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「同時」について


上手く説明できませんが、


(1) 前回までの振り返り

 くどいですが、ローレンツ変換を書きます。系2が系1に対して、速度Vで動いています。系1が速度-Vで動いていると言い換えることができます。


x1=γ(x2+V・t2) (1)

t1=γ(V/c^2・x2+t2) (2)


ただし、γは以下です。


γ=1/√(1-(V/c)^2) (3)



 前々々回に、式(2)の右辺第1項のx2が時間t1に関わる項が、相対性理論をわかりにくくしていることをお話ししました。

 特に、系2の時間t2において、座標x2aとx2bで同時の事象が起きたとします。これを式(2)で変換すると、x2=x2aとx2=x2bが異なるのでt1も異なる時間になります。つまり、系2では同時でも系1では非同時になることをお話ししました。

 前々回にみたように、系1と系2の両方からみて光速を一定にするには、この項がないと、できません。むしろ、速度の合成式に、空間と時間の伸び縮みを表す主要因子γがなくて、伸び縮みがいらないかのような勘違いをするくらいです(もちろん、時間の伸び縮みγは必要です。速度の合成式に顕に出ていないだけです)。


(2)同時性の比喩(相対性理論ではないです)

 同時性に関する比喩をします。地球から10万光年遠くの星団があったとします。星団の地球からみた奥行きが100光年としましょう。地球の時計で、星団の全ての星が同時に爆発したとします。しかし、地球に爆発の様子が最初に届くのは地球に近い星団の星で、100年後に一番遠くの爆発が見られることでしょう。爆発したのが同時でも地球に情報が届くのが同時ではありません。

 このように壮大な宇宙を持ち出さなくても、地上の雷に例えることもできます。今、座標x2=0に対して、等距離にあるx2=+x2aと-x2aを考えます。±x2aで同時に落雷が起きたとします。中心の座標x2=0には、音も光も同時に届きます。しかし、±x2aからの距離が異なる地点では、音や光の届く時間は同時ではありません。

 上の例はあたかも、そのような同時性の効果に類似しています。この意味は、事象が起きたのは同時でも、系2のある特定の場所にその情報が「届いたのが同時ではない」という意味です。信号が届くまでの時間への変換式をつくれば、その変換は同時に起こった事象を異なる時間に非同時に届いた変換式になることでしょう。見方によって同時なはずが非同時になる例です。


(3)相対性理論の場合

 相対性理論でこの観点を考えてみます。座標(距離)x2を速度Vで届く時間はx2/vです。単純にこの効果を入れたら、x1=x2/v+t2です。式(2)とは違います。

 つまり、相対性理論で起こる非同時は、情報の遅れによるものではなく、系の変換そのもので起こります。もちろん、光速が有限なことも効いています。しかし、単純な光速による時間遅れによる非同時と全く同じではありません。

 相対性理論で系2と言った場合、ある物理的な対象の空間(例えば全宇宙)を、(x2, y2, z2, t2)で、全てを記述します。系2で記述すると決めたので、系2で考える限りはどこでも時間t2は同じです。系2の座標の中で場所によって信号が届く時間が異なることはあります。情報の伝達の遅れは相対性理論を具体的な問題に適用するときには、別途それを考慮します。

 そうではなくて、式(2)は系2を別の系1の(x1, y1, z1, t1)に変換するときに、「非同時」が本質的に発生します。

 系2と系1では見え方が違うのです。これにより、同時性が異なります。



[要点]


1. ローレンツ変換:

- 系1と系2が相対速度Vで動いている場合、座標と時間の変換はローレンツ変換によって行われます。

- 変換式は以下の通りです:

x1=γ(x2+V・t2) (1)

t1=γ(V/c^2・x2+t2) (2)


ただし、γは以下です。


γ=1/√(1-(V/c)^2) (3)


2. 比喩:

- 遠くの星団の爆発や雷の例を用いて、同時性の相対性を説明しました。

- これらの例は、情報が届く時間の違いによる非同時性を示していますが、相対性理論における非同時性は、系の変換そのもので発生します。


3. 同時性の相対性:

- 系2で同時に起こった事象が、系1では同時でないことがある。

- これは、ローレンツ変換の時間項に空間座標が含まれるためです。




以上ありがとうございました。


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― 新着の感想 ―
同時に起きても、情報が届く時間は同時ではないこと、ありますよね。ただ、相対性理論のローレンツ変換では、系そのものの変換によって、同時性が変わるということなのですね。とても興味深いです。 事例の喩えが…
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