう。

「そんな事よりも俺たちだけで少し食べないか」

「いいですね! せっかく五月蝿(うるさ)い人が退場したんですから、私達だけで楽しまなきゃ損です!」

「あたしもその意見に乗った! たまには茜以外にあたしの愚痴を聞いてほしいからな」

アカ、お前って結構すごいんだな……。空の愚痴を毎日聞いていたなんてお前の精神力はかなりすごいよ。




空の愚痴に耳をふさぎたいと思いつつも十分が経過。

「ただいま~。一瞬、三途の川が見えたよ」

「兄貴! もうちょっと加減できなかったの!」

お騒がせ(?)カップルが帰ってくるのと同時に五月蝿(うるさ)かった空の愚痴も止まった。二人して聞いていてもかなりきつい。酒の力を借りずしてよくあれだけ愚痴れるものだ。

そんなことを思っている最中に春野が冷蔵庫からコーラを取り出してきた。

「おい、まさかそれをアカに飲ませるとか言わないよな?」

「そのまさかさ! たまにはコーラを飲んだ後の茜を見たいからね」

キャップを開け、コーラをグラスに注ぐ。ちゃんと五人分あるのが彼らしいけど、少し暴走気味の彼を止めるためには、また気絶させないとだめか?

それをアカの前に出した瞬間、

「ありがとね! 嵐♪」

ごく、ごく、ごく。

コーラを飲み始めた。

おい、ちょっとまて! アカ!

俺が口で制止させようとするよりも早く彼女がコーラを飲むと――、

「あらし~。抱っこして~」

「いいよ、茜。ほら、おいでよ!」

一気に幼児化する。彼女の体型が体型だからこんな調子であんな感じのことを言われてしまえば彼女のファンなら確実に堕ちる。

もちろん彼女はそんな自覚なんてさらさら無いし、記憶も無い。

だから、一番厄介で一番大変。

こんな彼女を介抱できるのは、春野か空しかいない(昔は水也さんもいたけど)。我ながら情けない兄貴だと自分でも思ってしまうけど、出来る所はきちんとやっていると俺は思っている。他の人がどう思っているのか知らないけれどな!

幼児化した茜を連れて上に上がってしまった春野の一言でこのパーティーは終わりを告げ、皆それぞれの寝床につく。

あの調子だとアカは春野と一緒に寝ると言っているのだろうし、彼なら絶対に一緒に寝るに違いない。兄としては間違いが起きないか不安で、不安で仕方ない。

俺は自分の部屋から出る事が出来るベランダから星を見ながら彼女たちの返事を見付けるために、俺はどうすればいいのかを一生懸命から考えていた。

そこから見る星はこの間海で見たときよりも、俺には眩しく見えてしまっていて、俺の行くべき道がまったく見えなかった。




翌日。放課後になり部室に向かうとそこにいたのは、

「よぉ! お前達はいつもこれくらいの時間に来ているのか?」

「「「「猿飛先生!」」」」

どうして? 先生がここにいる理由が見当たらない。俺が知らない間に何が起こったんだ?

「やぁ! 猿飛先生。今日からよろしくお願いします」

頭を下げているのは、この学校の『理事長』の空。立場的には上のはずだ。だから、頭を下げる必要なんてどこにもない。

先生がここにいる理由も、彼女が頭を下げる理由も分からない。空以外の皆も首をかしげている。全てを知っているのはあの二人だけなのか?

俺たちがそろって首をかしげている所に、先生が「悪いな、説明がまだだったな」と前置きしてから、



「オレ、今日からこの部活の顧問だから」



頭の中を「?」が支配しているのにもかかわらず彼は説明を続ける。

「ちなみに副顧問は数学の川村先生だ。お前たち知っているんだろう? 葵が『理事長』だっていう事をさ」

知っているも何も俺たち五人が共有している秘密だ。知らないはずが無い。そんな事を聞かれるなんてこの先生意外にバカなのかも。もしそうなら、可哀想だな。体育の先生だから仕方ないか!

「当たり前ですよ! 僕達の絆をなめないでください!」

「悪い、悪い。別になめていたわけじゃないんだ。オレがこの部活の顧問に選ばれた理由がそれだからさ、確認しておきたかっただけなんだよ」

それから彼はいきなり、今日は休みなと訳分からない事を言ってから、部室を後にした。さらに「?」増えてしまった頭で分かるのは、猿飛先生が顧問で今日の部活が休みだということだけ。皆、疑問が解けたらしく春野とアカなんかはさっさと帰ってしまっている。所々聞こえるのは、

