速度の合成
風変わりな、
今回は速度の合成則です。ローレンツ変換において、系2からみた速度dx2/dt2の速さに見える物体が系1からみた速度dx1/dt1はどうなるかです。
系2(例えばバイク)からみたバイクは止まって見えるのでdx2/dt2=0、系1(例えば道路脇)から見るとdx1/dt1=Vになります。系2からみた光速も系1からみた光速もdx2/dt2=dx1/dt1=cになります。あとは、数式変換だけです。今回の内容はここまでなので飛ばして構いません。
系2から1への変換は以下でした。
x1=γ(x2+V・t2) (1)
t1=γ(V/c^2・x2+t2) (2)
前回の式(2)のy,z方向の式は省きました。式を簡単に書き直しています。x1がΔx1だけ変化したとします。このとき、それに応じて、t1、x2、t2にΔt1、Δx2、Δt2の変化が起こります。変化Δの関係も以下です。
Δx1=γ(Δx2+V・Δt2) (1)
Δt1=γ(V/c^2・Δx2+Δt2) (2)
右辺のΔt2をくくります。
Δx1=γ(Δx2/Δt2+V)Δt2 (3)
Δt1=γ(V/c^2・Δx2/Δt2+1)Δt2 (4)
式(3)を(4)で割ります。
Δx1/Δt1=(Δx2/Δt2+V)/(V/c^2・Δx2/Δt2+1)
(5)
ここで、Δtをゼロの極限とすると、Δx/Δt=dx/dt=速度vになります。
Δx1/Δt1=dx1/dt1=V1 (6)
Δx2/Δt2=dx2/dt2=V2 (7)
V1は系1からみた物体の速度、V2は系2からみた物体の速度です。
これを式(5)に代入します。
V1=(V2+V)/(V/c^2・V2+1) (8)
以上で、目的の速度の合成則がえられました!
以下、系2(バイク)Vや系2からみた物体の速度V2を変えて、系1からみた物体の速度がどうなるかを試します。
[例1]
系2からみた基準点の速度V2=0です。式(8)に代入すると以下です。
V1=(0+V)/(V/c^2・0+1)
=V
確かに、系1(道路脇)からみた系2(バイク)の速度はVです。
[例2]
次に、系2からみた光速はV2=cです。式(8)に代入すると以下です。
V1=(c+V)/(V/c^2・c+1)
=(c+V)/(V+c)c
=c
確かに、系1から見ても光速です。狙い通りの変換になりました!
[例3]
興味本意で系2(例えばバイク)の系1(例えば道路脇)からみた速さを光速の半分、バイクからみた自動車も光速の半分だとしましょう。自動車の速さはガリレイの相対原理によると、道路脇からみた自動車の速さは光速になります。ローレンツ変換ではどうでしょう。式(8)でV=c/2、V2=c/2です。
V1=(V2+V)/(V/c^2・V2+1)
=(c/2+c/2)/(c/2/c^2・c/2+1)
=c/(1/4+1)
=4/5・c
=0.8c
です。ガリレイ変換の光速には届かず、光速の80%止まりです。
[例4]
ならば、V =0.75c、V2=0.75cならば?ガリレイ変換なら、V1=1.5cで光速を超えます。ローレンツ変換ならば以下です。
V1=(V2+V)/(V/c^2・V2+1)
=(0.75c+0.75c)/(0.75c/c^2・0.75c+1)
=1.5c/(0.75×0.75+1)
=0.96c
です。やはり光速はこえません。
[例5]
念のため、V =c、V2=cも試しましょう。
V1=(V2+V)/(V/c^2・V2+1)
=(c+c)/(c/c^2・c+1)
=2c/2
=c
光速です。光速はどこからみても光速です。系1に対して系2が光速で動き、さらに系2が他の光速の物体をみたら、その物体は系1からみても光速です。
今回はここまでです。
狙い通りに変換できているようです。
それにしても、光速度不変の原理は、光速を超えることを許さないようです。どうなってしまったのでしょう。これは、物体に力を加えても、その物体は光速を超えず、物体に与えられたエネルギーはその物体の質量が大きくなります。これは、相対性理論を力学に適用して明らかになります。
いつか触れたいてす。