「どこ行く? 嵐♪」

「今日は服でも見に行って、夕飯の時間には茜の家にお邪魔してもいいよね?」

「いいに決まっているわよ♪ じゃあ、行きましょっ!」

置いていかれた俺たちはたっぷり十秒呆れてから、彼らの後を追いかけた。途中までは行き先同じだから、ストーカーにはならないはずだ。

絶対に南先輩や東先輩みたいにはなりたくないな……。

俺が空のほうを振り向いた瞬間に、

「じゃあ、あたしたちも――」

「デートに行きましょうか? 紅赤君」

こういうときだけはまるで姉妹のように息が合う彼女たちは、階段に向かって全力疾走。俺に拒否権はないんだ……。

俺がいったい、いくら消えるのかを知識が少ない頭で一生懸命考える。本当に数学関係の事をやるのが嫌いなんだけどな~。

両親が俺たちに送ってくれる仕送りにはいつも生活費+俺、空、アカの小遣いが一万円。(世界でも有名なアニメ会社の社長代理だからといって太っ腹すぎると思うけど)

あんまり金を使わない俺には中学の頃からためている金(六十万)全て家に帰ればあるのだけれど、今持ち合わせているのは五万円。これ全額使い果たす事になってしまうけど、仕方ないか……。

「早くしないと置いて行くぞ!」

「早くしないと嵐君たちが紅赤君の家に来てしまいますよ!」

「今行くから急かすなよ!」

まだ、高一の俺が人生を語るなんて早すぎると思うけれど、人生は有限だ。だからこそ、後悔しないように生きていこうと思えるのかもしれない。

春野が「バンドをやろう」だなんて言い出したのもきっと、俺たちが後悔しないための選択だったのかもしれないし、彼がやりたかっただけなのかもしれない。

どちらにしても俺は彼がバンドをやろうといって皆が賛成をしてくれたからこそ、今この部活にいることが出来る。

結果的に俺たちをつなぐ絆が一段と強くなったし、彼女たちも勇気ある一歩を進む事が出来た。変わっていないのは俺だけなのかもしれないけど、それでもいいと思った。

「どこに行きます?」

「映画館だけはやめてほしい。あたしは暗い中で何かを見ることが苦手なんだ」

デートでどこに行くかという話題で盛り上がっている彼女たちの表情は明るいし、そんな光景を最近で見ることが出来る俺はこれだけでも幸せな気分になれる。

彼女たちのこんな表情を護る事が今の俺の生きがいだけど、彼女たちの気持ちに答える義務がある俺はそんな事を言っている場合じゃない。返事をするために、俺がいったい誰の事を愛しているのかを見つけるために時間を貰っているのだから。

それでも、こんな心地よい時間が永遠に続けばという、前にどこかで願ったような思いを胸に抱いていた。

時間にルーズな親友にコーラを飲むと幼児化する妹、生まれつきの病気で苦しんでいるガールフレンドと世界でも名を連ねるお金持ちの幼馴染。そんなメンバーに囲まれて生活している俺は幸せ者だ。

変わらない非日常みたいな日常に風変わりなメンバー。俺を取り巻く環境はとことん変でバカ見たいものだけど、それでも楽しければそれでいいと思う。

彼女達に絡まれている腕から感じる体温(柔らかい何かも感じるけど)は俺が思っている以上に暖かく心地がいいものだ。

たまには何も言わず春野に飯を作ってやるか!

そう思えるくらい大きなものをつかんだ俺は彼女達と一緒に昇降口まで歩いていく。

始まってまだ一ヶ月ちょっとしかたっていない新しい生活に少しの不安と大きな希望を胸にして、俺は歩き出す。彼女たちの思いに応えるための答えを見つけるために。

返事を出せば否が応でも始まってしまう新しい関係の中でも、俺たち五人がいつまでも一緒にいられることの出来る、そんな返事が見つかってほしいと心で思った。

努力するため、俺自身新しい一歩を踏み出した。



皆さんお久しぶりです。KENSHIN改め、水持 剣真といいます。以後宜しくおねがいします。

KENSHINとして二作品、早くうpしたいですが、生憎イメージが浮かびません。

さて、この水持名義で書いた小説いかがでしたか?

はっきり言ってちゃんと完成させたのが初めてなので、不安がたくさんあります。私自身この小説はまだまだ詰めが甘いと感じていますし、ひょっとしたら誤字脱字、文脈ミスや単語のミスなどたくさんあると思っています。

この後書きを読んでいるという事は、最後まで読まれたはずですから感想を書いていただければと思います。私自身返事が書けるように努力していきますのでどうぞ、苦評や批判をバシバシお書きください。

今、二作目を執筆しています。完成次第うpしていきますので、どうぞこれからも水持ワールドを楽しんでください。

以上、水持 剣真からのメッセージでした。これからも宜しく御願いします。


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